注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
徳島県営蔵本球場(むつみスタジアム)は、1952年開場、徳島県鳴門市にある徳島インディゴソックスのホームスタジアム。
むつみという名称は徳島の病院むつみホスピタルが命名権を取得していることによる。
もともとは陸軍の練兵場の跡地に作られたという、なかなかに特異な歴史を持つ球場である。
プロ野球の大阪タイガース(現阪神)が春季キャンプを行ったり、プロ野球の試合が開催されたこともある。
2005年には、日本で実質初めて開催されたプロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグの徳島インディゴソックスの準本拠地として設定された。
2012年からは主催試合の多くがこの球場となり、実質的な本拠地として機能している。
日本の独立リーグについての記事はこちら。
徳島インディゴソックスは徳島県の伝統的な染物である藍染や、鳴門海峡をイメージした藍色の英語である「インディゴ」に、メジャーリーグでチーム名によく使われる「ソックス」(ex.レッドソックス、ホワイトソックス)から命名したチーム。
2011年に初優勝すると10年で6度優勝し、現状リーグトップの強さを誇ると言っていいだろう。
それだけの強豪チームゆえ、おおよそ年に一人ずつぐらいのペースでNPB選手を輩出している。
ここ最近では2019年に埼玉西武ライオンズに8位で指名され、独立リーグ出身として最多の本塁打を放っている岸潤一郎を輩出した。
また2016年に中日ドラゴンズに指名され、将来を嘱望されながら2021年に急逝してしまった木下雄介も、徳島インディゴソックス出身である。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄はJR徳島線蔵本駅。
徳島県内最大、そして四国第二の乗降者数の徳島駅から二駅で、徳島県内で言えばアクセスのいい駅といえる。
…といっても、大体1時間に1本なので都会と比較してはいけないが…。
一応全特急は止まるものの、ほかの四国三県から来る場合は車で来る人が多いだろう。
最寄から★★★☆☆
蔵本駅からは徒歩15分ほど。直線で分かりやすいが、大通りを反対側にわたる必要があるため意外と時間がかかる。
列車に合わせてスタジアムを出る場合は、気持ち早めに出ておく方がいいだろう(たとえ走っても信号はどうにもならないので…)。
補足であるが、列車、と表現したが、徳島は全国で唯一「電車」の走っていない県である。全部ディーゼルだ。
そんな電車の走っていない徳島の麺めぐりをした徳島旅行記はこちら。
【観戦環境】★★★★☆
地方の大きくない球場の特徴としては、規模が小さいおかげで全体が見やすいことだ。
お客さんもぎゅうぎゅうというわけではないので、ある程度自分の好きなアングルで観戦することができる。
スタンドの様子はこんな感じ。ネット裏の一部の席には背もたれもついていてなかなかに快適だ。
スタンド自体の角度もかなり急で迫力がある。
面白いのは、防球ネットが上部まで伸びているということだ。そのおかげでフライが飛んできても当たる心配はない。
ここにボールがのったらどうするんだろうと思っていたが、ネットに角度がついてくるためボールがコロコロ転がってグランドに落ちる仕組みになっているようだ。
そのため、ここにボールがのるとそれが転がり落ちてくるのを待つというちょっとした時間が発生する。
緊迫した場面ではこの間が勝負を分かつ…なんてこともあるかもしれない。
でもこれだったら屋根でもいいとは思うが、多分コストカットでこうなったんでしょうなあ。
おかげで空も見られるし悪いことばかりでもない(雨は大変そう)。
ビジョンは磁気反転式だが視認性は十分。球速表示があるとなおいいけど。
球場の入り口。基本的には全員ここから入る形になっている。
外観はそれなりに歴史を感じる風味。
ただ球場が狭い分コンコースもかなり狭い。物販などは大変だ。
【雰囲気】★★★★★
球場自体は割と街中にあるが、スクリーンの裏には山がそびえており自然を感じることができる。独特の雰囲気がある球場だ。
もちろん、夜になると真っ暗で何も見えなくなる。
驚いたのは、少数ながらも両軍にちゃんと応援団がいて、太鼓やメガホンを使って応援していることだ。
人数が少ないとはいえ、このあたりはプロ野球の二軍戦と違いちゃんとプロ野球の一軍戦なんだ、ということを実感できる。
また今回はなかったが、徳島の応援では阿波踊りでよく使われる楽器である「鉦(かね、と読む、阿波踊りの「チャンカチャンカ」という音色を奏でている鳴り物)」を使った応援をすることもあるようだ。
ちゃんと地域の特色も生かしており、素晴らしい応援文化だなあと感じた。
また球場には女性のスタジアムMCの他、子供たちのチアリーディングがいて試合を盛り上げる。
さらに徳島出身のアイドルである恵比寿マスカッツの小林ひろみさんがビールの売り子として来場していた。
おのののかさんみたいに売り子から人気が出た例はあるけど、アイドルが売り子をしているというのはNPBではあんまり聞いたことがない。
こんなことができるのも徳島ならではかも…。
「日本一の売り子を目指す」という触れ込みだったが、ちょうど私の目の前の席に家族が来ていたらしく、どちらかというと「家族団らんの時を楽しみながら気が向いたらビールを売りに行く」という感じに見えた(笑)
なんかまあ、NPBの球場では見られないほのぼのとした光景で楽しかった。
【グルメ】★★★★★
球場前にはキッチンカーが3,4つほど並んでいる。独立リーグの球団としてはかなり充実している方である。
しかも、その中で食べた焼き鳥丼が600円と安価ながらも非常においしい!
徳島の阿波尾鶏(阿波踊りにかけているらしい)を使っており、タレと肉、ご飯の愛称が抜群だった。
このほかにも地元徳島の食材を使ったカレーなど興味を引くお店が並んでおり、規模は小さいながらも十分に満足できるグルメスポットとなっている。
【街との一体感】★★★★☆
最寄である蔵本駅には、駅名の横にインディゴソックスのロゴマークが描かれている。
ここまで入り込んでいるスポーツチームはかなり珍しいのではないだろうか。
蔵本駅の待合スペースにもインディゴソックスのポスターが張られている。
蔵本駅からの道中にも徳島インディゴソックスの文字が。
更に、蔵本駅の二駅隣である徳島駅にもインディゴソックスのロゴマークが。インディゴソックスの本気度が伝わってくる。
徳島の郵便局前にもインディゴソックスののぼりがある。
徳島の隅々にまで…とは言わないが、独立リーグの規模を考えれば十分に地域に密着した活動を続けているんだな、というのが街中からも伝わってくる。
引き続き徳島の野球界を盛り上げる存在であってほしい。
【満足度】★★★★★
現時点で私自身それほど多くの独立リーグの試合を見に行っているわけではないので単純に他のチームとの比較はできないが、それでも四国アイランドリーグの規模を考えれば非常によく努力しているのではないだろうか。
少なくともその姿勢は十分に伝わってくる。
鉦を使った応援団、スタジアムMCやアイドルのビールの売り子、おいしくて充実したグルメ、そして駅の中にまで入り込んだ球団ロゴなど…。
徳島の強みを生かしながらも全体的にすごくバランスの取れた運営がされていると感じた。また試合を見に行きたいと思える球場だった。
あとはリーグ自体がもっともっと盛り上がってほしいなあ…。
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