注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
国立競技場は、2019年開場、東京都新宿区にある競技場。
清水エスパルスの本来のホームであるアイスタはこちら。
国立競技場を探訪してみた時の記事はこちら。
今回国立競技場で行われたのは、清水エスパルス30周年を記念して行われたスペシャルマッチ。
それを記念してヒストリームービーも作られた。
ここで、改めて清水エスパルスが歩んだ30年をざっと振り返っていきたい。
清水ではJリーグができる前から国内で先駆けてサッカー育成システムが確立しており、小学生から大学生まで世代に関わらず次々と大会を制覇。
サッカー王国・清水の名をほしいままにしてきた。
そういった経緯もあり、Jリーグ創立時点の10クラブ、いわゆるオリジナル10に市民クラブとして唯一選出されたのが清水FC、すなわち清水エスパルスである。
エスは静岡、清水、サッカー、パルスは心臓の鼓動を表現している。
Jリーグ開幕前に行われたカップ戦では予選リーグを2位で突破すると準決勝で名古屋グランパスを破り、決勝進出。
決勝では三浦知良に決められヴェルディ川崎に敗れるが、Jリーグで戦う手ごたえを手にした。
迎えたJリーグ開幕シーズンでも6連勝を記録し一時は首位に立つなど、大企業がバックにつくクラブに交じり王国清水の名に恥じない実力を見せつけた。
1996年にはついにカップ戦で優勝しクラブ初のタイトルを獲得、さらに2001年には天皇杯を優勝。
順調に見えたエスパルスであったが、Jリーグ優勝には届かないシーズンが続いた。
最も優勝に近づいたのが、1999年。当時は1stステージと2ndステージに分かれており、エスパルスは2ndステージを制覇。
1stステージを制した静岡県内最大のライバルジュビロ磐田とのチャンピオンシップに臨んだ。
チャンピオンシップでは第1戦、第2戦ともに延長までもつれ、PK戦で決着が決まるという大激闘となった。が、惜しくも敗れ2位に終わった。
静岡でのジュビロ磐田とのライバル関係については下記の記事でも触れています。
これ以降Jリーグ制覇には届いておらず、カップ戦や天皇杯でも計8回の準優勝を記録するなどシルバーコレクターとなってしまう。
2010年には小野伸二が加入するも天皇杯決勝では鹿島に敗れまたも準優勝。
この年をもって選手、監督として長年エスパルスを支えてきた長谷川健太を含め主力の多くが退団。
クラブは転換期を迎えた。
ここからエスパルスは低迷、2015年には初のJ2降格の屈辱を味わう。
J2では慣れない戦い方にてこずりプレーオフ圏内の6位を行ったり来たりしていたが、後半徐々に順位を上げ最終節前に2位に滑り込みそのまま即再昇格を決めた。
それでも低迷は続いており、毎年残留争いに巻き込まれている。何とか降格は免れてはいるものの、このままでは王国清水の名が廃る。
この記念試合で国立競技場をオレンジに染め上げ、30周年となる2022年、浮上のきっかけをつかみたい。
【アクセス】
最寄まで★★★★★
最寄は都営地下鉄大江戸線の国立競技場駅。出口からすぐに競技場が見え最寄り駅の中で最も至近。
ただし帰りは大変混雑するため、JRの千駄ヶ谷駅などほかの駅の利用も考慮に入れておく必要がある。何せ東京なので駅ならいっぱいある。
そもそも大江戸線は車両が狭く日本の地下鉄で最も深い位置にある路線なので、そんなに大規模輸送に向いていないのである。
最寄から★★★★★
もちろん駅から競技場はすぐで、千駄ヶ谷駅、信濃町駅、外苑前駅も徒歩圏内。
アクセスの良さは日本一レベル。
【観戦環境】★★★☆☆
施設の詳細については以前の記事をご参照ください。
試合自体は結構見やすい。狭い敷地に座席を詰めているおかげで、角度があってどこからでも見やすいのだ。
この座席に至るまでが非常に大変なのであって…。
コンコースはオレンジ一色。というのも、この日は入場者にユニフォームが配られたのだ。
私もユニフォームを着てエスパルスサポーター気分を味わえた。
しかし、人が多いため以前にも増して上層への階段を見つけるのに苦労した。
まったく、なんでこんな分かりにくい構造にしたのか…。
座席がびっしり並べられているせいで、外側には横に移動するための通路がない。
したがって、座席に到達するゲートをピンポイントで見つけ、そこから階段で上がって座席に向かわなければならない。
この特殊構造のせいで右往左往する人が続出していた。本当、使う人のことを全然考えてないスタジアムだよな…。
私が思うに、普段Jリーグで使われるスタジアムはある程度快適性がないとリピーターになってくれない。
しかしここは大規模イベントしかやらないので、どれだけ不便でも客を詰め込んだもん勝ち、みたいな思想で設計されたのではないかと推測している。
