注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】

豊田合成記念体育館(エントリオ)は、2020年竣工、愛知県稲沢市にあるアリーナ。
豊田合成の3チーム、Vリーグのウルフドッグス名古屋、日本ハンドボールリーグの豊田合成ブルーファルコン、そしてBリーグの豊田合成スコーピオンズのホームとして使用されている。
このアリーナは豊田合成70周年を記念して作られたもので、エントリオという愛称には「しごと」「地域」「スポーツ」の3つの縁を大切にしていこう、という意味が込められている。
100%豊田合成が作ったアリーナではあるが、有事の際には避難所に変貌。
また試合がない日にも会議室やレストラン、コンビニなどが地域のためにも活用される。
このように一般にも開放されている企業のスポーツ施設は非常に珍しい。
ちなみに豊田合成は「とよだ」と読み、1949年にトヨタ自動車からゴム研究部門が独立してできた企業。
トヨタも元々は「とよだ」読みだったが、現在この読み方を残すのは豊田合成のみである。
スポーツでは上記3チームの他にヨット部もあるなどかなり力を入れている。だからこそこういうアリーナが作れるわけだ。
今回観戦するウルフドッグス名古屋は、旧チーム名を豊田合成トレフェルサという。
地域密着を行うのに伴い、Vリーグではまだ珍しい地域名+愛称の形に改名したかなり気合の入ったチーム名だ。
ただし運営会社は現在でも豊田合成の完全子会社であり、その傘下に入っている。
成績面も改名以降上々で、2022-23シーズンには決勝で3連覇を目指すサントリーサンバーズに勝利し初のVリーグ優勝を果たした。
こういうチームが優勝してくれるとVリーグの地域密着にも弾みがつくだろう。
一方、同じくエントリオをホームとする豊田合成スコーピオンズについても紹介したい。
豊田合成スコーピオンズはBリーグで唯一の企業チームであり、これは同じく企業チームのアイシンアレイオンズが2021‐22シーズンをもって活動休止したため。
B3リーグにおいては波もあるもののおおむね好成績を収めている。
ところが、そんなスコーピオンズも2023‐24シーズンをもってプロクラブ化を断念。
今後はBリーグを退会し、企業チームとして改めて活動を続けていくことになる。
モリモリと成長を続けていくBリーグの裏には、こういう悲しい出来事もあるのだ…。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆

最寄はJR東海道線稲沢駅。
快速が止まらないのが少しネックだが、名古屋から3駅、たったの10分で来れる立地の良さは魅力的。
貨物列車の運行拠点としての側面も併せ持っており、120年以上の歴史を持つ鉄オタにも人気の高い駅である。
そんな名古屋の鉄旅?はこちら。
最寄から★★★★★

稲沢駅からは徒歩3分。ホームからすでにアリーナが見えるほどの近さ。
鳥栖駅から見る鳥栖スタジアムと光景が似ている。

改札を出て左に伸びる歩道橋を渡る。
貨物駅がある影響で、車で渡るのはかなり大変な構造をしている。歩いて行こう。

歩道橋を渡ったら階段を降りる。エレベーターもある。

階段を降りたらそのまままっすぐ歩くだけ。
日本にあるアリーナでもトップクラスの便利さだろう。
【観戦環境】★★★★★

新しいアリーナというだけあって、とにかくキレイで快適。
とても一企業の施設とは思えない立派なアリーナだ。座席の角度も頭が邪魔にならないちょうどいい塩梅。
バレーボールの良さはどの角度から見ても楽しめること。
横から見ればテレビ中継のように楽しめるし、コートを縦方向から見てもサーブやアタックをテレビでは見れない方向で楽しめる。
バスケットボールではコートを縦方向から見るとリングが見えにくく面白さが半減してしまうので、これはバレーボールの強みだ。
本当、Vリーグって結構ポテンシャルあると思うんだけどな…。試合時間が読みにくいのが玉にキズだけど。

少し引いた視点から見たところ。全席背もたれ・ドリンクホルダー付きで至れり尽くせり。
こんなにお金かけちゃって豊田合成大丈夫?と心配になるほど豪華なつくり。ビジョンも手前と奥に1枚ずつあり、どこからでも見える。
そして中央には、少しサイズは小さいものの四面ビジョンまで設置されている。
今のB2~B3リーグでこういうアリーナを欲しているチームはたくさんあるだろう。もちろんVリーグも然り。

強いて言えばアリーナが広すぎて、コートの手前側は客席との距離が少し開いているというネガティブなポイントもなくはない。
とはいえ、観戦に最適化された今のBリーグのトップクラスのアリーナと比べるのはあまりにも酷な話である。

今日の試合は満席で3300人ほど。今のVリーグであればこれだけあれば十分か。
いずれBリーグのように成長したら足りなくなるかもしれないが、果たしてそんな未来は来るだろうか…。

アリーナの最上段は通路になっており、ぐるぐる歩いて回れる。

こちら側はカメラがあるほか実況などを行うブースがあり、VIPルームなどはないものの必要最低限の設備がそろっている。
車いす席も完備。

コートの手前から見るとこんな感じ。やはり少し距離はあるが、写真の見た目よりは見やすい。
実際ほとんど文句のつけようがないアリーナだ。
ちなみにアリーナ内は少し電波が入りにくいのだが、その代わりに無料Wi-Fiが飛んでいてとても便利。
細かいところまで配慮が行き届いている。

