スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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2021年の暮れに考える・東京オリンピックとはいったい何だったのか【ハーフタイムのひとりごと】

どうも、お久しぶりの雑談コーナーです。なんとなく題材が思い浮かばないまましばらくの時が経ったのですが、年の暮れなのでたまには書いてみることにしました。

こうやって自分の考えを書くこともたまにはしないと、考える力とか文章力が落ちそうなので、定期的に書いていきたいですね。

 

そんな前置きはともかく、2021年の最大のスポーツイベントと言えば、やっぱり東京オリンピックでしょう。

この大会で日本は過去最多の27個の金メダルを獲得しました。これまでの最高が16個だったので、今大会がいかに多かったかがよくわかります。

今年の漢字にも当然のように「金」が選ばれ、日本中を巻き込んだ社会現象になった…はずでした。

 

ところがいざ年の瀬になってみると、悲しいくらいにオリンピックの話題が上がってこないのです。

実際、流行語大賞は同じスポーツ界で活躍した大谷翔平選手の「リアル二刀流/ショータイム」が受賞しました。

まあ、流行語大賞自体「トリプルスリー」が受賞したり野球びいきが強い感はあるのですが、それにしたって世間で流行した言葉がオリンピックで出てこなかったのは事実です。

 

トップ10にはオリンピックのスケボー解説で話題になった「ゴン攻め/ビッタビタ」とパラリンピックボッチャの「スギムライジング」が入っていますが、よく考えてみるとオリンピック選手の言葉は入っていないんですよね。

この二つにしてもどちらかというとネット上で盛り上がったというイメージで、実生活で話題に上がったイメージはあんまりありません。

その分大谷選手の活躍は確かに生活の中でも話題になったと思います。あと「ぼったくり男爵」に関しては…私は初めて聞きました。

 

つまり、東京オリンピックで日本は過去最高の成績を上げた、しかも地元開催だというのに、日本人の印象に残るような場面があまり無かったのです。なぜこんなことになってしまったのでしょう?

とりあえず私が思いつく限りで可能性を挙げてみることにします。どれが正しいとか、正しくないとかは各自でご判断ください。

①無観客で映像として盛り上がりに欠けたから

これはあり得る話だと思います。やっぱり印象に残る名場面って、ガッツポーズしてわれを忘れて喜んでいる観客が映像に映って生まれるものが多いと思いますので、それがなかった東京オリンピックは印象に残りづらいのは当然かなと…。

 

②無観客で選手もあんまりテンションが上がらなかったから

①に関連してですが、競技後のインタビューは名場面や印象に残る言葉が生まれやすい場だと思います(北島康介や原田雅彦など)。

観客がいなかった今回は、選手も淡々と答えるのみになってしまったのではないか、という説です。

とはいえ、少なくとも競技は本気でやっていたと思いますし、その直後であれば観客の有無にかかわらず感極まる場面があってもおかしくなかったんじゃないかとは思うんですけどね…。

 

③SNSの影響が大きすぎて選手があんまり目立つようなことができなくなったから

実はこれは結構大きいんじゃないかと思っています。今回も体操の村上選手が発言でちょっと叩かれたりしていましたね。

今はちょっとでも粗が見える発言をするとすぐSNSで叩かれてしまいますから、それを恐れて無難なことしかできない人が多くなったんじゃないかな、と思っています。もちろんオリンピックに限らないですが。

 

④娯楽が多様化してオリンピック、あるいはスポーツに対する興味が薄くなったから

これは間違いなくあるでしょう。今は20~30年前と比べても格段に娯楽が増えて、それぞれが各々多種多様な趣味を持つようになりました。

その裏返しで、国民が一体となるコンテンツが減ってきていると感じます。音楽なんかは特に顕著ですが、誰もが知っているヒット曲は前に比べて明らかに減っています。オリンピックもそのあおりを受けたのではないか、という説。

ただ、大谷に関しては久々に国民が一体となって盛り上がっていたような気はします。それでも、WBCのイチローのようなみんなの記憶に残る名場面はなかったですが…。

 

⑤開幕前のグダグダがひどすぎてみんなが関心を失ったから

これはどうなんでしょう。実際開会式関連であまりにグダりすぎて私もかなり怒りましたが、いざ始まってしまえばそんなものも忘れて盛り上がっていたんじゃないかと思います。

〇山田については今思い出しても嫌悪感を覚えますが…。

 

⑥そもそもオリンピックというイベントの訴求力が減少したから

スポーツ好きの私としてはあまり考えたくはありませんが、オリンピックというイベント自体に世界中が飽きてしまっているのではないか、という説です。

ただ今回のIOCの対応もグダグダでしたし、日本どころか世界中がオリンピック自体に興味を失ってきている可能性はあるかもしれません。

もしこれだとしたら、オリンピックの開催意義自体が問われてくることになりますね…。これに関しては日本はどうしようもありません。

 

⑦コロナでオリンピックどころではなかったから

これに関しては、会期中はあんまり関係なかったのではないかと思います。実際、大会中の報道はオリンピック一色になっていましたから。

ただ、オリンピックの直後、パラリンピック期間中くらいにコロナの感染者数がピークを迎え、そちらに国民の関心が移ってしまいオリンピックの印象が薄くなった、という可能性はあると思います。

 

⑧メダルを取りすぎてありがたみがなくなってしまったから

過去最多のメダルを獲得しましたが、そのせいでかえって一つ一つの印象が分散されてしまったのではないか、という説。なんとも皮肉な話ですが…。

実際、メダルがなかなか出ない難産の大会であるほどメダルの印象って強いようなイメージがあるんですよね。金メダル1個に終わったトリノとかソチとかの荒川選手、羽生選手って誰もが覚えていますし。

しかしもしこれが正しいとすると、メダル数でトップを争うアメリカや中国の人って意外とオリンピックに関心がないんじゃないかな、って思ってしまいました。

 

 

…とまあ考えられる可能性を列挙しては見ましたが、どれも可能性に過ぎず決定的なファクターは見つからないんじゃないかと思います。

すぐ2か月後には北京オリンピックがあるので、そこと比較することである程度理由が判明するでしょう。東京オリンピックが印象に残らなかった理由を考えながら北京オリンピックを見てみるとちょっと面白いかもしれません。

 

しかしこうしていろいろ考えてみると、やはりこのコロナ禍でオリンピックをやった意味って何だったんだろう、と改めて思ってしまいます。

少なくとも今の日本ではワクチンも行き届いてかなり感染者数も抑えられてきてますし、もう1年待てていたらもっと盛り上がるオリンピックにできていたんじゃないかな、という思いはぬぐえません。

 

もちろん、アスリートからしたら2年も待たされたらたまったもんじゃないだろうことも分かるのですが…(現にこの間に引退した選手もいましたし)。

とにかく、すべての間が悪かったオリンピックになってしまったことは間違いありません。

 

2021年が終わる今この時ぐらい、東京オリンピックという大会があったことをちょっとは思い出してあげてくださいね。