注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
さいたま市駒場スタジアム(浦和駒場スタジアム)は、1967年開業、埼玉県さいたま市にあるスタジアム。
元々は埼玉国体のために作られたサッカー場で、1982年に陸上トラックが増設されて今の形となっている。
Jリーグ開幕前、三菱重工業サッカー部はJリーグ参加へ向けホームタウン探しに奔走していた。
当初は東京都内をホームとした構想を進めており、特に江戸川区陸上競技場はその有力候補の一つであった。
しかしスタジアムを拡張するのに十分な敷地がなく、江戸川をホームとする案は断念せざるを得なかった。
↓今の江戸川区陸上競技場はラグビーリーグワンのクボタスピアーズ船橋・東京ベイがホームとしている。
Jリーグ開幕に向けて時間がなく焦っていた三菱重工であったが、本田技研工業サッカー部の誘致に失敗した浦和市が名乗りを上げ、そこからはとんとん拍子で話が進んでいった。
ホンダに何が起きたのか、についてはこちら。
その際、ホームスタジアムとして白羽の矢が立ったのがこの駒場であった。というか、当時はほとんどここしか選択肢がなかったのだろうが…。
その後FIFAワールドカップに合わせて埼玉スタジアム2002が完成するが、当初はレッズも「本拠地は駒場、埼玉スタジアムはサブ」という立場を取っていた。
実際、2001年は埼玉スタジアムでは2試合しか行われなかった。
おそらく8年間親しまれてきた駒場からホームを引っ越すことに対する、サポーターからの反発を恐れたのではないだろうか。
柏レイソルとかはそれでひどい目に合ったわけで…。
ただ駒場は設備的に限界を迎えており、実際は段階的に埼玉スタジアムへとホームスタジアムを移行。
現在では駒場での試合は激減した、というかリーグ戦ではほぼ使われなくなっている。
↓現在のホーム埼玉スタジアム。
とはいえ駒場は浦和レッズにおける聖地という立ち位置は未だ変わりなく、例えばスタジアムの命名権を浦和レッズ運営会社が購入しているのだが、年間500万というお金を払ってまで「浦和駒場スタジアム」の名前を付けている。
普通命名権を買ったら企業の広告に使うのが一般的だが(というか命名権ってそういうもん)、わざわざ地名をつけているあたりに聖地に対する畏怖というか、そういうものを感じる。
まあでも、レッズの名前くらいは入れてもいいと思うけど…。
【アクセス】
最寄まで★★★★★
最寄はJR浦和駅。東京や新宿へもすぐに行ける、埼玉の南の玄関口。
利便性という意味では、埼玉スタジアムの最寄浦和美園駅とは比べ物にならないくらい便利だ。そもそもあっちは厳密に言えば浦和ですらないし…。
浦和の聖地という意味では間違いなくこっちの方がふさわしい。
最寄から★★★☆☆
浦和駅からは徒歩で25分くらい。浦和不動尊の横を抜け…
大通りを浦和レッズのフラッグに沿って歩き…
横断歩道を渡ると駒場運動公園、そしてスタジアムに到着する。
一部歩道が細かったりなかなかに危険な個所もあるので注意が必要だ。大通りを横切っていく人もいたけどいい大人がやめましょうね。
また歩くのがだるい場合は浦和駅とスタジアムを結ぶシャトルバスも運行されるのでそちらを。
スタジアム前にはイベントブースやグルメのキッチンカーが少し出ている。
ただスペース的には埼玉スタジアムの方が充実していそう。
その近くには日本最古のプロバスケチームさいたまブロンコスがひっそりと活動している。
【観戦環境】★★★☆☆
今回はバックスタンド2階からの観戦。陸上競技場ではあるもののピッチとの距離はあまり感じず、見やすさはなかなかのもの。
しかしこの日はあいにくの悪天候でずぶぬれに。屋根はメインスタンドの上部とバックスタンド1階だけなので、天気が悪いとかなり厳しい環境。
引きで見た駒場スタジアム。天気が良かったら最高なんだろうけどなあ…。
座席には背もたれはないものの個別に別れているのはありがたい。
浦和レッズ側の応援席。スタンドの下は雨もしのげそうでうらやましい。
スタジアム360°のうち350°くらいは浦和レッズの赤が占める。
ビジョンの横までぎっしり浦和レッズの応援席だ。さすが「RED HELL」である。
このスタジアムの大きな特徴と言えば、アウェイサポーターのためにポツンと用意されたスタンド、通称「出島」。
収容人数はわずか400人で、日本一のアウェイとも称される。
2001年にはこのスタンドの出口を封鎖し、相手チームのサポーターを監禁するというなかなかおっかない事件も起きた。
さすがに今やったら炎上するだろう。
サポーターが入る前の出島。ちっちゃいねえ…。
コンコースはなかなか古く、時の流れを感じる。
雨をしのぐにはここで過ごすしかない。
バックスタンドに向かう通路、大体出島の裏あたりだろうか。
一部のトイレの入り口には屋根が無いので、わざわざ傘を差さないとトイレに行けないのがちょっとだるい。
