8月10日、甲子園高校野球交流試合が開幕となります。甲子園に出るような選手は人生を野球に捧げてきたような子たちばかりですから、とりあえずは実力を発揮できる場ができて本当によかったなあと思います。
もちろん親御さん方にとってもそうでしょうね。自慢の息子が甲子園で野球している姿を見られるだけでも報われるはずです。
さてせっかくだから甲子園の記事でも書こうと思ったのですが、あまりに書くことが多すぎてとても時間と文字数が足りない(笑)
どうしようかなあと思ったのですけど、今回はこういうご時世ですので甲子園と世界との関係性に絞ってまとめてみることにしました。
1.「夏の甲子園」とは?
正式名称を「全国高等学校野球選手権大会」といい、2018年にはついに100回を迎えた、超歴史のある大会であります。
とはいえ、第1回は10校しか出場校がなかったそうです。しかも、当時は甲子園球場はありませんでした!
ではどこでやったのかというと、豊中グラウンドという球場です。しかしもっと会期を短くしたいということで、鳴尾球場という球場に移動しました。ここでは二面のグラウンドを設けることで会期の削減を狙っています。
しかし、観客がどんどん増えてしまいグラウンドになだれ込む事件が発生しました。
そこでこれでもか!というぐらいに大きく作ったのが甲子園球場です。
現在でも日本一のキャパシティを誇るのですが、現在ではそれでもなお足りなくなってきています。日本人どれだけ高校野球好きなんだよ!
そんなわけで第10回より晴れて甲子園を使用している高校野球なのですが、中止となったことが3回あります。
・1918年 米騒動による
・1941~1945年 太平洋戦争による
・2020年 新型コロナウイルス感染拡大による
中止の理由として米騒動、太平洋戦争、新型コロナウイルスが3つ並ぶイベントが他にあるでしょうか?いやない(反語)
改めて歴史が長い大会であることを実感させられます。
2.甲子園は日本だけのものじゃない?
甲子園といえば、どこの国の大会でしょうか?そう、日本ですよね。
「バカにしてるのか」と思われるかもしれませんが、かつて甲子園には日本以外の国からも出場していました。それが朝鮮、台湾、満州の3チームです。
当時は日本の統治下に置かれていましたから、その象徴的な出来事と言えるでしょう。
朝鮮のチームは最高でベスト8(4回)、そして満州と台湾のチームは最高で準優勝まで勝ち上がった実績があります。
特に台湾から準優勝を果たした嘉義農林出身の選手たちはその後の日本・台湾野球界に大きな影響を与えました。
例えばエースの呉明捷(ごめいしょう)選手は早稲田大学に進学し、当時のホームランタイ記録を打ち立てるなど活躍しました。プロに進まなかったのが惜しい…。
この嘉義農林の活躍は、台湾で「KANO 1931海の向こうの甲子園」という映画になっています。3時間以上ある長い映画ですが、さわやかな青春活劇といった感じでなかなかの感動作です。
最後ケガで優勝できない、というところがまた涙を誘うんですよね。オススメです。
その後は国立嘉義大学となり立派な学校になったのですが、 今でも銅像が残っていて台湾の人の大切な思い出になっているようです。
3.持ち帰れなかった「土」
夏の甲子園では、負けた高校の選手が土を持って帰ることが恒例となっています。持ち帰った土はお世話になった人に配るなどして活用されているそうです。
さて、かつて地元に持って帰った「甲子園の土」を捨てざるをえない、という事件が発生しました。どうしてこのようなことが起きたのでしょうか?
舞台は1958年、沖縄です。春夏通じて初めて沖縄から出場した首里高校は、惜しくも1回戦で敗れました。
当然甲子園の土を沖縄に持ち帰ったのですが、そこで待ったをかけたのがアメリカでした。
当時、沖縄はアメリカの統治下におかれていました。そのため、甲子園の土が「外国の土」扱いとなり、検疫の関係で捨てざるを得なくなってしまったのです。
ただ、沖縄以外のものだからという理由で捨てさせられたにもかかわらず、その捨てた先は那覇港でした。
こうしたことから高校野球大好きな日本人の怒りを買ってしまい、沖縄返還運動が加速した一因になったともいわれています。
相手の誇りを汚すような態度って一番やっちゃいけないやつですよね。皆さんも敵チームだからと言ってプライドを踏みにじるようなことはしてはいけませんよ。
4.まとめ
以上、甲子園と世界との関係でした。日本の大会というイメージが強いのですが、歴史を紐解いてみると海外の諸問題にもいろいろ影響されていることがわかります。
そして奇しくも今回の新型コロナウイルスにも影響されてしまったといえます。今回の処置はどうしようもないですが、やっぱりスポーツをやるからには平和な中で行う大会であってほしいなあと強く思います。
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