注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
東京スタジアム(味の素スタジアム)は、2001年開場、東京都調布市にある東京ヴェルディのホームスタジアム。
東京スタジアムの過去の記事はこちら。
ヴェルディの歴史は、1969年に創部された読売サッカークラブにさかのぼる。
将来のプロ化を視野に入れた当時のサッカー協会会長が、読売ジャイアンツ創始者であり読売新聞会長でもあった正力松太郎に話を持ち掛けたのがその始まり。
当時より国立競技場をホームとする、れっきとした東京のクラブであった。
1978年にJSL1部へ戦いの場を移すと、1980年代以降は日産自動車サッカー部としのぎを削り、優勝5回を数える名門クラブへと成長した。
1992年にはJリーグ開幕に併せてヴェルディ川崎へと改称。
迎えたJリーグ開幕戦では、同じく日産自動車サッカー部から改称した横浜マリノスと歴史的な一戦を戦った。
そしてJリーグチャンピオンシップでは鹿島アントラーズを破り、栄えあるJリーグ初代王者に輝いた。
翌1994年にもJリーグ王者となったが、現状ではそれが最後のリーグ戦優勝となっている。
Jリーグが開幕してからの30年間、決して楽しいことばかりではなかった。
川崎市との軋轢、読売新聞、日本テレビの撤退、2度のJ2降格。
Jリーグ初代王者が歩んだ道のりは、あまりに苦難の連続であった。もはや30年前の栄光の歴史も、記憶の彼方となっていった。
もがきもがき続けてきたヴェルディであったが、2023年滑り込みで昇格プレーオフ優勝。
実に16年ぶりとなるJ1の舞台へ這い上がってきた。
気付けばJリーグの歴史の半分以上をJ2で過ごしてきた。もうこれ以上の苦しみを味わいたくはない。
16年ぶりとなるホームでの東京ダービー、東京の名門クラブとしてこの一戦負けるわけにはいかない。
緑の伝統を胸に、東京の誇りを、栄光の歴史を、この手に取り戻せ。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄は京王線飛田給駅。
味の素スタジアム前の副題がついていて、試合開催時には特急も臨時停車。京王も全力でバックアップする。
ちなみに飛田給という独特の地名の由来は諸説あるものの、結構歴史が長いらしい。
最寄から★★★★★
飛田給駅からは徒歩5分ほど。
左右どちらの歩道でもスタジアムに行けるが、右からだと大回りなもののの通りを横切らなくていいので楽。
帰りはどっちの道も混みあう。
ラグビーワールドカップ開催を記念したマンホールもあった。
今回初めて気づいたような気がするが、もしかしたら以前の記事にもあるかもしれない。記憶があいまいで…。
WELCOME TO 「OUR」 HOME GAME。
このゲートを通らないとスタジアムにはたどり着けない。
踏み絵みたいなものか。
【観戦環境】★★★★☆
陸上トラックがある分距離があるものの、それなりには見やすい。
なんだかんだ言われるスタジアムだけど、個人的には嫌いじゃない。好きでもないけど。
とはいえ、国立競技場も味の素スタジアムも陸上トラックはろくに使ってないんだから取っ払っちゃえばいいのに、とは思う。
その辺を調整するのが都の仕事であり国の仕事だと思うのだが…。ま、使えるものを無くすってめんどくさいんだろうな。
コーナーキックもちゃんと見える。臨場感はないが。
ただバックスタンドは西日がすごい。
帽子は必需品だったかも…。
アウェイのFC東京側のスタンド。
ホーム東京ヴェルディ側のスタンド。
ほとんど違いはなく、無味無臭のスタジアムである。
ビジョンはそれぞれについているが、微妙にサイズや縦横比、時計の有無などに違いがあるらしい。
まあ、気にしないか。
メインスタンド側にはVIP席っぽい部分とリボンビジョンがある。
しっかり東京ヴェルディのホームであることをアピールしている。
バックスタンド側にも東京ヴェルディの横断幕がある。
座席にはちゃんとドリンクホルダーもあり、使い勝手はよい。
