注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
江東区夢の島陸上競技場は、1996年開場、東京都江東区にある清水建設江東ブルーシャークスのホームスタジアム。
競技場のある夢の島は1938年に埋め立てが始まった人工島で、当初は飛行場としての使用が予定されていた。
しかし日中戦争の資材不足で計画がとん挫し、しばらくはゴミ処理場として使用された。
この時予定通り飛行場ができていたら、羽田空港はなかったかもしれない…。
ちなみにこの時海水浴場が作られ遊園地の計画もあったことから、ごみ処理場であるにもかかわらず夢の島の名前がついた。
もしかしたら何かのはずみでここにディズニーランドができていた…かもしれない。いろいろなifが考えられる場所である。
その後ゴミ処理場としての役目も終え(周辺にハエがばらまかれ大変なことになっていたらしい)、夢の島公園が整備され今に至る。
現在は競技場の他バーベキュー場、熱帯植物園、そしてアメリカがビキニ環礁で行った核実験に巻き込まれ被爆した第五福竜丸が展示されている(この近くに放置されていたとのこと)。
そんな夢の島陸上競技場をホームとする清水建設江東ブルーシャークスは、1976年からある伝統のラグビーチーム。
リーグワン初年度では2部に昇格するも、翌年に3部に降格。なんというか、この40年以上可もなく不可もなくな成績を残し続けている。
なんとも堅実な清水建設らしいチームである…。
【アクセス】
最寄まで★★★★★
最寄りは新木場駅。
以前は鉄道空白地帯だったが、いつの間にか東京メトロ有楽町線、東京臨海高速鉄道りんかい線、そしてJR京葉線が乗り入れるターミナル駅に。
東京から10分ほどで着く立地の良さだが、東京駅での京葉線乗り換えが遠すぎるのでそこはマイナス。
ディズニーランドに行ったことがある人は心当たりがあるだろう。
新木場は名前の通り木の街。新の名がついているのはここより北にある木場から移転してきたため。
普段何気なく見ている地名にも街の歴史が隠されているものだ。
新木場駅はちょっとした木の博物館になっている。
スタジアムと反対側に行ってみると、なるほど木材だらけだ。
その近くのビルには木材博物館なんてのもあって、無料で見学できる。
かなり充実した展示内容となっているので、時間があればぜひ。
最寄から★★★★☆
新木場駅からは徒歩10分弱。
直線距離では近いものの、大通りを何回か横切らなければいけないので見た目よりはだるい。
駅から北に歩いて行くと、左側に競技場の照明が見えてくる。
木がモリモリ生えてて微妙に見えにくい。
その代わりスタジアムはブルーシャークスの装飾がいっぱい。ようこそ夢の島へ。
第五福竜丸展示館は競技場から橋を渡ってすぐ。
無料なので試合前後にサクッと見ておくと良いだろう。心にズシンと来る。
夢の島熱帯植物園はもう少し歩いた先。
手軽に熱帯気分が味わえて楽しい。小笠原諸島固有の植物もあってすごい。
スタジアムと道路を挟んで反対側にあるこちらの広場、ここは東京オリンピックのアーチェリー会場となった場所である。
さすがにアーチェリーだけではやっていけないので、多目的に活用されている模様。
【観戦環境】★★★☆☆
いわゆる典型的な陸上競技場である。トラックの分ピッチとの距離が遠い。
スタジアム後方の高層ビル群が東京を感じさせる。
ラグビー選手はとんでもなくデカいので、体がぶつかり合うときはその迫力に圧倒される。
もちろんその俊敏な動きにも驚かされる。
そんな選手たちのウォーミングアップが近くで見られるのは、陸上競技場の数少ない利点と言えよう。
巨体もより間近に感じられる。
コーナー部分から見たスタジアム全景。うーんやはりピッチが遠い…。
まともなスタンドがあるのはメインだけで、それ以外はちょっとした芝生スペースしかない。
なんとかもうちょっと改修してステキなスタジアムを作って欲しいが…。
現状ではその抜群の好立地を持て余している感じ。
メインスタンドの中央付近には屋根があって少しは快適そうだが、恩恵を受けられるのは上の2~3列くらいかなあ…。
そしてここも背もたれなしシート。決してVIPにも優しくないスタジアムだ。
ところでこの車いすスペースは活用できているのか…?ここまでくるのも大変そうだけど…。
このようにメイン以外はまともにお客さんが見られるスペースはない。
トラック部分を無くせばそこそこ大きいスタジアムが作れそうだけど…。
ビジョンはなかなか立派で視認性も良い。
試合中は演出映像を流したりして盛り上げる。
スタジアム後方に走る京葉線。そしてその手前には畑…?
