注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】

熊本県民総合運動公園陸上競技場(えがお健康スタジアム)は、1998年開場、熊本県熊本市にあるロアッソ熊本のホームスタジアム。
ネーミングライツを取得している「えがお」は熊本に本社を置く健康食品の通販を行っている企業で、決して怪しい会社ではない。たぶん。
開場年に日本陸上競技選手権の会場となったほか1999年国体でも使用された、全国に数多ある国体スタジアムの一つである。
熊本出身のマラソンランナー金栗四三や「九州」「熊本」、更に鳥の羽に似た屋根の形状から「KKWING」という愛称があるが、とても定着しているようには思えない。
なおマラソンで使用される第3ゲートには「金栗ゲート」の名前がついている(それくらいだけにしておけばよかったのに…)。
2002年FIFAワールドカップでは日本とも対戦したベルギー代表のキャンプ地として、2019年ラグビーワールドカップでは予選2試合の会場として使われるなど、割と国際大会でも使用されることの多いスタジアムである。
2016年に発生した熊本地震では救援物資の集積拠点となり、スタジアム自体も照明や客席などが被害を受けた。
全面的に使用が再開されたのは2017年のことで、復旧に丸一年を要することとなった。
そんな本スタジアムを本拠地とするロアッソ熊本は、2005年に創設されたプロサッカークラブ。
ロアッソは「阿蘇」、火の国からインスピレーションを得たイタリア語で赤を意味する「Rosso」、同じくイタリア語でエースを意味する「Asso」を組み合わせた名前。
その歴史は、1969年に創設された日本電信電話公社熊本サッカー部にさかのぼる。
今や「電電公社」で通じない人が多いかもしれないが、今でいうNTTである。
2004年「熊本にJリーグチームを」のスローガンのもと熊本の新聞やアーケードで大々的に広告が打たれ、チーム名やエンブレム、所属選手にいたるまでごっそり入れ替わる形でロッソ熊本(当時)が誕生した。
ロッソ熊本は2008年よりJ2リーグに参入し、同時にクラブ名も今のロアッソ熊本となった。
J2リーグでの成績は可もなく不可もなくといった感じでしばらく推移していたが、2017年に22クラブ中21位、そして2018年も同じく21位で終えあえなくJ3降格を喫した。
2016年に発生した熊本地震の影響も少なからずあったはずだ。
ただ2021年にクラブ初のタイトルとなるJ3優勝を遂げると、翌2022年にはJ2で4位に入る健闘を見せ、J1参入プレーオフも1回戦、2回戦を勝ち上がった。
続くJ1昇格をかけたJ1で16位の京都サンガ戦では1-1の引き分けとなったが、規定によりJ1昇格とはならずあと1点のところで涙をのんだ。
とはいえJ2昇格からいきなりJ1昇格への夢を見られたことは間違いなく、震災やJ3降格で苦しんだことを考えればよくやっていると言えるだろう。
果たして熊本から夢の扉を開く日はくるだろうか…?
【アクセス】
最寄まで★★★★☆

最寄はJR光の森駅。
…なのだが、市街地から熊本駅まで遠いし、熊本駅から光の森駅までも遠いし、光の森駅からスタジアムまでのバスは高いし、特に遠征客にはオススメできない。
遠征客がスタジアムに向かうなら、熊本駅・桜町バスターミナルからのシャトルバス一択である。(今回の行き方及び評価基準はこちら)
この周囲なら徒歩圏内に宿泊施設があるし、市街地なので何でもあって便利なのだ。
他の行き方としてはパークアンドライドがあったり(きっと地元民はほとんどそちらを利用)、あるいは桜町バスターミナルから通常の路線バスもある。
ただ遠征民にとって絶望的なのは、空港からスタジアムに行くルートが無いに等しいこと。
空港から行く場合はほぼタクシー一択となる。
そんな熊本の中心部も散歩した旅の記録はこちら。
最寄から★☆☆☆☆

桜町バスターミナルからはバスで40~50分。いくら渋滞があるとはいえ遠すぎる…。
公式の案内では乗り場が非常にわかりにくいが、この臨時バス乗り場あたりにいればオーケー。

