2022年11月21日、カタールにおいてFIFAワールドカップが開幕しました!
FIFAワールドカップは言わずと知れたサッカー世界最高峰の大会であり、また総視聴者数は夏季オリンピックと並ぶ35億人を超え、経済規模に至ってはオリンピックをもしのぐと言われています。
今回は、そんな世界最大のスポーツイベントともいえるFIFAワールドカップについて、改めてその歴史をご紹介します。
1.FIFAワールドカップのはじまり
そもそも、1904年のFIFAが設立された当初からFIFAワールドカップの構想自体はあったようです。
アマチュアを主流とするオリンピックに対し、プロによる運営が一般的であったサッカーではもともと世界選手権の構想を持っていました。
その経緯もあってか、FIFAは今もなおオリンピックにあまり協力的ではありません…。
この構想が実現し第1回FIFAワールドカップが行われたのは、1930年のウルグアイです。
ウルグアイで行われたのには理由があり、2回にわたってオリンピックのサッカー競技でチャンピオンになったこと、そして建国100年記念で近代的なスタジアムを建設することを約束したためです。
つまり、当時はウルグアイがサッカーにおいて世界最進国だった、というわけです。
しかし当時はまだ飛行機で世界中を飛び回れるような技術もなく、選手は船での長旅を余儀なくされました。
そのため、ヨーロッパのチームはほとんど参加を見送り、当時のFIFA会長ジュール・リメが呼びかけてようやくベルギー、フランス、ルーマニア、ユーゴスラビアの4か国が参加する、という状態でした。
第1回は、これにアメリカ、メキシコ、そして南米の7か国を含めた13か国で開催されました。日本も招待されていましたが、残念ながら財政難のために参加することはできませんでした。
予選を勝ち上がり決勝の舞台に立ったのは開催国ウルグアイ、そしてアルゼンチン。そして4-2でウルグアイが勝利し、見事初代王者に輝きました。
2.FIFAワールドカップの発展
第2回ははじめてヨーロッパでの開催となるイタリア大会、そして第3回はフランスで開かれ、さらにイタリアが2大会連続で優勝するなどFIFAワールドカップはヨーロッパに広がりを見せるようになりました。
しかし1942年、46年は続けて第二次大戦のために中止。
久々に行われた1950年大会は、戦争による被害のなかったブラジルで開催。この大会では試合数増加を狙って、決勝がトーナメントではなくリーグ戦が行われるなど、極めて特殊な大会となりました。
さらにこの大会では各国の印象に残る試合も多いことで知られています。
例えばワールドカップ最大の番狂わせと言われるベロオリゾンテの奇跡では、アマチュア選手ばかりで構成されていたアメリカが、当時ヨーロッパ最強、優勝候補のイギリスを1‐0で破りました。
あまりの衝撃に、新聞に印刷ミスだとして抗議の電話が殺到したほどです。
もう一つ忘れてはならないのがマラカナンの悲劇です。これは事実上の決勝戦となったブラジルとウルグアイの試合で、初優勝を目指した開催国ブラジルが後半立て続けにゴールを奪われ2-1と逆転負けしたもの。
あまりのショックに失神する人が続出、さらにショック死する人まで出てしまったそうです。いかにブラジル国民がサッカーに本気になっているかが分かります…。
今のブラジル代表のユニフォームがカナリア色なのは、白かった当時のユニフォームを忘れるためと言われています。
そんなブラジルも、第6回となる1958年スウェーデン大会では念願の初優勝を果たします。
以降2大会連続で優勝を果たしたブラジルは、現在までに世界最多の5回の優勝を誇り、サッカー王国ブラジルの名をほしいままにしています。
ただし、ブラジルも2002年の日韓ワールドカップを最後に優勝がなく、今大会まで4大会連続でヨーロッパ勢が優勝しています。
カタール大会で優勝するのはまたしてもヨーロッパ勢か、南米勢が息を吹き返すのか、はたまたそれ以外の地域が初めて優勝を果たすのか、どうなるでしょうか…?
3.FIFAワールドカップの今後
商業化が進んでいるオリンピックと違い、FIFAワールドカップはそもそもプロを前提とした大会のため、商業化が進んでも大きな問題はない…
と思いたいところですが、今後に向けていろいろ課題もあるようです。
1.出場枠を拡大する?
13か国で始まったワールドカップはしばらく16か国を基本に行われ、第12回の1982年スペイン大会で24か国、第16回の1998年フランス大会で32か国が参加しています。
ところが、次回の2026年大会から一気に出場国数が48にまで拡大されることになっています。現在FIFAには211の国と地域が参加していますから、4分の1近くが参加することになります。
これにより各地域の出場枠がヨーロッパでは14から16、南米では4.5から6に引き上げられるわけですが、日本が所属するアジアではなんと4.5から8と2倍近くまで引き上げられます。
これには、人口で世界最多クラスである中国やインドを出場させ、とにかくお金を稼ぎたい!というFIFAの思惑が見え隠れしています。
インドはまだまだ弱いので出場が現実的でありませんが、2002年に出場経験のある中国にとってはぐっとチャンスが大きくなったと言えるでしょう。
しかしそのひずみでグループリーグがこれまでの4か国から3か国になり、日程上の不利が生じたり、1試合の重みが非常に大きくなるなど、上位進出を狙う実力国が十分に力を発揮できないまま大会を終える可能性も大きくなります。
2.隔年開催案がある?
現在はオリンピックと同じく4年に1度開催されているFIFAワールドカップですが、2021年にはこれを2年に1度まで頻度を上げる案が出されました。
表向きは「世界中でサッカーを発展させたい」という理由からですが、当然ここにもお金の流れが絡んでいることは間違いありません。
もちろん大会を増やすことで収入が増えるのは間違いありませんが、オリンピックの年に重ねることでオリンピックから放映権料を奪いたい、という思惑すらあるようです。どこまで強欲なんでしょう…。
こうなればオリンピックが衰退し、やがてはサッカー以外の競技の衰退にもつながりかねません。もちろん国際オリンピック連盟は懸念を示しています。
更にヨーロッパサッカー連盟(UEFA)もこの案に対して反発を強めており、なるべくスター選手をヨーロッパ内に囲い込んでおきたいというUEFAの思惑も見え隠れしています。
もちろん大会が増えることは悪いことばかりではなく、選手にとっては世界レベルの試合を経験できる機会がそれだけ増えることになります。
ファンにとってもこれだけの大きな大会を2年に1度見られるのは喜ばしいことでもあります。
しかし大会の希少性も薄れてしまいますし、選手の負担も大きくなります。
どちらがいい、悪いではなく、冷静にメリットとデメリットを見極めながら判断していく必要があるでしょう。
4.まとめ
以上、世界最大のスポーツイベントにまで成長したFIFAワールドカップについてご紹介しました。
もちろん、それだけお金が動くイベントである故、残念ながらきな臭い話が出てきてしまうことは事実です。
しかし、いざ大会が始まってしまえばまずは熱中するほかありません。
今はまず、カタールに集った世界最高のフットボーラーのプレーを心ゆくまで堪能し、サッカーを思い切り楽しもうではありませんか!
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