人口世界最多の国、インド。
一人っ子政策を推し進めた中国を抜いて、2023年に初めて人口世界最多となりました。
人口は14億2800万人を超えていて、日本の10倍以上の人たちが暮らしています。
その一方、スポーツの国際大会においてインドの名前を聞くことはあまりありません。
ワールドカップにも出場したことがないし、オリンピックでもインド人選手はあまり見かけません。
果たして14億ものインド国民は一体どういったスポーツ生活を送っているのでしょうか?
そんなインドとスポーツの関係を調べてみました。
1.インドってどんな国?
そもそも、アメリカや中国などと比べるとインドって知っているようで知らない国です。
そこで、まずは簡単にインドという国について紹介します。
インドは先述の通り人口世界最多の国で面積は世界7位。ユーラシア大陸のほぼ真ん中に位置しています。
首都はデリー、公用語はヒンディー語。国家元首は2024年現在ムルム大統領ですが、実質的な権限はモディ首相と内閣が握っている状態です。
インドは世界三大宗教の一つである仏教発祥の地ですが、現在は土着と結びついたヒンドゥー教が圧倒的多数を占めています。
インドを理解することはヒンドゥー教を理解することとほぼ同じであり、ヒンドゥー教はインド社会と強く結びついています。
日本人がインドをよく知らないのはヒンドゥー教になじみがないから、と言っても過言ではありません。
ヒンドゥー教がどういう宗教なのか、というのはとても難しいので各自勉強していただく方が良いかと思いますが、私の理解では「日本昔ばなしみたいな宗教」だと思っています。
インド各地に住んでいた昔の人たちが考えた話が、いつの間にかそこかしこで信仰を得るようになって収拾がつかなくなった、みたいな感じに思えます。
ヒンドゥー教について知りたい方はYouTubeとかもどうぞ。
はたから見ていると面白いヒンドゥー教ですが、インドに根強く残るカースト制度とも強く結びついておりそれが経済成長の妨げになっているという話もあるので、なかなか笑えない話でもあります。
2.インドの国際大会での成績はなぜ振るわないのか
少し本題からそれてしまいましたが、改めてインドのオリンピックでの成績を見てみましょう。
インドは1900年のパリオリンピックから参加している(1947年まではイギリス領)古参の国ですが、これまでに獲得した金メダルの数はわずか10個。
しかもここ40年での金メダルはわずか2個と、人口の多さを考えると非常に寂しい状況になっています。
(2020東京オリンピックではチョプラ選手が男子やり投げでインド陸上界初の金メダルを獲得しています)
またサッカーにおいてもワールドカップに出場したこともありませんし、アジアカップでも予選を突破したことがありません。
なぜインドは人口世界最多なのにスポーツは国際的に目立たないのか?というのは普遍的なテーマであり、ちょっと調べるだけで記事がたくさん出てきます。
以上の記事で挙げられている理由は以下の通りです。
①非同盟主義
第二次大戦以降、戦争ができなくなった世界各国は代わりにスポーツを国威発揚の場として活用しました。
しかしインドはそこに参加しなかったため、スポーツの発展で出遅れたというのです。
②カースト制度
インドに根強く残るカースト制度では、生まれながらにして身分が決まってしまいます。
異なる身分の人たちは全く異なる生活をするため、スポーツですら一緒に楽しむ環境ではないのだそうです。
そのためスポーツがなかなか広まらないと考えられています。
③貧困
貧富の差が激しいインドにおいては、人口の21%が1日1.9ドルで生活しているというのです。
そんな状況では、当然スポーツどころではありません。より実になる可能性の高い勉学に励む方が現実的ですし、その前に働かなければなりません。
④クリケット人気
インドにおいてはオリンピック競技になっていないクリケットの人気が非常に高く、そこにスポーツ人気が集中してしまうというのです。
クリケット人気の高さについては次の項目で紹介していきます。
なおインドではホッケーが国技とされていて、オリンピックで獲得した10個の金メダルのうち実に8個がホッケーによるものです。
このようにインドにおいては人気競技の偏りが大きく、国際大会で受ける印象よりもインドのスポーツレベルは低くない、のかもしれません。
3.インドのクリケット人気
それでは、インドでのクリケット人気はいかほどなのでしょうか?
クリケットのインドプレミアリーグは2008年開幕と意外に歴史は浅いのですが、視聴者数はなんと6億人と言われています。
いくら人口が多いとはいえ、あまりにけた違いですね…。
ちなみにインドで2番目に人気のスポーツはカバディで、視聴者数は4億3500万人、3番目はサッカーで2億1600万人。
サッカーですら3番目になってしまう、インドのスポーツ界の特殊性が分かりますね。
そんなクリケットのインドプレミアリーグの規模もまた超巨大です。
1チーム平均資産価値はアメリカの4大リーグの一つであるNHLを上回り、放映権料に至ってはNFLに次ぐ世界第2位だというのです。
更に1試合当たりの観客動員数は2万8500人で、日本のプロ野球と比べても引けを取りません。
知名度こそ高くありませんが、インドのクリケットは世界的な規模を誇る巨大スポーツリーグなのです。
ちなみに日本で有名な「巨人の星」がインドに輸入されたことがあるのですが、その際主人公がやるスポーツは野球ではなくクリケットに変更されたということです。
どのような変更が加えられたのか興味深いところですね(バンダイのチャンネルで見られるそうです)。
またYouTubeにはカバディの動画がありますが、なかなかにアツいです。
生で見てみたら結構楽しいかも。
4.まとめ
以上、インドのスポーツ界について調べてみました。
国際的な大会で活躍することが少ないためインドのスポーツはレベルが低く思われがちですが、クリケットやカバディといった世界的に見ればマイナーな競技に人気が集中している特殊構造も見えてきます。
クリケットやカバディのプロリーグは世界的なプロスポーツリーグと比べても引けを取らない規模がありますし、このような国は世界中見回しても唯一無二です。
このクリケットリーグやカバディリーグを見に行けたら、さすがに超スポーツマニアを名乗っても良いでしょう。現地にいったらめちゃくちゃ楽しそうです。
でもインドの水で腹を壊しそうだ…。
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