ただ階段が段ごとに長さが違うやつなのがちょっと嫌い。特に降りる時リズムが変わっちゃうのだ。
手すりを付けるより階段の長さをそろえる方がつまづき転倒防止には効果あるよ。
東京、とはいうものの周りは自然豊かだし、調布飛行場があるためたまに近くを飛行機が飛んでいく。
ちなみにグラウンドは地面から掘り下げられて作られているが、これはスタンドや屋根を飛行場の制限より低く作るための措置である。
コンコースはこんな感じ。やっぱり無味無臭。
地味に屋根より通路の幅の方が広いため、雨の時はちょっと苦労する。
もちろん身に着けているグッズでの通行規制はあるようだが、なんか結構ゆるゆるな感じだった。
この日は警察も来ていたようだが、無用なトラブルが起きないことを願う…。
このスタジアムであんまり好きじゃないのが、トイレが一段下にあるところ。
あんまりバリアフリーじゃないし、何せ面倒くさい。スペース的に合理的ではあるんだろうけど…。
スタジアム外にも通路があるが、こちらは途中で途切れてしまっている。
日産スタジアムみたいに一周回れたらランニングにも使えそうなのに。
こちらはホームゴール裏を外から見たところ。ちゃんと横断幕が張られている。
スタジアム外にはあじペン広場とあじパンダ広場がある。このスタジアムの数少ない味の素要素だ。
よく見るとその隣にひっそりオリンピック開催記念の碑がある。すっかり影薄くなっちゃって…。
あじペン広場はイベントブースになっていて、子供が遊べるふわふわやキック体験イベントが行われている。
【雰囲気】★★★★★
まずはスタジアムを一周。
メインスタンド側はもちろん東京ヴェルディの緑一色。
こちらがヴェルディ側のゴール裏。
「ようこそヴェルディの味スタへ」
「一人でも大丈夫」
などのメッセージが並んでいる。前者はいつもならなんでもないメッセージだが、今日は意味合いが変わってくる。
ところ狭しと熱いメッセージが並んでいる。そりゃ気合が入るでしょうなあ…。
ただ私が見る限りでは、FC東京を意識したメッセージはなくあくまでチームを鼓舞する内容であった。
FC東京側のゴール裏はシンプルに青と赤。スペースもそんなにないからね。
とても分かりやすい。
東京ヴェルディのスタジアムコンセプトは「みんなが たのしい スタジアム」。
今日は何言っても皮肉にしか聞こえないんだよなあ…。
一応チアが出てきたり、マスコットが出てきたりするが、今日はやりにくそう。
マスコットも本当ならスタジアムを一周するのかもしれないが、少なくともこの日は半周で帰って行った。
なにより開門するなり「ヴェルディ川崎!」コールが起こるし、スタジアムMCが何か言うたびに大ブーイングが起こる、かなり異様な空気だ。
ヴェルディ側は徹底的にいつもと同じ演出を踏襲し、「東京ダービー」など刺激するような言葉を使っていないのが印象的だった。
FC東京側は青と赤の幕を出してご挨拶。
東京ヴェルディ側もクラブロゴを出してご挨拶。
FC東京に対して「WELCOME TO TOKYO」とは何たる皮肉か。
何気ないメッセージ一つ一つが今日は特別なものになる。
FC東京はTOKYOの文字を出してアピール。
東京ヴェルディ側は「TOKYO IS GREEN」のメッセージとともに東京都のシンボルマークを出してアピール。
このシンボルマークは平成元年に制定されたもので、都営地下鉄や都営バスでよく見る。
なかなかオシャレな煽り方だ。
どっちもまごうことなき東京のクラブである。
プライドがバチバチにぶつかり合う。
緑のゲートから選手が入場。
スタジアムのボルテージも最高潮に。
試合の方はというと、序盤ヴェルディがPKを獲得。
FC東京はブーイングでタオルを回し応戦するが…
これを落ち着いて決めて先制。
ボレーシュートも決まり2-0に。
さらに前半終了間際FC東京にまさかのレッドカードが出され、勝負あったか…?
しかし後半、一人少ない中でFC東京が反撃。1点を返す。
押せ押せのFC東京、試合終了間際に同点ゴール!
