注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
山形県総合運動公園陸上競技場(NDソフトスタジアム山形)は、1991年開場、山形県天童市にあるモンテディオ山形のホームスタジアム。
このスタジアムがある山形県総合運動公園は、1992年に山形県で開催されたべにばな国体に合わせて作られたもの。
Bリーグの山形ワイヴァンズのホームアリーナである総合体育館の他、楽天イーグルスの二軍本拠地(となるはずだったがダメだった)野球場などが集約されている。現在は公園全体をモンテディオ山形が管理している。
そんなモンテディオ山形はNEC山形サッカー部を前身とするクラブで、J2開幕となる1999年にJリーグに参入した。
なかなか昇格までこぎつけることができなかったが、2008年にはサンフレッチェ広島に次ぐ2位となりクラブ初、そしてJ2初年度の10クラブ中では9番目のJ1昇格を果たした。
しかし翌年は評論家たちから厳しい評価を受け、圧倒的なJ2降格最有力候補に挙げられてしまった。
ところがその下馬評を覆し、開幕戦で磐田相手に6‐2と勝利を収めると、手堅い戦いぶりで15位に食い込み残留を果たした。
シーズン終了後理事長があいさつで「ざまあ見やがれってんだ!」と叫んだのは有名な話。
翌2010年も13位に入るなど健闘したものの、2011年には最下位となりあえなく降格。それでも2014年にはシーズン成績6位からプレーオフを勝ち上がり再度J1昇格。
だがプレーオフを勝ち抜いたとはいえ、結局J2で6位のクラブがJ1で戦えることもなくすぐさま降格、以降3度目の昇格を目指した戦いが続いている。
そんなモンテディオ山形で一番盛り上がるのが、山を挟んで反対側にある仙台のクラブベガルタ仙台との一戦、通称みちのくダービーである。
どちらもJ1に上がったりJ2に下がったりというクラブなので行われない年もあるが、現在ではモンテディオ山形から見て7勝15分17敗と水をあけられている。
2022シーズンはベガルタがJ2に降格してきたのでリーグ戦では実に7年ぶりの開催となったが、山形からしたら今後少しずつでも戦績をつめておきたいところだろう。
そんな東北のライバルベガルタ仙台のホームユアテックスタジアムはこちら。
ベガルタ仙台が環境として素晴らしいユアスタをホームにする一方、モンテディオ山形のホームであるこのスタジアムは山形特有の厳しい自然環境ゆえ老朽化がひどく、ピッチが客席から遠く見にくい、アクセスが悪いといった多くの問題を抱えている。
そこで現在では(というかずっと昔からだが)新スタジアムの建設に向けた話し合いも進んでいるようだ。
まだまだ具体性を帯びるところまではいっていないが、はてさて今後どうなることやら。
【アクセス】
最寄まで★☆☆☆☆
最寄はJR天童南駅。
山形駅から20分ほどと距離的にはそこまで離れていないのだが、問題なのはその本数だ。なんと1時間に1本程度しか走っていないのである。
J3のクラブではそういうところもなくはないが、仮にもJ1経験クラブがこれではあまりにも厳しい…。おかげで試合が終わってから1時間程度待つ羽目になった。
更にそれ以外の公共交通機関がほとんどないので、待つ上に混むことになる。
今回はコロナでお客さんがそれほど来ていなかったため何とかなったが、J1にいた時はこのアクセスの悪さは問題にならなかったのだろうか…?
