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天皇杯・皇后杯とは?【コラムその19】

プロスポーツにおいて、 リーグ戦の優勝というのは一番大きな目標になることが多いです。

セリーグやパリーグ、Jリーグ、Bリーグなど、それぞれ独自のリーグ戦があり、1年を通して熱い戦いが行われています。

 

そんな中、日本においてはリーグ戦とは別にカップ戦が設けられている場合があります。

カップ戦にもいろいろな種類がありますが、どの競技においても共通の名前を冠するのが「天皇杯」あるいは「皇后杯」です。

こればっかりは海外のどんな国でも真似することのできない日本独自の大会ですよね。

 

今回は、そんな天皇杯・皇后杯にスポットを当ててみたいと思います。

 

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1.天皇杯のはじまり

スポーツにおける天皇杯の始まりは、競馬です。

もともと明治天皇は馬事に関心が深く、横浜で行われていた競馬に対していろいろと景品を下賜されていました。

そして1905年、正式に横浜競馬場にてエンペラーズカップが行われました。これが最初の天皇杯になります。

 

余談ですが、横浜競馬場は今は根岸森林公園として市民に親しまれる公園になっています。

馬の博物館があったり、ボロボロながら立派なスタンドが残っていたり、そして今もなお馬がいたり(天皇賞を制したマイネルキッツ)します。競馬好きならなかなか楽しめるかと思います。

www.bajibunka.jrao.ne.jp

 

2.天皇杯を下賜されている競技の代表例

天皇杯は、原則として1競技1つが与えられます。天皇杯を下賜されているということはその競技、あるいは競技団体が一定の権威を持っているということを表しています。

 

そのうち、いくつか代表例を紹介したいと思います。

・大相撲

大相撲では本場所で優勝した力士に天皇杯が送られます。正式に下賜されたのは1925年のことで、日本で断トツに歴史があります。

両国国技館で3回、そして大阪、愛知、福岡でそれぞれ1回ずつ行われ、年に6回も行われています。天皇杯の使い方としては一番贅沢な使い方ですね(笑)

 

・競馬

天皇杯の元祖である競馬では天皇賞(春)、天皇賞(秋)の年に2回が行われています。正式に天皇賞として始まったのが1937年なので相撲より後なのですね。

 

天皇賞(春)は京都競馬場で行われる3200mのステイヤー向きの競争であるのに対し、天皇賞(秋)は東京競馬場で行われる2000mの中距離競争です。

全く性格の違う競争ですが、回数としては通し番号になっていて基本的に春が奇数、秋が偶数です。

 

なお天皇杯を授与されるのは、騎手でも調教師でも馬でもなく、馬主です。

 

また牝馬だからといって皇后賞があるわけではなく、その代わりに?エリザベス女王杯が行われています。

 

・野球

野球の天皇杯なんて聞いたことないぞ…?と思うかもしれませんが、野球において天皇杯を下賜されているのはNPBではなく、東京六大学野球なのです。六大学野球のほうが歴史が長いので無理もありません。

競馬と同じく春と秋にリーグ戦が行われ、優勝チームに天皇杯が贈られます。

 

プロとアマのしがらみが大きい野球界ですが、いずれその垣根を超えた大会が開かれたらいいなあと思っています。

 

・サッカー

天皇杯と聞いて真っ先に思い浮かぶのがサッカーではないでしょうか。

天皇杯を下賜される前からの長い歴史がある大会で、第1回は1921年、そして2020年には第100回を迎えます。

 

Jリーグが発足するまではアマチュアの大会であり(当たり前か)、最多優勝チームは現在もなお「慶応義塾大学」です。

もちろん今でもアマチュアチームの参加が認められていて、参加チームは2500を超えます。誰にでも日本一の可能性が開かれているのが素晴らしいですね。

そんなアマチュアチームが時折プロクラブに勝利してしまうジャイアントキリングが見られるのも見どころの一つとなっています。

 

そして決勝は元日に行われるのが恒例となっており、朝からニューイヤー駅伝を見て、そのあと天皇杯決勝を見るのが私のルーティーンです^^;

ただ日程が過密になってきた影響で元日から前倒しすることも検討されているようです。見る側からしたら元日のほうが雰囲気があっていいのですが、選手のことを考えればやむを得ないのかもしれません。

 

・バスケットボール

サッカーに比べ少し影の薄いバスケットボールの天皇杯ですが、それでも第1回は1922年とサッカーに負けないほどの歴史を誇ります。

ただBリーグ発足までは実業団チームの独壇場でしたので、一般的に影が薄いのは仕方ないところです。今ではBリーグ優勝に次ぐ栄誉ととらえられており、さいたまスーパーアリーナで行われる準決勝、決勝は毎年熱戦が繰り広げられています。

 

3.え?そんなものまで?な天皇杯

他の競技を見ても、卓球、柔道、バレーボールなど皆が納得できる競技が並んでいる天皇杯ですが、よくよく見るとえ?なんで?と思うようなものもあります。

・なぎなた

な、なぎなた?申し訳ありませんが、私はテレビでなぎなたの大会を見たことがありません。

しかも、唯一天皇杯がなく皇后杯だけが下賜されているようです。つまり女性しかもらえないようです。

調べたところ、なぎなたというのは基本的に女性が行う武道なんだそうですね。勉強になりました。

・相撲

え、相撲なら上にあるじゃん、と思うかもしれませんが、アマチュアの全日本相撲選手権大会にも天皇杯が下賜されています。1競技1つって言ってたのに…。

まあ野球も軟式野球で1つ下賜されているので、特例もあるということでしょうか。一応大相撲とは別団体のようですし。

・農林水産祭

もはやスポーツではなくなってしまいました農産・蚕糸部門、園芸部門、畜産部門、林産部門、水産部門、多角化経営部門、むらづくり部門でそれぞれ表彰されているようです。

農業は日本の根幹をなす産業なので天皇杯によって活性化されるなら別に文句はないんですけど、これができるなら工業とかにもあってもいい気がします。

 

4.まとめ

以上、天皇杯や皇后杯にもいろいろあるよというご紹介でした。でもどんなに違う競技であっても、天皇杯という同じ目標に向かっているのがなんとも面白く、また日本が誇るべき文化であります。

これから天皇杯をめぐってどんなドラマが繰り広げられるのでしょうか。楽しみです。

 

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