注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
三ツ沢公園球技場(ニッパツ三ツ沢球技場)は、1955年開場、神奈川県横浜市にある横浜FC、Y.S.C.C.横浜のホームスタジアム。
以前にも一度横浜FCのホームゲームで三ツ沢球技場の記事を書いている。
今回ご紹介するのも横浜FCのホームゲームなのだが、改めてご紹介するのは対戦相手が横浜F・マリノスであるためだ。
横浜F・マリノスは現在日産スタジアムをホームとしているが、日産スタジアムが完成する1997年まではこの三ツ沢球技場をホームとして使っていた歴史がある。
現在もなお三ツ沢で年間3試合前後を定期的に行っており、マリノスにとっても三ツ沢は特別なスタジアムだ。
一方の横浜FCも、三ツ沢球技場をホームとしていた横浜フリューゲルスの消滅に伴って生まれたクラブであり、実質30年近く三ツ沢をホームとして戦ってきた意地とプライドがある。
もちろん横浜FCと横浜F・マリノスの横浜ダービーというのはそれだけで大きな意味を持つのだが、こと三ツ沢球技場で行われる横浜ダービーは、聖地三ツ沢の覇権をかけた極めて重要な意味を持つ一戦なのだ。
そもそも横浜FCがJ1にいることがなかなかないのでリーグ戦において三ツ沢でダービーを行うのはこれがまだ2回目。ちなみに前回は2007年で、横浜FCが1-0で勝ちJ1初勝利を収めている(日産スタジアムでは横浜F・マリノスが8-0と圧勝)。
そんな横浜にとって特別な一戦の模様をお届けする。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆
最寄は横浜市営地下鉄ブルーラインの三ツ沢上町駅。
ただ地下鉄は高いのでケチな私はいつも横浜駅から歩いていく。いい運動になるし一石二鳥。
最寄から★★★☆☆
三ツ沢上町駅からも坂を登り15分ほど。どうせ坂を登るなら横浜駅から歩いたほうが楽しい、と思う。10分くらい余計にかかるけど。
もちろん横浜駅からバスもあるので歩きたくない方もご心配なく。
相変わらず三ツ沢までの坂のふもとにはマリノスの旗がたなびいている。もはや横浜FCに対する嫌味である。
たかが1㎞、されど1㎞。急坂なんですよこれ。
途中に軽井沢中学校があることに初めて気付いた。でも長野ではない。
【観戦環境】★★★★☆
相変わらずピッチまでの距離が近く、臨場感バツグンだ。
このピッチまでの近さは何物にも代えがたい。日産スタジアムより三ツ沢のが好きだなあ。
全体的に狭いし、屋根もなく、トイレも少ないから観戦するのは大変だけど。
私がここで横浜FCの試合を見るとかなりの頻度でキングカズが見られる。私もキングカズも特別な試合しか出ないというだけだけど。
キングカズについて考察した記事はこちら。
やけにスタジアム外の導線がしっかりしてたけど、横浜ダービーだからなのかな?
少なくともこんなゲートまで作って厳重にやっているのは初めて見た。
わざわざ張り紙まで作って絶対にマリノスサポーターが入れないようにしている。
三ツ沢においてマリノスが「アウェーサポーター」になることはほぼないから、マリノスサポーターもなかなか慣れないだろう。
とはいえそこはトラブルを避けるためにルールは必要なので、お互い黙って従うしかない。
【雰囲気】★★★★☆
「横浜F・マリノスサポーターの皆様 ようこそニッパツ三ツ沢球技場へ」
横浜FCの試合ではいつもこのアナウンスがされるのだが、今日ばかりはどうしても違和感がぬぐえない。横浜F・マリノスにとってもここはホームスタジアムだからだ。
私の目には「ようこそ」と「ニッパツ」のあいだに、「俺らの」という文字がうっすら見える。
スタジアム前にはそれぞれのバスが並ぶ。非常に珍しい光景だ。
横浜FCはブルー。
横浜F・マリノスはトリコロール。
ブルーとトリコロールの境目。
試合前からバチバチ。こういうライバル同士のしびれる試合を見たかったんだ!