非常に見ごたえある面白い試合だった。
試合結果は引き分けだが、FC東京は勝ったかのような盛り上がり。
一方東京ヴェルディは選手にブーイングを浴びせ、負けたかのような空気に。
改めてこの日の感想。
FC東京側は「ヴェルディ川崎」「川崎帰れ」「緑が大嫌い」など終始煽り散らかしっぱなし。
煽るのはご自由だが、個人的には神奈川県民として「川崎帰れ」は、川崎が流刑の地みたいに聞こえて聞き捨てならないな。フロンターレの前でそれ言ったら〇されるぞ。
せめて「東京から出てけ」くらいにしてくれ。
そして試合後半はずっと「ヴェルディには負けられない」チャントだけを歌っていた。
おそらく「ヴェルディ」の単語はFC東京側の方が多く言っていたと思う。
FC東京の方はどうしてもヴェルディのことが気になって気になってしょうがないご様子。ちょっとは自分のところの応援もしてやれよ、と思ったが…。
一方ヴェルディの方はというと…正直言うと、何を言っているのかよく聞こえなかった、というのが本音(笑)
でも雰囲気的にはFC東京を煽り返しているようには見えなかった。あくまで大人の対応に徹していて、あんまり相手にはしていなかった様子。
このスタジアムの雰囲気だけを見ると、一体どっちが悪者なのか分からなくなってしまう。
もうヴェルディがヒールやってたのも大昔の話だしねえ…。
この一方が煽ってもう一方が相手にしない、というのは巨人vs阪神とか、横浜F・マリノスvs横浜FCとか、スポーツ界隈ではよく見る構図ではある。
ただ阪神の方が弱者だからくた〇れなどと罵倒しても巨人は気にも止めないし(たとえ日本一になろうが関係性は変わらない)、横浜FCの方が弱者だからう〇こマリノスなどと小学生みたいに煽ってもマリノスは相手にしない。
だが東京ダービーにおける決定的な特徴は、なぜか「強者の方が煽り散らかしている」という点である。
もうこの20年ばかりでFC東京はすっかり強者になり、東京ヴェルディは弱者となってしまった。
それなのに未だに強者の方がずっと煽っていて弱者の方が相手してない、という変な感じなのである。
16年ぶりのダービーだから気合いが入りすぎてしまったのかもしれないが、これをずっとやってるといつの間にか「弱い者いじめ」になるし、そして何より飽きるぞ。
どこで方向転換をするのか、それともずっと煽り続けてヒールに堕ちていくのか、個人的にはすごく興味深い。
ヒールを煽っているつもりでバカにしていたら、いつの間にか自分がヒールに堕ちていた、なんてとんだお笑いだ。
試合後のスタジアムは緑に染まった。
「SEE YOU AT THE NEXT HOME GAME」とは、次の東京ダービーでお会いしましょうってことか?
…多分違う気がするが、個人的にはすごく楽しみにしてますよ、FC東京ホームの東京ダービー。
【グルメ】★★★★★
この日は二つの広場にまたがってキッチンカーが21店出店。
前回はコロナ禍で1店しかなくとても寂しかったが、コロナが明けたらこんなに本気を出してくれた。
ヴェルディグルメ定番のmahanaカレー。
普段食べるカレーとは違ったエスニックな味わいでなかなか面白い。
スタジアムでおにぎりのお店を見つけるとついつい手が伸びてしまう。
やっぱり専門店のおにぎりはふわっとしてていいよね。
個人的な本日のMVPはBONNIE&FRIED.tokyoのチーズバーガー。黒い見た目が売りだが、何より味がとても良い。
お肉もジューシーながら、なかに揚げた菜っ葉が入っていて(語彙力…)それが食感のいいアクセントになっている。
カリッと揚げたポテトもついて大満足の逸品。これは新たな名物誕生の予感。
シュラスコのお店、キボンのミックス弁当。ブラジリアンな雰囲気がたまらない。
これ一つで十分すぎるほどお腹いっぱいになる。
高尾山のみたらし団子。悪くはないが600円はちと高いかな…。
横浜の綱島は大葉の産地らしく、それを丸ごと入れた大葉の綱島サワー。
でもよく考えたら大葉あんま好きじゃないんだった…。すっきり飲めたけど。
アウェイ側の広場にもお店が出ていた。
こっちではあまり買う気はなかったが、おいしそうなメロンパンがあったので衝動買い。
こういうお土産にもなるスタジアムグルメって個人的にはいっぱい出てほしいんだよねえ。持って帰ってゆっくり食べたいのよ。
【街との一体感】★★★☆☆
飛田給駅はヴェルディの緑一色に染まっている。
サッカーボールもあって、ヴェルディを盛り上げる。
駅前のピザ屋さんには、これでもかとヴェルディのポスターが貼られている。
TOKYO GREENの謎の看板。
多分ゼビオの看板なのだと思うが…。
こちらがゼビオ。スポーツのことなら何でもそろう。
もちろんヴェルディのポスターが貼ってある。
ヴェルディ自販機も設置。
ヴェルディグッズは何でもそろう。
選手のサイン入りユニフォームも飾られていた。
セパタクロースクールなんてのもやっているんだなあ。
ちょっと行ってみたい。
お店の周りも緑一色だ。
ちなみにちょっと離れた立川のららぽーとには選手のパネルが置かれている。
立川市はヴェルディのホームタウンの一つなのだ。
こういった形で、東京はヴェルディの緑一色に染まっている。
え、その割に★が少なくないかって?気のせいじゃないですか…?
あっ
隠せ隠せ
【満足度】★★★★★
16年ぶりの東京ダービーは2-2の引き分けに終わった。
喧嘩両成敗、という言葉があまりにもしっくりと来る。
こうなると次のFC東京ホームのダービーががぜん楽しみになってきた。
ヴェルディへの煽りはさらに勢いを増していくのか、それとも「そろそろやめようよ」みたいな空気が出てくるのか、明日はどっちだ?
東京ダービーの主役は、良くも悪くもFC東京だ。
そしてもう一つの東京ダービーへ…
索引を作りました!
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