トイレ自体も古いし、施設自体の使いにくさは否めない。
またすぐ横にはサブグラウンドもあり、子供たちがボールを蹴っていた。
バックスタンドのすぐ裏は住宅がびっしり並んでおり、拡張の余地が全くないことが分かる。
というか騒音問題とか大丈夫なのかな?夜とか…。
照明塔はなんとなくサッカーボールの形状に見えなくもなくもなくもない。
見えないか。
【雰囲気】★★★★☆
聖地駒場ゆえ浦和サポーターの作り出す雰囲気はさすが圧倒的。その迫力は間違いなく日本一だ。
そして品の悪さも日本一。
平気でヤジやブーイングも飛ぶし、相手に対して「〇ね〇ね〇ソッタレ」といったお下劣極まりないお言葉もお使いになられる。
相手が30年来の付き合いの清水エスパルスだから「ご挨拶」なのかもしれないが、まあなかなか子供には見せたくない光景である。
悪天候のルヴァンカップという悪条件が重なったこともあるが、それにしても入場者数はほぼ1万人と日曜昼間の駒場にしてはちょっと寂しい客入りであった。
浦和レッズの強みと言えばやっぱり「スタジアムを埋め尽くす大勢のサポーター」だと思うので、スタジアムが埋まらなければ魅力は半減である。
雨が降ろうが槍が降ろうが、いつ何時でも浦和レッズにはスタジアムを埋めてほしい。
そもそもキャパシティの問題でゴール裏の人数も埼玉スタジアムよりは少なそうだし、スタジアムとしての使いやすさではやっぱり埼玉スタジアムの方に軍配が上がるかな。
もちろん駒場は聖地としての趣があるから、どちらが上という訳ではないが。
とはいえ、バックスタンド2階席でも熱いファンが多いのは間違いない。
個人的にはここに来てくれるくらいのファンをどれだけ増やせるかが観客動員を増やすカギだと思う。
これは浦和レッズに限らずね。
【グルメ】★★★★☆
駒場名物と言えば駒場ラーメン。絶えず行列が伸びていき、その人気の高さがうかがえる。
ちなみにバックスタンドにしかないので注意。
チャーシューがどっさり入って900円と、昨今の物価高な世の中においてはかなり良心的。
駒場に来たらこれを食べておけば間違いない。
そして浦和に来たら押さえておきたいのが、駅前にあるローストチキンコオロギ。
興梠選手の両親が宮崎で営んでいるお店の支店で、スタグルにぴったりなチキンを購入することができる。
大きく分けてもも身とはね身の2種類あるが、迷ったら両方買うべし!
ちなみにケンタッキーより一回り大きいので、二つも食べればだいたいお腹いっぱいになる。
冷蔵でもそこそこ日持ちするようなので、お土産に持ち帰って温めなおして食べるのも良し。
またラーメンの横で売っていた小泉選手プロデュースのヨシおかき、そして浦和駅前で売っていた埼玉銘菓十万石まんぢゅうの浦和レッズバージョンも購入。
中には浦和レッズ、そしてJリーグ一影が薄いとうわさのマスコットのレディアの焼き印。
こういうところで使ってもらうことでかろうじてマスコットとしての威厳を保っている。
ちなみに隣にはクレヨンしんちゃんバージョンも売っていた。そっちもめちゃくちゃ買いたかったが、まんぢゅうをそんなにいっぱい買ってもしょうがないので止めた。
うまい。うますぎる。といってもそんなには食べられない。
【街との一体感】★★★★★
駅の電光掲示板には「ようこそ!サッカーのまち浦和」の表示が。
浦和駅は一般客の多い(というかほとんど)駅であるが、それでもこういった表示がされるほどサッカーが根付いていることが分かる。
駅前ではサッカーの電飾がピカピカ光っていた。
駅のコンコースにも大きく「サッカーのまち 浦和」。
駅を降りるとすぐ、赤いライトが灯されているエリアがあり、
グッズショップのレッドボルテージがある「URAWA SOCCER STREET」に通じている。
街中の至る所にレッズの選手や応援メッセージがあり、
歴代選手の足跡なんかも並んでいる。
思いっきり浦和レッズを前面に押し出しているお店もあったり、ふらっと入ったつけ麺屋さんでは店員さんが浦和レッズのユニフォームを着ていたりした。
そしてマンホールにもサッカーボール。
相変わらず浦和はサッカーのまちであることは間違いないようだ。
【満足度】★★★★☆
サッカースタジアムとしては駒場よりも埼玉スタジアムの方が使いやすいことは言うまでもない。
とはいえアクセスのしやすさもあるし、なにより聖地としての格という点では浦和レッズサポーターにとっても唯一無二のスタジアムではあるのだろう。
ただ聖地であるはずの駒場が悪条件もあったとはいえ、ちょっと空席も目立ってしまったのは若干寂しい気持ちにもなった。
ルヴァンカップだとこんなもんなのかな…?日本一のサポーター擁する浦和ゆえ、これで満足とは思えないのだけど…。
いずれにせよ、またいつか満員の駒場スタジアムも見てみたい気持ちになった。が、それはそれでチケットがとりにくそうだからな…。
悩ましいところである。
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