スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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町田市立陸上競技場(町田GIONスタジアム)改訂版第2版~天空の城、冗談を本気にしてしまう~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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町田市立陸上競技場(町田GIONスタジアム)は、1990年開場、東京都町田市にあるFC町田ゼルビアの本拠地。

 

改修前に訪れた時の記事はこちら。今回の記事と比較するとより楽しめるかも…?

sportskansen.hatenablog.jp

 

以前訪れた時点では、スタジアムの収容人数が足りずJ1ライセンスを獲得することができていなかった。

実際、2018年にはJ2で4位に入るも、ライセンスの関係でJ1昇格プレーオフに参加することすらできず涙をのんだ。

 

そこで町田市は資金を投入しバックスタンドを大幅に増築。収容人数を一気に5000人増加させた。

この増築の甲斐もあってか、無事にJ1ライセンスを取得することに成功。あとは結果を残してJ1に昇格するのみ、という状態となった。

 

更に2018年にAbemaTVなどを運営するサイバーエージェントが経営権を取得すると、AbemaTVでドキュメント番組が作られたり試合が中継されたりするなど変化も起きるようになってきた。

さすがにクラブ名を「FC町田トウキョウ」とする案に対しては猛反発が起きてとん挫したが…(でも多分藤田オーナーは諦めてないぞ)。

 

今回は無事改修が終了した町田GIONスタジアムがどのように生まれ変わったか、に着目していきたい。

 

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

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最寄は小田急線の鶴川駅。前回は町田駅から歩くというムチャをしたが、今回はおとなしく正攻法で行くことにした。

 

他にも町田駅、淵野辺駅、多摩センター駅、南町田グランベリーパーク駅からのバスが出ているが、本数が少ない、整理券が必要、待ち合わせ場所が分かりにくいといったデメリットもあるので、迷ったら鶴川駅に行っておけば安心。

後者3つの駅から出るバスはなんと無料というのが驚きだが、乗り損ねたら面倒くさいことになる。タダほど高いものはない、という言葉もある。

 

最寄から★★☆☆☆

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鶴川駅からはバスで20分ほど。駅からの案内も分かりやすく、本数も十分なので、鶴川駅に来れば間違いはない。

 

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終点からは微妙に階段を上る。やはり天空の城、例えバスに乗ろうとも簡単にたどり着かせてはくれない。

 

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前回は道なき道を登ったが、鶴川駅からのバス通りに沿えば普通の道を歩けることに気付いた。

とはいえ、どっからどうやったって山登りは避けられない。天空の城だからね。

 

【観戦環境】★★★★☆

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今回も前回同様バックスタンドからの観戦。

しかしのっぺりとしたスタンドしかなかった前回とは異なり、このように高い位置からピッチを見渡せるようになった。格段に見やすくなったなあ。

是非とも前回の記事と見比べていただきたい。その変わりようには感動すら覚える。

sportskansen.hatenablog.jp

 

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メインスタンドに向かって右側。

 

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左側。以前はこの写真はドローンでもないと撮影できなかったが、今では簡単にスタジアムの全景を見ることができる。

そして、スタジアムの周りには森しかないことがより鮮明に分かってしまう。

 

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前回は気付かなかったが、照明が鳥の形してた。天空やなあ。

 

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せっかくなので、今回新しくできたバックスタンドのご紹介。前回行った時には全くなかったと考えると、凄いことですなあ。

まるで別のスタジアムになったようだ。

 

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スタンド入り口。ゼルビアブルーのLED案内が目に映える。

 

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バックスタンド全景。いやもう素晴らしいの一言ですよ。

ちゃんと屋根がついてるし、一気に収容人数も増えた。多分メインスタンドよりも大きいんじゃないかな?

 

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何より新しいのは、ボックスシートの存在だ。中央にテーブルがあって、グループでワイワイ楽しみながら試合を見ることができる。

ちゃんとスタジアムというものを研究していないと、こういうものは作れない。

 

【雰囲気】★★★★☆

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これまでゴール裏に陣取っていた太鼓隊は、バックスタンド完成を機に?この1階部分に移動したようだ。

そのおかげもあってか、巨大なバックスタンド全体がゼルビア応援団のような一体感を作り出すことに成功していた。

 

陸上競技場においては、ピッチから遠いゴール裏での応援だとどうしても距離感が出てきてしまう。

しかしこのようにバックスタンドから応援することで、スタジアムの一体感を作り出すことができる。最近はこういったスタイルのスタジアムも増えてきた(等々力とか)。

このやり方どこから始まったんだろな?

