世界第二の大国、今やアメリカと世界の覇権を争うアジアの雄、中国。
日本がここ30年経済が停滞している間にさっさと追い抜いてしまい、十分に国力をつけたからかアメリカにもいろいろとちょっかいを出すようになりました。
ロシアに代わる新冷戦のはじまり、と見る向きもあるようです。
とりあえずここではそんなきな臭い話は置いておくとして、そんな中国という国をスポーツの観点から見てみたいと思います。
前回の韓国編はこちら。
1.国家戦略としての中国スポーツ
1949年の建国当初、中華人民共和国(以下中国)の大きな方針の一つとして「国民の健康を促進し、大衆スポーツの普及と労働力・国防力を向上する」というものがありました。
この方針により、中国におけるスポーツは国家戦略の柱の一つという位置に置かれ、重要な意味を持たされました。
1951年にはラジオ体操の推進、1952年には国家主導でのスポーツの強化がスタートし、国民健康の底上げと国威発揚の両輪でスポーツを用いた国力の強化が行われました。
なんとも中国らしい、国家の利益を最大限に考えた合理的な政策と言えます。
また1971年に名古屋で行われた世界卓球に6年ぶりに中国が参加した際には、試合の勝敗よりもアメリカや日本など各国との友好を優先。
試合とは別の意味で非常に緊張感の高まる大会となりましたが、ピンポン外交とも呼ばれるこの手法はのちの日中国交正常化にもつながるなど、中国の外交において重要な意味を持ちました。
2008年、そして2022年には北京にて史上初、夏冬の両方のオリンピックが行われました。
2008年の北京オリンピックではアメリカをしのぐ48個の金メダルを獲得、2022年の北京オリンピックでも世界3位となる9個の金メダルを獲得。
中国のスポーツ政策は一定の効果を上げていると言えましょう。
2.人気の高いスポーツは?
しかし中国はオリンピックでやたら強いのは知られていますが、興行としてのスポーツがどれだけ盛り上がっているのかについてはあまりイメージがわきません。
中国で最も視聴率が高いスポーツはバスケットボールで、以下サッカー、卓球、体操、バドミントンと続くようです。
ただその中でもバスケットボールはずば抜けているようで、NBAはもちろん国内リーグも人気があり、3億人近くのファンがいると言われているそうです。
バスケットボールが中国に渡ったのも1891年と非常に歴史が古く、2002年にヤオミンがNBAで活躍するとその人気は一気に高まりました。
そんな中国のバスケ人気においては、日本の漫画「スラムダンク」の影響も無視できません。
80年代から90年代生まれの中国人で知らないものはおらず、映画「THE FIRST SLAM DUNK」も記録的なヒットとなりました。
アニメのオープニングの舞台となっている江ノ電の鎌倉高校前駅近くの踏切は、今もなお常に聖地巡礼に来た中国人でごった返しています。
スラムダンクが中国に入ってきた頃には国内にまだそれほど娯楽がなく、その面白さは中国人にとっても衝撃的だったみたいです。
また中国と言えば卓球のイメージが強いのですが、国内での人気はバスケやサッカーに及ばないようです。
むしろあまりに強くなりすぎたために、注目度が低下してしまうという問題すらあるといいます。
そのため、あえて世界各国にコーチを派遣して強化し、卓球全体を盛り上げて人気を取り戻そうという動きもあるようです。
さすが中国はやることのスケールが大きい!
3.なぜ中国のサッカーは弱いのか
そんなスポーツ大国の中国ですが、中国の最大の弱点と言えば「サッカーが弱い」こと。
2002年の日韓ワールドカップには出場しましたがそれっきりで、アジアカップでも優勝はおろか年々成績が下がっている始末。
国内リーグも一時期非常に力を入れていましたが、国外の有名選手が中国でプレーした一方で国内の選手が育たず、結局停滞してしまいました。
「なぜ中国のサッカーは弱いのか?」
この理由はこれまで各所で考察され続けていますが、強かった時期がない以上明確な答えが出てくるはずもありません。
強かった時期との比較のしようがないですからね。
一応↓の記事ではいろいろ理由も出されていますが、どれもいまいちしっくりくるものではありません…。
ただこの中でもし可能性があるとすれば、「中国人は団体で何かを成し遂げるのが苦手」というのは一つあるかもしれません。
中国人は一般的に「利己主義的」と考えられていて、自らの利益を追求するのは得意な一方、団体でまとまって結果を出すのは苦手と言われています。
それが本当なら、11人でみんなで助け合って行うサッカーはやっぱり苦手、ということになります。
とはいえ私自身中国で過ごしたこともないですし、私の知っている中国人は別にそんなに利己主義に走っているとも思えないので、この説が正しいのかどうかは分かりません。
いずれにせよ、中国に何か特別な事情があるのは間違いないでしょう。サッカーに限らず団体競技はどれも苦手なようですから。
4.まとめ
以上、中国のスポーツ界についてでした。
それなりに閉じた国(といっても鎖国しているわけではないですが)なのでなかなかその内情も見えてきにくいのですが、世界第二の大国ゆえそのスポーツ事情もなかなか特殊なものがあるようです。
少なくともオリンピックで結果を出しまくっていますから、その点においては学ぶべきところも多いのは間違いないでしょう。
ただ娯楽としてのスポーツが中国においてどれほどの意味を持っているのかについては、実際に中国に行ってみないと分かりにくいところもあるかもしれません。
いつか中国にスポーツ観戦しに行ってみようかなあ…。
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