スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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国立代々木競技場第一体育館(体操ver.)~東京オリンピックから東京オリンピックへの架け橋~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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国立代々木競技場第一体育館は、1964年竣工、東京都渋谷区にある体育館。

1964年の東京オリンピックに合わせて作られ、当時は競泳競技が行われた。ただ残念ながら日本は男子4×200m自由形リレーの銅メダル1個に終わったので、日本人の印象にはあまり残っていない。

2020東京オリンピックでもハンドボール競技が行われる予定である。

 

その特徴的な構造からも分かるように、建築物としての評価も非常に高い。建築家・丹下健三の代表作としても知られており、たった二本の主柱から屋根が吊り下げられている。

そのおかげで観客席から柱が見えない構造になっており、視野が広く取られていて非常に見やすい。また選手と観客の間に遮るものがなく会場全体の一体感が生まれやすい構造になっている。

さらに日本の建築物としては初めて油圧ダンパーを用いて屋根を支えており、災害対策もバッチリ。

 

もちろんデザインも非常に素晴らしく、アメリカ水泳選手団の団長が「飛び込み台の根元に骨を埋めてくれ」と頼んだと伝えられるほど。残念ながらプールとしては役目を終えており、飛び込み台は撤去されてしまったが…。

今でもオリンピックレガシーの成功例として世界からも高い評価を受けている。

 

今回はそんな代々木第一体育館で行われた、体操のフレンドリーマッチを観戦した時の様子をお届けする。

この大会は日本、アメリカ、ロシア、中国の選手が集まって行われたもので、コロナ禍において行われる国際大会として注目を集めた。もちろんその先に見据えるのは、東京オリンピックである。

【アクセス】

最寄まで★★★★★

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最寄はJR原宿駅。 都心のど真ん中にあるのだが、山手線しか止まらないので遠方からくる場合は実はめちゃくちゃ便利というわけでもない。東京メトロの明治神宮前駅もすぐ隣にあるけど。

 

写真右の旧駅舎は防火基準を満たしていなかったので解体中。ただこの建材を利用して跡地に商業施設ができる予定。

 

最寄から★★★★★

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原宿駅からは歩道橋を渡って2~3分ほど。非常に至近である。

ただ歩道橋が狭いうえ、原宿駅が狭く、明治神宮の参拝客、竹下通りから帰る人などとかち合うので帰りは結構大変。


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途中には1964東京オリンピックのエンブレムも。シンプルでとてもカッコいいと思う。


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隣接する代々木公園はオリンピック選手村の跡地

 

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現在でも一棟だけその建物が残されている(中には入れないが)。


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なお、渋谷駅からも徒歩15分で行ける。渋谷の方が何かと便利かもしれない。 

ただ人通りが極めて多いのでどっちにしろ大変は大変。

 

【観戦環境】★★★★☆

まず初めにお断りしておかなければならないのが、体操競技においては基本的に「選手の撮影が禁止」ということである。

理由は「選手の肖像権を守るため」。選手なんて見られてナンボじゃん?と思うかもしれないが、早い話が「いやらしい写真を撮るやつがいるから禁止」ということである。

 

確かに、せっかく世界トップクラスの技を磨いてここにきているのに、そういう写真の対象にされたらかなわんからね…。

というか、選手に限らずチアなどの写真を撮る人も、SNSやYouTubeに上げる前に一呼吸おいて考えた方がいいとは思いますよ。うん。

 

というわけで、今回はなるべく選手が映らない場面を撮影していますし、映っているものは加工しています。

 

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中は非常に広いが、確かに柱が見当たらない。収容人数1万3000人を超える日本でも有数のアリーナだが、どこからでも見やすいように設計されている。

独特の雰囲気がある良いアリーナだ。

 

ただ見ていただければわかるように、体操競技は色々な場所色々な種目が行われる。

それが同時多発的に行われるので、一体誰が何の競技をやっているのか、誰のどの競技が何点だったのか非常にわかりにくい。これは観戦するうえで結構大変である…。

 

今回がフレンドリーマッチだったからゆるーい感じでそうなっているのかよく分からないが、割と観戦には不向きな競技だなあ、と思ってしまった。パンフレットとか場内アナウンスとかでうまいこと紹介しないと難しいかもね。


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ちなみにこの右側が入り口で、そこから左右に分かれる形。つまり実際のフロアは地下にあって、掘りごたつ形式になっている。例えがあっているかはよく分からない。

 

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入り口からの景色。 こうして見るとプールの雰囲気がちょっと残っている気がする。

 

【雰囲気】★★★★★

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実際競技としてはもう誰も彼もうまいので何も言うことがない。世界のトップクラスが集まってるんだからそりゃそうだ。

一応素人目でもなんとなく得意不得意くらいは分かるが、本当に微々たる差である。この中でメダルを競ってるんだから厳しいよなあ。

 

ただやっぱり内村航平の存在感はひときわ際立っていた。内村の鉄棒が始まるとざわついていた場内がしんと静まり返り、息を呑むという表現がぴったりだった。

横で寺本明日香選手が演技をしていたが、ほとんど誰も見ていなかったのがかわいそうになった。タイミングがね…。


内村航平 鉄棒でH難度ブレトシュナイダーを決める。友情と絆の大会 20201108

 

また観客も全体的にマナーがよろしいように映った。みんなマスクをしていたし、どの競技のどの国のどの選手に対しても温かい拍手が送られ非常に気持ちが良かった。普段スポーツ観戦をしてるとマナーの悪いお客さんが目立つからなあ…。

選手同士も仲良くやっていたようで、試合後はメダルをお互いに掛け合うというイベントも行われた。

コロナ禍でしかも政治的に複雑な状況がありながら、こうやって4か国の選手が楽しそうにやっているあたり本当にいい大会だなと思った。


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国際オリンピック協会のバッハ会長もVTRでご挨拶。この大会は世界中から違う意味でも注目されており、東京オリンピック開催への大きなアピールとしての側面も大きい大会であった。

会長!もちろん肖像権はお守りいたしましたよ!

 

…ちなみに、森会長も来ていましたよ。


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中には岡本太郎の作品がいくつかあった。この人の作品って一発でわかるよなあ。すごいな。

 

【グルメ】

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中に売店はあったが、機能はしていなかった。

万が一にもここでコロナが広がってしまったらオリンピックどころではなくなってしまうので妥当な判断である。

おかげでお昼抜きになってしまったが。

 

【満足度】★★★★☆

アリーナとしては申し分なく、また体操競技自体も内村をはじめとしたトップアスリートのおかげでその魅力が伝わり十二分に楽しめた。

ただ観戦するうえでは丁寧にパンフレットや場内アナウンスで説明してもらう、あるいは能動的に勉強するかしないと苦労するかな、というのは感じた。

 

とはいえ、プレオリンピックとも言えるこの大会の開催意義は大きい。無事にオリンピックを開催できるかどうかは未だ不透明だが…。

 

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