どこが「お・も・て・な・し」やねん、と突っ込みたくなる。
おまけ
外にはオリンピックでメダルを取った選手の名前や国名が掲出されている。
なんか塾とかで成績優秀者の名前を貼りだしてるのを思い出した。
多分前にはなかった、オリンピックやパラリンピックのシンボルがトラックに描かれていたが、オレンジのカーペットで真ん中が踏みつぶされているのがなんか面白かった。
オリンピック後は球技専用スタジアムに改修する話とか紆余曲折あったが、結局このまま使うらしい。
オリンピックが終わってもお騒がせなスタジアムである。
【雰囲気】★★★★★
場外にはイベントブース、グッズショップ、グルメの他、マスコットのパルちゃんのバルーンなどがありエスパルスの気合が伝わってくる。
私もせっかくなので国立競技場開催記念タオルを購入しようかと思ったが、試合開始3時間前の時点で売り切れてしまっていた。
もうちょっと作ってほしかったよー。
清水と言えばエスパルス、そしてちびまる子ちゃん。
ということで、まるちゃん、たまちゃん、花輪くんが来場。「まる子、国立競技場に行くの巻」のはじまり、はじまり〜。
しかしうっかりもののまるちゃん、試合で使う大事なボールを家の玄関に忘れてきてしまったらしい。
ここで助け舟を出したのがお金持ちの花輪くん。なんとヘリコプターで清水からボールを届け…
ヘリコプターから無事競技場にボールが着地。場違いな花輪くんがいた意味が判明した。
スタジアムもどわっと盛り上がったしいい演出でした。
この他にも清水出身の有名人やクラブOBのメッセージVTRが流れ…
いよいよ試合開始を前にして、エスパルスサポーターのボルテージもにわかに上がっていく。
30年の歴史で築き上げてきたサンバのリズムが、中立地であるはずの国立競技場をエスパルスオレンジへと染め上げていく。
試合前には炎が吹き上がり…
コレオグラフィーもばっちり決まった。
地味にリボンビジョンも一体となっているのがよくできてるなあ。
そして花火、炎、コレオの三位一体!
夕焼けと相まって、スタジアムはオレンジ一色へと染め上げられた。
一方、対戦相手の横浜F・マリノスもトリコロールで応戦。
マリノスもエスパルスと同じくJリーグ創設時の10クラブのうちの一つで、旧国立競技場でヴェルディとJリーグ開幕戦を戦った歴史がある。
今シーズン最多となる56,131人が集ったスタジアムの熱気は最高潮に。
試合の方はお互いノーガードの打ち合いで見ていて大変面白い試合となった。
5‐3というサッカーではあまり見ないスコアにてマリノスが勝利。
なんと記念すべきJリーグ500勝となった。
試合後も数分ほど余韻を楽しんでいたが、電車が非常に混むという現実を思い出して飛んで帰った。
それくらい楽しいひと時でした。
【グルメ】★★★★☆
場内で一番列が長かったのがくくるのタコ焼き。スタグルとしても最適ですしね。
やっぱり大阪のたこ焼きはうまい。東京なんだけどね…。
外で売っていた静岡名物富士宮焼きそば。ただ、別にエスパルスだから出店しているとかではなさそう。
普通においしい焼きそばだった。
エスパルスの名物グルメでも食べられたら最高だなーと密かに思っていたけど、さすがにそこまではできなかったか。
また今度アイスタに行くしかないな!
【満足度】★★★★★
スタジアムの熱気、雰囲気はこれまでに観戦したJリーグの試合でも最高レベルだと感じた。
清水エスパルス、そしてJリーグの持つポテンシャルの高さを感じたし、今のJリーグの最高到達点になりうる試合の一つであろう。
そして気合を入れればこれだけのものができるのだったら、毎試合5万人を集めるというのは難しいにしても、試合演出はこれがJリーグの当たり前になるくらいになってほしい。
実際、プロ野球やBリーグでは盛り上がる演出はできているし、Jリーグもぜひ頑張ってほしいところ。
そしてもう一つ。試合を見ていて清水と横浜、一体どっちがサッカー王国なのかわからなくなってしまった。それくらいサッカーの面白さに差が見えた。
個人的には試合の勝敗、あるいは強い弱いというのはある程度時の運もあるしどうしようもない部分もあると思っている。
ただ、それでもサッカーで名を馳せた清水はサッカーで魅せるクラブであってほしいし、ファンもそれを願っているはずだ。
この記事を書いている時点で、残念ながらエスパルスは降格圏内から抜け出せていない。
清水エスパルスはJリーグオリジナル10唯一の市民クラブ出身であり、地域密着を打ち出すJリーグの象徴でもある。元祖サッカー王国がこのまま埋もれているわけにはいかない。
王国清水よもう一度!
索引を作りました!
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