スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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千葉JPFドーム(TIPSTAR DOME CHIBA)~競輪からKEIRINへの挑戦~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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千葉JPFドーム(TIPSTAR DOME CHIBA)は、2021年開場、千葉県千葉市にある競輪場。

競輪場ではあるが、名前からして分かるように昔ながらの競輪場とは一線を画している。

 

とはいえ、もともとこの場所には千葉競輪場という競輪場があった。

そちらは老朽化のため2017年に解体。これに変わって建てられたのがこの競輪場である。

 

従来の競輪場との大きな違いとしては、

・バンクがトラックではなく木製である(オリンピックなどで用いられる国際規格)

・場内で車券の販売が行われない(ギャンブル場ではない)

・入場料が2000円~と高い(一般的な競輪場は100円が多い)

といろいろ。ギャンブルというよりはスポーツ観戦を目的とした施設、という側面が強い。

 

とはいえ、百聞は一見に如かず。まずは行ってみて、競輪ほぼ初心者の私が感じたことを率直にまとめてみることとした。

【アクセス】

最寄まで★★★★☆

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最寄は千葉都市モノレール千葉公園駅。

千葉駅から一駅という好立地であるし、なんなら千葉駅からも歩いて行ける。

 

最寄から★★★★★

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千葉公園駅からは徒歩5分足らず。のぼりが並んでいて道のりも分かりやすく、とても利便性は高い。

 

【観戦環境】★★★★☆

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ドームであるため、天候の影響を受けず快適に観戦できるのはとてもうれしいポイント。座席も良質で座り心地はよい。

また、トラックの中の部分は自由に入ることができ、様々な角度から楽しむことができる。

 

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ただ競輪という競技の性質上、トラックの角度がきつくどうしても見えない場所が出てくる。

他の競輪場だとより高い場所から見られたり、アクリル板越しに見えたりするが、ここはトラックと座席が近く柵が木製のため、競輪の新しい楽しみ方はできるもののかえって不便を感じる部分もある。

近きゃいいってもんでもないんですな。

 

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中央上部には競輪場としては異例の非常に大きなビジョンがある。裏表の2枚あるので、どこからでも見ることができる。

 

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入り口はとても開放的でオシャレ。斜めに見える木製のものはトラックで、すなわちトラックは宙に浮いたような状態になっている。

トラックを裏から見ることができるのもまた斬新だ。

 

【雰囲気】★★★☆☆

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従来の競輪とは一線を画す演出で、レーザー光、炎、チアのダンス、スモーク、音響など全てがド派手

 

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ミラーボールは世界最大級とのうたい文句。太陽みたい。

 

またレース前には選手やレースの見どころの紹介も行われ、初心者でも楽しめるようになっている。

更にレース中もBGMがテンポアップしていったり、勝った選手にはスポットライトが浴びせられたり、盛り上がる演出が随所に施される。

 

スポーツエンターテインメントとして必要な要素を十分備えており、盛り上がることは必至だ。

ある一つの大きな問題を除いて…。

 

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そう、お客さんが全然いないのである。

 

ドーム全体で2000席弱あるようなのだが、おそらく会場全体で30人もいなかったと思う。客より係員の方が多かったのでは…。

私も全国で試合観戦してきているのでガラガラのスタンドには慣れているつもりなのだが、いくらなんでも人がいなくて居心地が悪かった…。

ずっと係員に見られてる気がするんですわ。

 

私なりには、スポーツ観戦しに行く動機には大きく二種類あると考えている。

1.選手、チームを応援しに行く

2.純粋にスポーツを楽しむ

(より詳細には下の記事で考察しています)

sportskansen.hatenablog.jp

 

じゃあ、全国にある競輪場は何でにぎわっているかと考えると、おそらくそのどちらでもないだろう(そりゃ、応援のためだったり、スポーツとして楽しんでいる人もちょっとはいるかもしれないが…)。

 

結局、競輪場に行く人の大半は車券を買いに行っている、ということだ。あるいはグルメを飲み食いしたり、公園代わりにのんびりしに来てる人もいるかもしれないが。

いずれにせよこの視点からこのドームについて考えると、旧来のファンが競輪場に求めるものをほぼ排除していることがわかる。

 

そのため多くの人は行けばおそらく楽しめるけど、そもそも行く理由がないから行かない、となっているのではないか(もちろん認知度の低さも問題だが)。

そして行ったとしても、人が全然いないから次はいかなくていいや、という悪循環…。

 

チケット無料日を設けたりしてお客さんを呼び込む努力は行っているようだが、現状ではタダでも行かない、と考える人が多いのではなかろうか。

まずはなんとしてでも一度来てもらって、一人でも多く楽しかったと思って帰ってもらうことが必要だろう(それでもリピーターになってくれるかは微妙なところだが…)。

 

そうでなければ、金額制限をするなどしてでもいいから現地で車券を販売し、予想する楽しみ、的中する楽しみを持ってもらうことが必要だ。

マナーが悪い客を排除したいとのことで車券を販売していないようだが、そうなるとレースに対する真剣味が薄れるのは確かなのよね…。

 

確かに競輪選手のスピードは間近で体感できるんだけど、それ以外に楽しみがないのでは辛い。

初めて行った人は、正直誰が勝とうがあんまり興味ないのです(オリンピック出てるくらい有名な選手なら別だけど)。

 

そんな感じで客の大きなモチベーションが失われているのは間違いないので、それを補う何か大きな動機付けが欲しいところ。

ただ楽しいスポーツ観戦ってだけなら、それこそ千葉には野球もサッカーもバスケもあるわけなので…。しかもそちらには「応援」という大きなモチベーションがありますし。

 

【グルメ】★★★☆☆

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場内にはバー、ピザ屋さんなどオシャレなお店がある。

 

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今回はこちらの大きなピザ。全体的にインスタ映えを意識したメニューが多い印象。

ただ、味はいたって普通

 

【満足度】★★★☆☆

スポーツエンターテインメントとして必要な要素は十分に備えているものの、それだけでは不十分というこの業界の難しさを痛感させられた。

 

正直チケットを取った時点で狙いの客層はどこなんだろう?という疑問を抱いていたのだが、実際来場していたのは男性がほとんど

それなら、車券を発売した方がよっぽどいいだろう。

 

私もスポーツが好きだから頑張ってほしいし、競輪の新たな魅力を発掘するという意味ではとても面白い試みだと思うのだけど、今のままではどう考えても厳しいとしか言いようがない。

なんとか打開策があるといいけどなあ…。

 

 

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