こうして見ると、スタジアムを拡張するスペースはまともになさそうだ。
ビジョンの裏もかなり狭い。
東京だけにかなりキチキチに作らざるを得なかった、という感じだ。
【雰囲気】★★★★☆
選手入場の演出があったり、試合中も応援の演出があったり。
資金が潤沢とは言えないだろうが、それでもやれることは十分やっているという感じ。
さすが清水建設、堅実な仕事ぶり。
座席は結構埋まっていた。スタジアムが小さいから2000人そこそこであったが…。
それでもお客さんのノリはなかなか良かったし、こじんまりしたスタジアムだけあってかえって一体感も生まれていた。
決して3部リーグだからと侮るなかれ、小さいスタジアムには小さいスタジアムなりのよさがあるのだ。
【グルメ】★★★★★
スタジアム前にキッチンカーがずらり。
この日は開幕戦、ならぬ海幕戦を記念し、海鮮グルメ特集。
ウソかマコトか、ブルーシャークスにちなんだ鮫肉を使ったというバーガー。
ポテトもついたこのボリュームで今どき1000円はかなり安いぞ。
鮫肉らしきパティは若干の生臭さは否めなかったものの、油で揚げることによってだいぶ軽減されていた。
全体的にクジラ肉に風味は似ているかもしれない。経験としては面白かった。
焼きホタテも購入。スタジアムで浜焼きはこれまた珍しい。
ちょっと小ぶりだが、雰囲気モノと思えば。
たこ焼き。そういえばたこは海の生き物だった。
食感はだいぶ銀だこ寄りのカリカリ。別に東京のたこ焼きが全部これってわけではないのだが。
すぐ近くにある豊洲市場からも参戦!
ミニ海鮮丼などを売っていたが、色々食べてきたのであら汁をチョイス。魚のうまみが詰まったあら汁は締めに最適だ。
スタジアム全体で海鮮が楽しめるというのは、今までありそうでなかった試み。
コンセプトを一貫させることで、「今日は海鮮を楽しむ日」と心も決めやすかった。面白かったので今後も続けてほしい。
ただ、全体的に不慣れだったためかオペレーションはなかなか厳しいところがあったかも…。
【街との一体感】★★☆☆☆
駅からスタジアムまでの通りにはポスターなどはなく、スタジアムがブルーシャークスに染まっている程度。
出来れば新木場駅をジャックしていきたいところ。
今回江東区の市街地には行くことができなかったが、もしかしたらそちらに多少ポスターなどがあるかもしれない。
ただ江東区の市街地から夢の島って、鉄道が縦に延びていないので実は非常に行きにくい。
だから江東区民に訴えかけるより、京葉線沿線住民に宣伝する方が効果があるかもしれない…。
でも、安易に「東京」をチーム名に入れるよりは、「江東」と地域をより限定したのは英断だったのではないだろうか。
おかげでかえってリーグワンの中でも名前が目立っているしね(周りは東京BRだの東京SGだのBL東京だの…)。
【満足度】★★★★☆
清水建設江東ブルーシャークス自体は成績面では伸び悩んでいるものの、3部なりのできる限りのスタジアムを作り上げられているように感じた。
特にグルメの力の入れ方はあっぱれ。海鮮のコンセプトはできれば続けてほしい。
このグルメの豊富さが続く限りはそれを楽しみにまた訪れたい。
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