世界規模で行われるスポーツイベントと言えば、オリンピックやワールドカップなどが思い浮かびます。
しかし世界一の大国USAで最も盛り上がるのは、そのどちらでもありません。
アメリカンフットボールNFLの頂上決戦、スーパーボウルこそがアメリカ最大、いうなれば世界最高のスポーツイベントなのです。
でも、日本人にとってはアメフトもよくわからないし、スーパーボウルについてなじみがない人が多いと思います。
そこで今回は世界最大のスポーツイベントの一つ、スーパーボウルについて紹介していきたいと思います。
1.スーパーボウルとは?
スーパーボウルとは、アメリカンフットボールの最高峰NFLの頂上決戦です。
アメリカンフットボールカンファレンス(AFC)とナショナルフットボールカンファレンス(NFL)の優勝チームがぶつかり合います。
第1回は1967年と野球のワールドシリーズなどと比べると歴史は浅いのですが、今やアメリカ最大、あるいは世界最大規模のスポーツイベントに成長しました。
実際、一日当たりの経済効果はオリンピックやワールドカップをもしのぐと言われています。
観戦チケットも超高額で、平均価格は3000ドル(およそ30万)をゆうに超え、特別室での観戦は30万ドル(およそ3000万円)では足りないくらいです。
スーパーボウルの日はピザ屋のバイク以外道路を何も走っていない、みんながハーフタイムに一斉にトイレに行くため水道管が破裂した、指名手配犯をおびき寄せるためスーパーボウルのチケットのニセ当選通知を送った、などの都市伝説もあるほど。
さて、日本人がスーパーボウルと聞くと、↓を思い浮かべるかもしれません。
実は、スーパーボウルの語源もまさにこれなのです。
AFL創設者であり、スーパーボウルの名付け親であるラマー・ハントは、子供がスーパーボールで遊んでいるのを見て、優勝決定戦をスーパーボウルと呼び始めました。
元々アメフトが盛んだったアメリカの大学リーグでは、その地方の特産品に~ボウルとつけて呼ぶのが慣習となっていました(シュガーボウル、コットンボウルなど)。
それにならって付けられたのがスーパーボウル、というわけです。最初は安直すぎるという意見もあったようですが、いつの間にか定着しました。
ちなみに、日本の社会人優勝決定戦は「ライスボウル」と言います。おにぎり🍙?
2.なぜスーパーボウルはそんなに盛り上がるのか?
さて、スーパーボウルはなぜそんなにも盛り上がるのでしょうか?
その秘密はいかにもアメリカらしい、徹底的に合理化されたエンターテインメント性にあります。
・アメフトという競技の面白さ
そもそもアメフトというスポーツ自体が、エンタメとして完成されています。
激しいタックルの迫力、パスが決まるかどうかの緊張感、細かい戦術上の駆け引きなど、スポーツとしての面白みが詰まっているのです。
それに加え、終盤で逆転できるかどうかが絶妙なバランスとして成り立っているのです。
例えば2022年の第56回スーパーボウルでは、第3クォーター終了時にシンシナティベンガルズが20‐16とロサンゼルスラムズをリードしていました。
しかしラムズは残り1分25秒でタッチダウンを決めて23‐20と逆転、そのまま逃げ切り優勝を決めました。
タッチダウンを決めるためにはオフェンス側は一つのミスも許されず、また合間合間でプレーが止まるので、観客もドキドキ感をずっと味わうことになります。
この緊張感は同じアメリカンスポーツの野球にも通ずるものがあります。
アメリカンスポーツの象徴でもあるアメフトは、アメスポがショーとして見られることを意識して作られていることを体現しているスポーツです。
このヒリヒリ感は、是非とも一度スーパーボウルを見て味わっていただきたいです。
・徹底した戦力均衡
スーパーボウル、というよりNFLの面白みは、徹底した戦力均衡にもあります。
まず利益に関しては、大都市のチームであろうとそうでなかろうと全チームに対して平等に分配されます。
世界一の資本主義国家が社会主義のようなやり方を導入しているのは大変面白い話ですが、ともかく資金については不公平が生じないよう工夫がされています。
選手の年俸についてもサラリーキャップ制がとられており、上限と下限がそれぞれ決められています。
これにより、資金力が潤沢なチームに戦力が集中することを防いでいるのです。
更にドラフトではウェーバー制がとられており、弱いチームほど有望な選手を獲得することができます。
日本のプロ野球では1位指名については抽選が行われていますが、NFLではとにかく戦力が均衡するようなドラフト制度となっています。
そして極めつけが、情報隠匿の禁止です。
試合を行う前にはそれぞれ対戦相手の情報を調べ上げるわけですが、そのためのスカウティング映像についてはリーグで管理されており、情報を独り占めすることは許されません。
更に新戦力獲得のための調査も、情報を全チームに共有しなくてはなりません。スカウト合戦は許されず、全選手の情報が同じテーブルに並べられるのです。
このようにありとあらゆる手段を使って徹底的に戦力均衡が図られています。