一つ大きな注意点があって、光の森駅と桜町バスターミナルのシャトルバスは事前予約性である。
すなわち予約し損ねたら乗れないということ。
万が一予約できなかったら、少し不便だがおとなしく路線バスに乗ろう。

うんざりするほど走っていくと、ようやくスタジアムが見えてくる。

スタジアムの手前には熊本のソウルフードお弁当のヒライも完備。

スタジアム側のバス乗降場所はこちら。
ゲートからすぐ近くだから分かりやすくはあるが、特に案内も置いていないのでぜひ忘れないようにしよう。

バスを降りたら階段を上って橋を渡る。

そしてようこそえがお健康スタジアムへ。みんなでえがお健康になろう。
【観戦環境】★★★★☆

感想は…とにかくデカい!
国体スタジアムは全国に数あれど、その中でも有数の大きさ。

陸上トラックの分ピッチとの距離はあるが、スタンドが大きくて角度があるので特に見にくさは感じない。

屋根はメインとバックそれぞれを覆っている。
このくらいの観客数であれば十分屋根の下に入れるだろう。ただし残念ながらゴール裏には屋根がない。

このスタジアムで目を引くのは大きな照明塔。
ワイヤーがいっぱいつながっていて迫力満点。

車いす席もたくさんある。

バックスタンドから見て右側。

左側。中央付近の席には辛うじて背もたれがある。

ビジョンも右側と、

左側にそれぞれ。
左の方が立派なビジョンだが、実は画面の大きさはあまり変わらないような気がする。

ホームでの開幕戦ということもあってか、入場時に熊本日日新聞の特集号が配られた。
4面記事がびっしりで読みごたえ満点。

コンコースはなかなか広い。床がいかにも昔ながらのスタジアムである。

こっちの床はキレイ。この違いはなんじゃろな?

どちらかのチームのグッズを身に付けていると反対側のゴール裏には行けないが、そうでなければぐるっと一周コンコースを回ることができる。
そしてこのように極端に通路が狭いところがある。
そのため帰りは混雑することがままある。もうちょっと通路の幅をそろえてくれてたら…。

また上に上がるための通路がある。試合開催時は通行止めとなる。

熊本市街地は遠いものの、周辺住宅街を見渡すことはできる。

運動公園なので外も広い。
だからこそこういう施設が作れるわけである(そしてアクセスが悪い)。

メインの入り口の前には、熊本を牛耳る黒いアイツがいる。
コイツを見ずに熊本に来ることは不可能だ。

スタジアム前ではグルメはもちろん、チンドン屋みたいな人たちが練り歩いていたりしていた。
なかなか独特の空気感で楽しけり。

そしてスタジアムにありがちな謎の像があるが…

その前には栄光のラグビーワールドカップ開催記念のレリーフが埋め込まれている。

大きなラグビーボールもある。
ワールドカップを開催できたことは熊本の誇りになるだろう。

こちらはバックスタンドの裏側。
道路に面しているためか、こちらにスタジアム名が刻まれている。


それぞれのビジョンの裏側。
立派なビジョンの方に各クラブのフラッグがはためいている。

照明塔を横から見る。見れば見るほど特徴的な形状をしている。
熊本地震ではその形状があだとなったのか被害を受け、試合開催に必要な輝度を出せない状態となった。

スタジアム外には青いラインでランニングコースが引かれており、大学生が集団走をしていた。
おそらく試合開催には影響のない場所にコースが設定されているのだろう。

ピクニックによさそうな斜面があり、緑の部分は実際に滑れるようだ。
こういう場所を見るとなぜか水曜どうでしょうのオープニングを思い出す。

広場を挟んで反対側には屋内運動場であるパークドーム熊本がある。

こちらは1997年の世界男子ハンドボール選手権の誘致のために作られた施設とのこと。
熊本も実はいろいろと世界大会の舞台になっている場所である。
【雰囲気】★★★★☆