壁には3チームのロゴが並べられている。
これがいつまでも減ることがありませんように…。

アリーナに入ったところのコンコース。選手の幕なんかも張られている。

真正面には3チームの栄光の歴史、豊田合成の概要、稲沢市のお祭りなんかが紹介されている。
ここだけでも十分楽しめる。

併設されているコンビニやグッズショップ、

そしてレストランにもアリーナ内から入れるのは非常に便利。意外とこういうことができる施設は少ない。
もちろん中に戻る際にはチケットが必要だが。

こちらが併設のコンビニ。以前はポプラだったようだが今はヤマザキ。
試合前にはレジが長蛇の列となるので、なるべく早めに来るかあるいは必要なものは事前に買っておきたい。

東海道線からも目立つのは3チームのロゴと豊田合成の社名。
こんなに目立つ広告を線路横に置けるだけでも、企業としては十分存在価値があるだろう。
【雰囲気】★★★★☆


Vリーグでは簡素な演出のチームも多い中、光と音、映像を使った演出はなかなか見栄えがする。
グッズとしてペンライトも販売されていて、一斉にピカピカ光る仕組みになっている。
サインボールの投げ込みや抽選プレゼントイベントもあり、そこそこのエンタメ要素はある。
Bリーグと比較するとチアもいなかったりしてちょっと寂しいが、Vリーグの中では上位の派手さだ。

試合中は随時お姉さんの映像が流れ、応援のリードをとってくれる。
コールの種類は「アタック」「ブロック」「サービスエース」「ラッキー」「盛り上げ」の5つ。バレーボールってこうして見ると得点の種類が多い。
また時折判定に対してチャレンジを行うが、その間ちょっと間延びするのはエンタメとして改善点ではある。
審判の喋りも野球なんかに比べてだいぶぼそぼそしてて聞こえにくいし…。
そして気になったのは客層。なんとお客さんの8割以上が女性なのであった。
「ハイキュー!!」効果なのか、Vリーグにおける選手のアイドル化が成功しているのか、ともかくスポーツの試合としてはかなり異様な光景だった。
チアがいないのは、もしかしたらそういう影響もあるのかもしれない…。
なんにせよ客席が埋まってグッズを買ってくれるんならなんだって正解なのだ。
実際Vリーグ女子はお客さんの男女比が逆でもおかしくないしね。

マスコットのウルドくんはなかなかカワイイ。
このアリーナにおける数少ない癒し要素。

フルセットに及ぶ激闘を制し、リーグ屈指の強豪パナソニックパンサーズを撃破。
ウルフドッグス名古屋はVリーグになって力をつけてきているチームの代表格だ。
【グルメ】★★★★☆

アリーナ前のキッチンカーは2台。食事系が1つとスイーツ系が1つ。
観客が3000人台と少な目とはいえさすがにパンク気味で、開店と同時に長蛇の列となった。
さすがにもうちょっとお店が欲しいかな…。

とはいえ客さばきは見事で回転は早い。
一番人気のガパオライスは無難なおいしさがある。たまにはこういう健康的なスタグルも良いだろう。

とかいいつつ、アリーナ内でチョコレートのどら焼きを購入。
それなりにいい値段したが、その分いい記念になったということで…。
【街との一体感】★★★★★

駅を降りると、さっそくこの大きな看板がお出迎え。
逆に言うとエントリオ以外に稲沢駅に降りる用事はあんまりないのかもしれないが。

駅前もウルフドッグス名古屋ののぼりだらけ。

目立つ横断幕もある。

旗もいっぱいある。

駅にはポスターも貼られている。

駅からエントリオまでの通路はウルフドッグス各選手の紹介も兼ねている。
他の2チームに比べてもウルフドッグスが明らかに優遇されている。

先述のコンビニにもしっかりグッズコーナーがある。
つまりグッズショップも兼ねているということ。

コンビニ内にもウルフドッグスのポスターが貼られている。

また、お隣の清洲駅にもポップがある。
果たして「ウルフドッグス名古屋」というほど名古屋感があるかというと微妙だが、少なくともアリーナ周辺は稲沢市や清須市も巻き込んで活動を行っている。
すなわち、豊田合成の覇気が及ぶのがそのあたりということになるのだろう。
ちなみに豊田合成の本社は、清洲駅と稲沢駅のちょうど真ん中あたりにある。
【満足度】★★★★☆
Bリーグのトップクラスと比べると若干の物足りなさはあるが、Vリーグでは間違いなくトップクラスのアリーナと演出だろう。
なにより、一企業の地域貢献の一環でこれだけのものが作れるという事実に震撼する。
さすがトヨタグループはこういうところまで神通力が及ぶからこそ世界を牛耳っているのだ。
そして将来的には、エントリアが小さく感じると言われるまでにVリーグには成長を見せてほしい。
そのためにはBリーグのように一度すべてをぶっ壊すくらいの革命を起こす必要があるが、果たして日本のバレーボール界はついてこれるかな…?
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