スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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明治神宮野球場~都心に残る「昭和」~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大前の情報を元にしています

【概要】

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明治神宮野球場は、1926年開場、東京都新宿区にある東京ヤクルトスワローズの本拠地。

かのベーブルースがプレーした中で現存する球場は世界に4つしかないが、ひとつは甲子園球場、そして1つがこの神宮球場である。日本どころか世界の野球史を語る上でも外せない、由緒正しき球場だ。

sportskansen.hatenablog.jp

 甲子園はこちら。

 

「明治神宮野球場」という名の通り、所有者はヤクルトスワローズでも東京都でもなく、明治神宮である。

そんな歴史から、戦前から学生野球の聖地とされ、プロ野球での使用など言語道断という時代もあったらしい(かつては野球で金を稼ぐなど卑しいという風潮があった)。

 

当時の国鉄スワローズが神宮球場を使い始めたのは1964年のこと。それでもなおアマチュア球界からの反発も強く、スワローズは「貸していただく」立場だったようだ。

その名残で現在でも基本的にはアマチュア野球優先であり、大学野球の日程に合わせてプロ野球の日程が組まれている。

 

なお、今は上の写真の通り東京六大学選抜vs東京ヤクルトスワローズの試合も行われるなど、良好な関係を築きつつある(それでも六大学選抜の方が左側に書かれてるあたり立場が上なのかな?)。

 

2021シーズン日本一を記念し、東京ヤクルトスワローズの歴史をまとめました。ぜひどうぞ!

sportskansen.hatenablog.jp

 

〜以下少し本線とは外れるので興味のある方だけどうぞ〜

 

ところで、サッカーやバスケには天皇杯があるのに、何故野球には天皇杯が無いんだろう?と思った事がある人もいるかもしれない。が、実はこの神宮球場で天皇杯が毎年2回も行われている。

「そんなのやってたっけ?」と思うかもしれないが、かの東京六大学野球、それこそが天皇杯を下賜されているのだ!私もこの事はつい数年前まで知らなかった。

 

そんなわけで、ある意味では日本シリーズ優勝よりも東京六大学野球で優勝することの方が価値ある事だとも言える。

いや、かつてはプロ野球と東京六大学野球は人気を二分するような存在だったから、あながち言い過ぎでもないかもしれない。今で言う箱根駅伝とニューイヤー駅伝みたいな。

 

今でこそ六大学野球の人気は下火になってしまったが、その応援は非常に面白いので見たことが無い方は是非見に行ってみて欲しい。なんせ試合中はお互いを煽りまくるのだ。

curazy.com

煽りもなんだかインテリっぽい。各校の特色が良く出ている。

 

そのくせ、試合が終わるとエール交換なんてしてしまう。「さっきまで散々煽ってたじゃないか」とも思うが、お互いのリスペクトあってこその煽りなのだ。

最近は「煽りは野球の文化だ」とただ相手を罵倒をするような勘違いしてる人もいるが、そういう人は六大学野球を見て勉強するべきである。

早慶のライバル関係についてはこちらにもまとめています。

sportskansen.hatenablog.jp

 

 

そして神宮での応援と言えば、岡田団長を忘れるわけにはいかない。

詳しい説明はWikipediaでも見てもらう事にして、岡田団長の功績を以下に記す。

・鳴り物を使った応援の導入

・メガホンの持ち込み

・金管楽器による応援の導入

・東京音頭の応援歌としての使用

・傘を使った応援(人を多く見せるための工夫だとか。涙ぐましい!)

 

つまり、ヤクルトのみならず日本プロ野球の応援文化の基礎を築いた偉大な人である。

と書くと仰々しいが、誰からも愛されるキャラクターで、ブンブン丸こと池山の引退セレモニーで池山は「応援団長、岡田のオヤジ、ありがとう」とライトスタンドに向かって挨拶したそうだ。

2002年に急逝するが、葬儀ではツバメ軍団による東京音頭の演奏で見送られた。さぞ幸せな人生だったろう。

 

少々話が脱線してしまったが、アマチュア野球の聖地であると同時に日本野球応援文化の聖地でもあると、個人的には思うのです。

 

〜以上脱線終了〜

 

 

【アクセス】

最寄まで★★★★★

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最寄は東京メトロ銀座線外苑前駅、あるいはJR信濃町駅。

都会のど真ん中だけあり、それ以外にもありとあらゆる交通手段がある。

 

ちなみに信濃町は値をのお膝元である。

 

最寄から★★★★★

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外苑前駅からは徒歩5分ばかり。道は狭いが信号もなく、途中焼きそばとかたこ焼きとかも売ってたりコンビニもあるので食料調達も出来る。

一方信濃町駅からは15分ほどだが、歩道橋を渡るのでちょっと大変。

 

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ちなみに筆者は渋谷から30分くらいかけて歩くのが好き。渋谷、青山、表参道といった流行の最先端の街を抜け、行き着く先がちょっと昭和の香りのするこの球場というのがなんとも面白いのです。

