プロスポーツにおいて、ファンの存在は欠かせないものです。
収入面でももちろんそうですし、コロナの影響で無観客試合が長く続いたことで改めてファンの存在の大切さがわかったのではないかと思います。
しかし、ファンは時に熱くなり、警察沙汰になることもしばしば。 今回はそんなファンが起こした事件を紹介していきます。
注意:結構過激なものもありますので、閲覧にはご注意ください。別にグロ画像とかはないですけど。
1.荒川事件
しょっぱなからかなり過激な事件です。
1969年荒川堯という選手がドラフト候補になっていました。荒川はドラフト前から「巨人・ヤクルト以外拒否」の姿勢を見せていました。
当時のドラフトは事前に各球団くじを引き、その順位で順番に選手を指名するという方式でした。
くじ引きの結果意中の2球団は下位となり、それより上位だった大洋が荒川を指名することになりました。
荒川はこの指名を拒否することになりましたが、極秘で入団直後にヤクルトと大洋でトレードを行うことになりました。
それ以来、荒川のもとには脅迫電話やカミソリ入りの封筒などが届くようになるなど被害を受けました。それでも、まともに対策はしませんでした。
しかし1970年1月、ついに悪夢が現実のものになります。荒川が犬の散歩をしていたところ、大洋ファンと思われる二人組に暴行され、全治2週間のけがを負ってしまったのです。
それだけならまだしも、その後遺症で左目の視力がどんどん低下していきました。
その結果3年目から成績が降下していき、28歳の若さで引退せざるを得なくなってしまいました。
結局のところ、犯人は誰なのか未だにわかっていません。
今はさすがにこういった事件はなかなか起きないと思いますが、今はこうしたトラブルを防ぐためトレードを前提にした契約は禁止になっています。
ともかく、日本においてファンが起こした事件としては最悪のものだと思います。
2.差別横断幕事件
2014年3月8日、浦和レッズvsサガン鳥栖での試合で起きた事件です。
浦和サポーター3名が、「JAPANESE ONLY」と書かれた横断幕をスタジアムのゲートに掲出しました。
警備員が気付いて注意したもののなあなあな感じで終わってしまい、結局試合後までそのままでした。
撤去に至るまでのルールが当事者との合意が必要なものであり、運営側もしっかり対応しなかったのも大きな問題でした。
結果試合後に「炎上」する形となり、ついに無観客試合という重い処分が下りました。
改善が見られなければ勝ち点の減免や、J2以下への強制降格が検討されました。
当時内閣官房長官だった菅義偉がコメントを出すなど国政をも巻き込む大事件となりましたが、今ではクラブ側も横断幕の掲出を事前の許可制にするなど対策が取られています。
コロナをきっかけに差別問題が大きく取りざたされるようになった今、改めて考えるべき事件なのかもしれません。
3.スティーブ・バートマン事件
日本の話ではありませんが、暴動や乱入が少なくなってきた今でも起こりうる事件ですので是非とも紹介したいと思います。
舞台はアメリカ、2003年メジャーリーグのナショナルリーグチャンピオンシップ第6戦の事件です。
シカゴカブスは古豪ではありましたが、1908年から95年もワールドシリーズ制覇から遠ざかっており、ファンの悲願となっていました。
そんな中3勝2敗でナショナルリーグ制覇に迫ったカブスは、第6戦あとアウト5つで勝利というところまで来ました。
ここでバッターが打ち上げた打球は三塁側の観客席ギリギリへのフライ…。
しかしここで最前列に座っていた客が手を伸ばしてしまい、結果的に妨害する形となってしまいました。
この客もシカゴカブスファンなので別に妨害する意図はなかったのですが、結果フォアボールとなり、一挙8失点で大逆転負けを喫しました。
翌第7戦も負けシリーズ敗退。このフライを捕球できなかったためにシリーズの結果に大きく影響することになりました。
しかし問題なのはその後です。この客には四方八方から罵詈雑言が飛び交い、ビールを浴びせる客もいました。
更に問題なことに、地元紙が彼の名前、家、仕事などを載せてしまったのです。
これにより嫌がらせ電話が大量にかかってくることになり、住所や仕事を変えざるを得なくなりました。
たった一つのファウルボールが一人の人生を狂わせてしまったのです。
これと似たような事件は実は日本でも起こっています。
第4回のWBCで山田哲人が放った打球を、スタンド最前列にいた少年がキャッチしてしまい、ホームランではなく二塁打として処理されました。
この少年の顔が分かる写真を各スポーツ紙が掲載してしまいました。第二のバートマン事件になるのではないかと、このスポーツ紙の行動も問題視されました。
もちろんこれらのボールをキャッチすることは迂闊ですし問題ですが、それによって一人の人生が変わってしまうのであればそちらの方がよほど問題です。
より社会が成熟していけばと願っていますが、とりあえず我々のできる対応策はプレーに関与しそうな行動は起こさない、ということだけです。
ちなみにニッチローもやらかしています(笑)
この程度で済めばいいんですけどね…。
4.まとめ
今回私が言いたいのは、ファンが悪いとか、チームの対応が悪いとか、新聞社が悪いとか、そういった責任追及ではありません。
過去起こってしまったことはどうしようもないのですから、これを教訓に二度とこういった事件を起こさないようにするにはどうすればよいかという問題提起がしたいのです。
さすがに荒川事件は時代が違うような感じもしますが、あとの二つは今でも十分起きうる事件です。
試合は熱く、それ以外は冷静に。そんなファンが増え、安全で楽しいスポーツ観戦ができるよう願っています。
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