ちなみに今回はコロナ禍なので応援は手拍子のみだが、本来ならこんなチャントを歌う。
名曲「うんこマリノス」だ。
マリノスの方がこれを歌っていたら問題だが、明らかに格下の横浜FCの方が歌っているからネタになるのである。
大の大人がケンカしている相手に向かってうんこ、うんこと叫ぶ姿はあまりにも面白すぎる。まるで小学生のよう、いや今どきの小学生はこんなことしないかもしれない。
もはや昭和の下町を思い浮かべるような、ノスタルジックな気分になる。ただ、良い子はマネしてはいけない。
そして試合は見事横浜FCが3-1で勝利。ホーム三ツ沢ではリーグ戦通算2戦2勝と負けなし。
半分消化試合という側面はあったが、どんな状況だろうとダービーはお互い気合も入るし特別なものなのだ。
日本全国のダービーマッチについてはこちら。
試合後には両クラブの選手が抱擁を交わす姿も見られた。同じスタジアムをホームとし、こういう特別な試合で戦った言わば戦友でもあるのだ。
本当に試合自体は素晴らしかった。
ただ一つ、非常に残念だったことがある。横浜FCサポーターのごく一部、本当にごく一部だけだが、大声でブーイングなどを飛ばしていたのだ。この時点でコロナ患者数は増え続けていたのに。
試合中幾度となくアナウンスで注意喚起がなされ、そのたびにマリノスサポーターはおろかメインスタンド、バックスタンドの横浜FCサポーターからも大きな賛同の拍手が巻き起こっていた。
その甲斐もあってか、さすがに後半は少しおとなしくなっていたようだが。
更に悲しかったのが試合終了後のシーズン最終戦セレモニーで南選手がサポーターに注意せざるを得なかったことだ。
降格がなかったとはいえクラブで初めてJ1残留圏内に入ったシーズンのセレモニーで選手がサポーターに注意せざるを得ない、こんな悲しいことがありますかね?
もし横浜FCが力をつけてJ1に定着できるようなクラブになりたいなら、サポーターのマナー問題は早急に対処しておく必要がある。
大多数のサポーターはまともにやってるんだから本当になんとかしないといけない問題だ。まじめにやってる人たちがかわいそうでならない。
一方で、私の近くの席で横浜FCホーム側の席なのにマリノスの応援をしている人がいてひと悶着あった。
その人はホーム側であることを知らなかったと言っていたが、いくらマリノスがこのスタジアムを普段ホームとして使っていると言えどやっぱりルールは守らないとね。無用な小競り合いが多く試合に集中できない時間帯もあったのはとても残念。
【グルメ】★★★★☆
店舗数は限られていたが、横浜FCの試合でよく来る常連のお店が来ていた。
こちらは鉄板鶏飯(おろし)。650円と安価だが十分お腹いっぱいになる量で、もちろん味もいい。
定番メニューとして安定して楽しめる一品。
こちらはロティと呼ばれるクレープのようなもの。
焼きたてを提供してくれるので、温かいうちに食べよう。もちろん美味しい。
【街との一体感】★★★☆☆
先日京浜急行1番のターミナル駅である上大岡駅周辺を歩いていたら、アーケードに思いっきり横浜FCの旗があった。
横浜FCも少しずつ努力していってるんだな、と少し感動した。千里の道も一歩から、である。
また隣接する横浜市立市民病院には、「戦いは続くけれども大丈夫 三ツ沢に信じる仲間がいる」とのメッセージ。
ここでいう仲間というのは横浜FCのことであり、横浜F・マリノスのことだろう。
例えクラブは違えど、同じホームを共有しているどうしコロナに対しては共闘していかなければならない。
ね。
【満足度】★★★★☆
色々残念なことはあったが、試合自体は意地と意地のぶつかり合いで見ごたえがあり非常に面白かった。
手拍子だけとはいえお互いの応援もバチバチで一部を除けば場内の雰囲気も非常によかったように思う。
いろいろ問題が起きたのはお互いダービーに慣れていないせいだと思いたい。これから横浜FCがJ1に定着してダービーも回数を重ねていくならきっといい方向に向かうだろう。
問題を一つ一つクリアして、横浜ダービーをもっと盛り上がるものにしてほしい。それが横浜FC、横浜F・マリノスに課せられた使命である。
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