 

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球場の持ち主である明治神宮は、神宮球場からは結構歩いたところにある。

しっかし、これが都心の真ん中にあるって信じられないよなあ…。なんでも、明治神宮を設計した段階でこんな森になるように考えてあって、おおよそ都心ではあり得ないような動植物が存在している。

人間ってすごい。

 

【観戦環境】★★★☆☆

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写真の通り、外野席はただのベンチ。コンコースは狭いし、トイレも汚いとまでは言わないが綺麗とも言えない。

最近流行りのキレイなスタジアムとは程遠いが、しかしそれすらこの球場の味に思えてくる。

 

ちなみに私のお気に入りはバックネット裏の2階席。階段はキツいが、眺めがよく、この球場唯一の屋根がついていて雨も日差しもへっちゃら。意外とチケットも残ってるので快適ですよ。

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こんな感じで球場全体を見渡せる。

 

【雰囲気】★★★★★

都会のオアシス、という言葉がぴったりの落ち着いた球場。

そして高校野球、大学野球、プロ野球、それぞれ全く違う雰囲気になる。野球の聖地でありながら、どんなチームでもどんなお客さんでも受け入れる器の大きさがあり、親しみを持てる。勢いあまってビジターファンも受け入れている

昼はピクニック気分、夜はお酒を飲みながら、のんびり野球を楽しめる。

上半身裸のおっさんがビール飲んで座ってるのはご愛敬。

 

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高校野球。

 

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早慶戦。

 

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前述の東京六大学選抜vs東京ヤクルトスワローズ。

ほどよい煽り合い(お互い◯◯倒せしたり)、ほどよいお祭り感(お互いの応援団が乱入しあったり)でとても楽しい試合だった。

 

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もちろん、東京音頭に合わせて傘を振ればテンションも最高潮だ。


神宮球場の観客4万人が「東京音頭」大合唱!

 

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夏にはスワローズ名物夏祭りに合わせて花火も上がっちゃう。きーみーがーいたなーつーはー

 

またこの球場でしか見たことがないのだが、ジャンケンのイベントがある。両チームのファン(主に子供)がビジョンに映し出され、ただただグッズをかけてジャンケンをするというだけのイベントである。

赤の他人がただただジャンケンをしているだけなのに、ライトもレフトも大盛り上がり。ファンっていうのは不思議な生き物ですなあ。このイベントを考えた人は天才だと思う。

 

【グルメ】★★★★★

神宮と言えばスタグル。スタグルと言えば神宮。

今やどの球団もグルメに力を入れていて美味しいものを出す球場は多いが、神宮球場の「そそる感」にかなう球場は日本中見渡しても見つからない。

ちなみに筆者がこれまでに食べた神宮球場グルメを数えたところ、23品であった。食べ過ぎだろ…。

 

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そんな神宮球場グルメの頂点に立つのが、バックスクリーン裏で売っているウィンナー盛りである。

とはいえ、「これが神宮球場名物か!」と身構えて食べるようなもんでもない。だってウィンナーだし。

 

でも「うまい安い多い」のスタグル界のトリプルスリーが揃っているし、右手にウィンナー盛り、左手にビールがあればもう何もいらない。他に何もなくたって、このために生きていたっていい。そう思える至福のひとときが待っている。

(ただし内野からは一度球場の外に出る必要があるので外野席推奨)

 

しかし私自身、まだまだ神宮球場グルメを制覇した気はしない。毎年選手グルメが入れ替わっているし、まだまだ何回でも行きたいと思っている。

 

【街との一体感】★★★☆☆

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外苑前駅、信濃町駅どちらから来ても途中にスワローズのグッズショップがあり、グッズの調達には困らない(写真は諸事情で開店前のものだが…)。が、逆に言うとそれしか無い。

しかし私の周りのスワローズファンにきっかけを聞いてみると、「チームが魅力的だったから」とか「先輩に誘われてハマった」とのこと。

つまりヤクルトはわざわざ地元に馴染む努力をしなくても、自らの持つ魅力だけでファンを集めているのだ。まあほっといても◯川哲郎とか◯上春樹とかついてきちゃうくらいだしな。

これからもスワローズとつば九郎がいる限り、神宮球場には人が集まるのだろう。

 

【満足度】★★★★★

これだけの歴史と伝統のある球場なのに、どこか愛らしいというか、憎めないというか、そんな可愛らしさがある球場だ。

そんな神宮球場だが、取り壊されてしまう事が決まっている。と言っても、今の秩父宮ラグビー場の跡地に新球場が出来る事になっている。

もちろん大変寂しいし残念だが、大事なのはモノでは無くココロだ。今の神宮球場の精神を受け継いだ、より素晴らしい球場となる事を願っている。

そして今のうちに神宮球場に通い詰めておきたいなあ。

 

 

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