臨時列車の設定もないようなので、ある意味カシマスタジアムより状況は悪い。
列車を増便するか、あるいは山形駅、あるいは天童駅までの直通バスを拡充しないと今後大変ではなかろうか。
同様のアクセスの悪さを誇る?カシマスタジアムはこちら。
最寄から★★★☆☆
天童南駅からは徒歩20分ほど。写真のように案内が出ているのでわかりやすい。
案内に沿って行くと公園の中央にたどり着くが、若干遠回りな気がしないでもない。グーグルマップだと違う道順を案内される。
【観戦環境】★★☆☆☆
客席に角度がついているのは良いが、いかんせんピッチまでの距離が遠い。
やはり陸上競技場はサッカーを観るのに向いてないなあ…。
ちなみに向こうに見えるバックスタンドは左右に分かれている特殊な構造になっているが、その真ん中にあるのは国体で使われた聖火台だそうだ。もう終わったし撤去しちゃっても
コーナーキックはこんな感じで見える。やっぱり遠い。
スタジアム右側。山だらけ。
スタジアム左側。山だらけ。
この光景を見ると、「山形」という地名の由来がよくわかる。
またサポーターの集うサイドスタンドは立派だが、よく見るとバックスタンドとサイドスタンドの間に小さなスタンドがあることがわかる。
このスタジアムの拡大の歴史をスタンドからうかがい知ることができて面白い。
メインスタンドの様子。背もたれはなく、屋根も小さく快適とはいいがたい。
山形の厳しい気候でこの環境では寒い時期に観戦するのは大変だ…。
コンコースは狭いが、一応売店スペースは確保している。
ビジョンはJリーグでも標準程度のサイズだろうか。見やすいのは間違いない。
【雰囲気】★★★★☆
山並みの迫力がすごく、空気も美味しく気持ちいいスタジアムだ。
アルウィンや小瀬(甲府)など山並みがキレイなスタジアムは他にもあるが、ここは特に山が近く迫力満点。
同じく山に囲まれたスタジアムたち。
タオル回しやハリセンを使った応援など、スタジアム全体が入れる応援スタイル。まさにホームスタジアムといった感じで、一体感があり楽しい。
もちろんゴールが決まるとスタジアムがどっと盛り上がり高揚感も増していく。
スタジアム外には子供が遊べるふわふわなどのイベントスペースもあり、スタジアム内外で楽しめるようになっている。
【グルメ】★★★★★
NDソフトスタジアム山形と言えば、欠かすことができないのがグルメ。
山形中の名物がこのスタジアムに集結しており、一大グルメイベントとしても十分に楽しむことができる。
下手なお店に行くよりも、山形グルメを楽しみたいならこちらに来た方が良いぐらいだ。
モンテディオ山形の名物グルメと言えば欠かせないのが炎のカリーパン。
屋台にずらっとカリーパンが並んでおり、いくつも買い込んでいく人がたくさんいる。味ももちろんおいしく、コクのあるカレーがパンによくあう。
そして常連客にとってうれしいのが、定番の味に加えて対戦相手に合わせた味も販売される点だ。このおかげで何度でも楽しむことができるというわけ。
もちろんJ1に上がったら味もガラッと変わるはずで、それを楽しみにしている人もいるだろう。
ちなみに公式サイトもあるのだが、2015年を最後に更新停止中。。。
そして山形と言えばやっぱり芋煮。江戸時代から山形で食べられているという伝統の味だが、やはり400年以上の歴史は伊達ではない。
里芋がゴロゴロ入っているほか、写真のようにとにかく具沢山で温まる。味も栄養も抜群で山形が積み重ねてきた歴史がすべてここに集約されている。
名物にうまい物なしというが、これだけの歴史を積み重ねてきた名物にうまくないものはないだろう。
その隣で売っていたのが山形のお米を使った塩おにぎり。芋煮とおにぎりで山形の食事は完成だ。
試合後、電車まで時間があったのでスタジアム外をうろついていたところもつ煮が300円で売っていたので購入。
こちらももちろん温まる一品。このスタジアムでは試合終了後にもグルメの屋台がかなり残っていて割引サービスを行っている。
地元の人も夕飯にグルメを買って帰る人もいるんだろう。試合が終わっても楽しめるスタジアムだ。
今回の山形旅行記はこちら。他にも美味しいものが盛りだくさん。
【街との一体感】★★★★★
山形駅を降りると、すぐにモンテディオの試合情報が分かるようになっている。とにかく目立つ。
いろんな山形情報に交じるモンテディオ山形。主語が山形市民になっているのが面白い。
さらに山形市役所前にはユニフォームをかたどった大きなモニュメントがある。
山形新聞の前にも次の試合情報を知らせるボード。
泊まったホテルにもモンテディオのマットがあった。踏み絵かな?
スタジアムがある天童市にもこのようなのぼりがある。主語はもちろん天童市民。
天童の街中ではためくモンテディオのフラッグ。
更にスタジアム周りをはじめ各地にモンテディオの自販機がある。気軽に応援をすることができる仕組み。
前回のJ1昇格を記念した展示が、スタジアム横の体育館にある。
もちろん、駅からスタジアムへの道中にはモンテディオののぼりなどが多くあり、モンテ通りという名前もついている。
このように、モンテディオ山形は官民一体となって応援されているクラブである、ということを街中から感じ取ることができた。
幸せなクラブだなあ、と思う。
【満足度】★★★★☆
とにかくグルメがおいしいし、山形県全体で応援されている空気を感じ取ることができ、素晴らしいスタジアムであることは間違いない。
とはいえ、やっぱりスタジアムの見にくさ、そして何よりアクセスの悪さはやっぱり将来を考えると厳しいなあ…。
何とか新しくて便利なスタジアムができることを楽しみにしたい。しっかりとした環境を整え、いざ再びJ1の舞台へ!
索引を作りました!
他のスタジアム・アリーナは↓からどうぞ