 

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小田急デーということもあり、試合前には小田急の社員がゼルビアのグッズを身にまとい応援する、という映像が流された。

なぜか分からんが、私は泣きそうになった。小田急ほどの一流企業が、社員の総力を挙げて町田ゼルビアを応援する映像を作成する、というその熱意にほだされてしまったようだ。

 

もちろん小田急はゼルビアのスポンサーもやってるし、ゼルビアの客が増えるほどそれを輸送する小田急も儲かるというのは古くからあるビジネスのやり方なんだけど、やっぱり地元のチームを地元の企業が応援するっていう構図はなんか泣けるんだよね。

 

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そして試合前、ゴール後、そして試合に勝利した後など、ことあるごとに写真のように火が吹き上がる演出には驚かされた。Jリーグでこういう演出をやっているスタジアムはまだほとんど見たことがない。

 

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更に驚くのが、以前からあまりにアクセスが悪く天空の城などと揶揄されてきたこのスタジアムが、それを逆手にとって公式化してしまったことである。

 

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ずいぶん気合を入れてポスターを作ったようだ。普通にカッコいいな。

 

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スタジアム外もその世界観に合わせ、遊技場武器屋などが並んでいる。イメージとしては日本の城というよりはRPGに出てくるような洋風の城のようだ。

 

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このスタジアムでは、入場ではなく入城という表現が徹底して使われている。最初は書き間違いかと思ったがそうではないようだ。

こういった一つのブランディング、言い換えれば世界観の醸成、言い換えれば客を巻き込んだ壮大なコントは、Jリーグではまだかなり珍しいのではないだろうか。

 

でもこのやり方自体は実は日本人にはすごいなじみがあって、例えば日本を代表するテーマパークである東京ディズニーランドって言わば夢の国という世界観を一貫させることでお客さんを非日常の世界に巻き込んでるわけですよね。

だからこういう取り組みはおそらく日本人には十分楽しめる素質が備わっているのだと思う。Jリーグ全体で見習ってほしいなあ。

 

こうして考えてみるとさすが人を楽しませることを商売にしているサイバーエージェント、やるべきことがちゃんと分かっているなあと思う。

ここまでやるなら、「ことあるごとに〇ピュタの音楽を流す」「グッズとしてラ〇ュタの飛行石を売り出す」「スタグルにラピュ〇のパンを出す」とかやったらめちゃくちゃ楽しそうだけど、さすがに〇ブリからクレームが来そうだ。

 

【グルメ】★★★★☆

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スタジアム前にはゼルビーランドがあり、そこにグルメも十分にそろっている。

 

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天空の城、をイメージしたらしいコンフィライス。

コンフィはフランスの料理らしいが、この鶏肉が皮がパリパリ、中はジューシーでとてもおいしい。ただ、パクチーはあんまり好きじゃない…。

これ以外にも魅力的なグルメがそろっているが、やっぱり前回食べたYASSカレーが無くて寂しい…。

 

【街との一体感】★★★★☆

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鶴川駅でのゼルビア推しは前回とほぼ同じだが、写真を撮りなおしてみた。駅の通路での壁紙は一新されているようだ。

 

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駅からスタジアムに向けて歩いてみると、このようなポスターや、

 

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横断幕があることを発見した。こんな山奥の公園でJ1クラブが出来たらさぞ楽しかろうなあ。

 

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更に道中には、ゼルビアの運営するフットサルコートや、

 

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選手も利用する食堂のゼルビアキッチンなどゼルビア関係の施設も多くある。

 

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また町田駅近くの繁華街前の通りには町田ゼルビアの試合情報を伝えるボードがあったり、

 

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昭和感あふれる仲見世通りにもゼルビアのポスターがあるなど、街中の至る所でゼルビア関係の掲示を見ることができた。

 

前回の記事を読みなおしたら★3にしていたが、いやいやこれだけやっていれば★4、あるいはそれ以上をつけてもいいでしょう。あとはどんどん町田全体を盛り上げていきたいですね。

 

【満足度】★★★★☆

今回改めて訪れて立派なスタンドが出来ているのに驚くと同時に、スタジアム全体でお客さんを楽しませようという心意気がよりパワーアップしていることに感動した。

さすがはサイバーエージェント、どうやったら人の心をつかめるかをよく研究してますなあ。

 

うっかり★5をつけそうになったけど、いやいやJ1に昇格しちゃんと結果を残すまでは満足してもらっては困る。是非とも町田からJリーグに旋風を巻き起こしてほしい。

間違ってもバルス!などとならないように…。

 

 

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