試合前には、熊本出身の水前寺清子さんがロアッソ応援歌として歌った「HIKARI~輝く未来へ~」を歌って士気を高める。

そして選手入場。
スタジアムがデカすぎるため空席も目立つが、しかしスタジアムの一体感、熱量はなかなかのものだ。

コーナーキックではより一層声援が大きくなる。

そしてゴールが決まるとスタジアム全体がどわっと盛り上がる。
この歓声を聞きたいがために全国のスタジアムに行っているのだ。

この日は2回もおかわりさせてもらった。こりゃ贅沢ばい。

ロアッソ熊本サポーターは意気揚々と引き上げるのであった。
【グルメ】★★★★★

もちろん公園中にグルメのお店が出ており、その数は32にも上る。
今回の熊本旅で最も楽しみにしていた瞬間である。

まず見つけたのは、赤牛の牛串。赤牛は熊本で生産されている和牛の一種。
あらかじめ焼いてあるが注文を受けてもう一度焼いてもらうことができ、適度に塩コショウも効いたジューシーな一本。
一口食べたとたん、本日の「勝利」を確信した。

そんな赤牛をうしうしと食べながら並んで求めたのは、オーシャンズセブンストリートのビーフwithライス。はたから見たら牛を食べながら牛の列に並ぶ奇妙な客だっただろう。
そしてこの大きさでスモール(900円)なのだから驚きだ。
その名の通り、ビーフとライスだけの豪快な一杯。酸味の効いたソースをかければパクパク食べられるが、個人的にはそれすらなくてもいいくらい。
どうやら行列の長さ的にこのスタジアム一番の名物のようだ。

熊本のB級グルメらしい、肥後のたこ坊のライス焼きも購入。
余った白米をお好み焼き風に焼いたのがその始まりらしい。
付属のマヨネーズを付けることで食欲が刺激されおいしさもアップ。
家でも試せそうなのでやってみようかな。

熊本に来たら馬も欠かせない、ということで馬メンチカツを購入。
ロアッソのロゴでもありマスコットでもある馬を食べてしまうのは少々忍びないが、思ったより肉々しさが強くかなり満足感がある。
馬に「にく」まれないよう、感謝していただきたい一品。

この日は熊本商業高校の学生さんが直々にこちらのランチパックを販売していたので応援がてら購入。
能登半島地震への復興支援の一環であり、被災した熊本と能登を結ぶ魂のパンだ。
そしてお味の方はというと、クリーミーな栗のクリームがパンとバツグンにマッチし、お世辞抜きにとんでもなくおいしかった。
全国で定番商品にしても間違いなく売れるポテンシャルがある。そんなに数は作れないのかもしれないけど。
ロアッソ熊本のスタグルは、味も、量も、そして心も大満足のメニューがそろっていた。
熊本の人は幸せばい。
【街との一体感】★★★★☆

スタジアム前のシャトルバス乗り場の近くにロアッソ熊本マンホールを発見。
どうやら熊本水道開通100周年を記念したものらしい。

こちらは桜町バスターミナル側のシャトルバス乗り場近くのコンコース。
とにかく目立つロアッソ熊本のポップが飾られている。


熊本中心部のアーケードでは、ロアッソ熊本と熊本ヴォルターズの二大勢力が目立っている。

そんなアーケードにあるスポーツショップには、

ロアッソ熊本の試合情報が置かれている。

肥後銀行もロアッソ、ヴォルターズ、そして火の国サラマンダーズを応援。
ただ街での存在感はヴォルターズに若干押され気味に感じた。中心に近いヴォルターズの方がやはりなじみやすいのはあるかもしれない。
【満足度】★★★★☆
えがお健康スタジアムで最も心に残ったのは、なんといっても圧倒的なグルメ!であった。
このスタグルの充実ぶりはJリーグでも屈指といってよいだろう。
あとロアッソに足りないのは、J1クラブという称号だ。
群雄割拠のJリーグ九州勢において、熊本は政令指定都市としての意地を見せていきたいところ。
J1に到達するその日まで、がまだせ!ロアッソ!
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