ヨーロッパサッカーのようなビッグクラブのマネー合戦とはまるで逆の制度ですが、おかげでこれまでのスーパーボウルの歴史で3連覇を達成したチームは一つもなく、2連覇ですら3チームだけです。
・試合より盛り上がるハーフタイムショー
スーパーボウルにおいてもはや試合よりも楽しみにされているのが、ハーフタイムショーです。
現在では一大イベントとして盛り上がっているハーフタイムショーですが、1993年までは試合に比べてガクッと視聴率が下がっており、運営側も頭を抱えていました。
それを変えたのがかのスーパースター、マイケルジャクソンです。
ハーフタイムを盛り上げたいNFL側がマイケルジャクソンに頼み込みましたが、当初は難色を示されました。
しかしスーパーボウルのハーフタイムショーは世界中で見てもらえることが決め手となり、出演の承諾を得ることができました。
結果的に試合の前半よりも視聴率が上がり、大成功に終わりました。
以降、エアロスミス、ポールマッカートニー、ローリングストーンズなど世界に名だたるアーティストが出演するようになり、出演する側にとっても「成功の証」として広く認知されるようになりました。
ちなみに、出演するアーティストはノーギャラであることが慣例となっています。
これはマイケルジャクソンが「夢を見るにはお金はかからない」としてギャラを断ったのがきっかけ。くぅ~、なんて粋な男なんだ。
3.アメフトのルールをちょっとだけご紹介
ここでは、スーパーボウルを楽しむためにアメフトのルールをちょっとだけ紹介します。
試合を楽しむために最低限これだけ覚えておけば十分です(というか私も細かいところはよくわからない)。
・攻撃は4回で10ヤード獲得を目指す
アメフトは基本的にボールを持っている側が攻撃、相手側が守備です。
攻撃側の最初の目的は、4回の攻撃でボールを10ヤード(およそ9メートル)進めることです。
中継を見ているとCGでラインが出てくるかと思いますが、例えば「1st&10」と書いてあるときは「今1回目の攻撃で、残り10ヤード」という意味です。
ボールを進めるためには、大きく分けてランとパスと呼ばれる二つの方法があります。
ランはボールをもって前に走ること、パスは前にいる選手にパスを出すことを指します。
パスはランに比べてボールを大きく前に進めることができますが、その分失敗する確率も高く、逆に守備側がキャッチしてしまうと大ピンチに陥る危険もあります。
まさにハイリスクハイリターンの作戦で、攻撃側がボールをキャッチできるかどうかが大きな見どころになります。
そして4回の攻撃で10ヤード獲得に失敗すると攻守が逆になります。
相手の攻撃が自分の陣地の近くから始まることを防ぐため、4回目の攻撃はキックでボールを大きく蹴りだすことが多いです。
そのため、実質的には「3回の攻撃で10ヤード進められるか」が大きな見どころになります。
ただし4回目の攻撃でランやパスを行うこともあり、その場合は「ギャンブル」と呼ばれます。主に試合終盤で出てくるプレーで、一気に緊張感が高まる場面です。
・最終的にタッチダウンを目指す
攻撃側が守備側の陣地に近づいていくと、「1st&GOAL」などと表示されるようになります。
このGOALとはタッチダウンのことを指し、ボールをもって相手陣地のラインを超えるとタッチダウンとなり6点を獲得することができます。
この時、ラグビーのトライと違い地面にボールをつける必要はありません。相手陣地のライン上に仮想の壁があるようなイメージで、壁をボールが突破すればタッチダウンとなります。
タッチダウン後はフィールドゴールとトライを選択することができます。
フィールドゴールはキックで相手のゴールポストの間を狙うプレーで決まれば1点。トライは2ヤードから再度攻撃するプレーでタッチダウンが決まれば2点となります。
どちらを選ぶかは試合状況によってきめますが、選択次第で試合の行方が変わることも…。
・とはいえ、見てみないと分からない。
とまあいろいろ書いては観ましたが、結局見ないと分からないし、見れば分かると思います(笑)
それでも、まずは最低限上記のことが分かっていれば十分に試合を楽しむことができるかと思います。
タイムアウトの駆け引き、クラウドノイズ、フォーメーションなど理解していればより楽しめますが、細かいことは試合中に解説してくれるので心配ありません。
下の動画も参考にしながら、まずはスーパーボウルを楽しんでみましょう!
ちょっとわかってきたらこういう動画を見るととても楽しめます。
4.まとめ
日本ではなかなか浸透していないアメフトですが、その最高峰であるスーパーボウルは本当に面白いスポーツイベントです。
スタジアムの盛り上がりや熱狂度合い、プレーの迫力やそれに相反する戦術の緻密さなど、さすが世界一の大国アメリカと思える魅力が詰まっています。
ぜひ野球もサッカーもないシーズンオフの暇つぶしにいかがでしょうか?
世界最高のスポーツエンターテインメントが、そこには待っています。
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