注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場は、1964年開場、東京都世田谷区にある陸上競技場。
現在ではラグビーリーグワンに所属するリコーブラックラムズ東京のホームスタジアムとなっている。
この場所の歴史をたどっていくと、元々は東映フライヤーズ(現北海道日本ハムファイターズ)のホームである駒澤野球場があった。
駒澤野球場ができるまでフライヤーズは後楽園球場をホームとしていたが、巨人やヤクルトなどチームが密集していたため、フライヤーズとしては念願の自前球場であった。
日本一まで果たしたフライヤーズは当時「駒沢の暴れん坊」の異名をとるほどであった。
だが1962年に野球場を解体することになり、完成したのがこちらの競技場である。
せっかく作った駒澤野球場を追われたフライヤーズは、その後神宮、後楽園、東京ドームとホームを転々とし、最終的に北海道の札幌ドームに移転した。
しかし北海道でまたホームを変えることになるとは…。
ちなみに駒澤野球場については、同じ駒沢オリンピック公園内に小規模ではあるが改めて作られており、高校野球などが行われている。
で、なぜわざわざ球場を解体してまで競技場を作ったかというと、名前にもある通り1964東京オリンピックの会場として使用するためである。
というより、1940年の東京オリンピック計画ではここがメイン会場になる予定だったので、20年以上前から予約を入れていたわけである(戦争により中止になったが…)。
東京オリンピックのスタジアムに関する歴史については↓にもまとめています。
1964東京オリンピックではメイン会場は国立競技場になり、一方駒沢競技場ではサッカー競技が行われた。日本代表も駒沢で試合を行い、アルゼンチンに3-2で勝利を収めている。
その国立競技場も結果的には新しく作り替えられ、駒沢は数少ない1964東京オリンピックの現存スタジアムの一つとなった。
というわけで、今回はそんな歴史ある競技場で、ラグビーリーグワンリコーブラックラムズ東京の試合を観戦した。
【アクセス】
最寄まで★★★★★
最寄は東急田園都市線駒沢大学駅。渋谷から8分という好位置。
名前の通り駒澤大学の最寄り駅でもある。
最寄から★★★☆☆
駒沢大学駅からは徒歩15分。商店街を抜けた住宅街の中に公園がある。
駒沢オリンピック公園は都内でも皇居と並ぶ人気のランニングスポットとなっている。
駒沢オリンピック公園内には同じくオリンピックレガシーの駒沢体育館もある。
【観戦環境】★★★☆☆
陸上トラックがありピッチとの距離はあるが、試合の見やすさはまずまず。
ラグビーという競技の性質上、ボールが反対側にある時は何が起きているのかよく分からないのが玉にキズ。
目の前でプレーが行われるときはそれなりに見やすい。ずっと目の前でいいのに。
メインスタンドから見て左側のサイドスタンド。小サイズではあるがこちらにビジョンが設置されている。
ほんとにちっさい。
メインスタンド、および右側のサイドスタンド。一応屋根があるが、変な形状をしている上に小さすぎてあまり意味をなしていない。
デザインに凝りすぎるのも考え物だ…。
また座席は背もたれこそないものの一席ずつ分かれているし、スペースも必要最低限は確保されている。
収容人数はほぼ20000人で、大きすぎず小さすぎずちょうどいい感じ。
スタジアム、およびコンコースは一周ぐるっと回ることができ構造としてはかなりシンプル。キッチンカーやイベントブースを設置できるだけのスペースも十分にある。
昨今のスタジアムはかなり構造が分かりにくいところもあるので、個人的にはこういう方が好き。
ビジョンの裏は木がもしゃもしゃ生えている。都会の中にあるスタジアムだが、意外と自然は感じることができる。
試合がないときにここ走ったりしたら気持ちよさそう。
【雰囲気】★★★☆☆
観客は7000人と決して少なくはないのだが、スタジアムのキャパシティを考えると少々物足りなさは感じる。
どうしても空席が目立ってしまうのだ。
そしてちょっと心配になったのが、以前にも増してスタジアムの熱気をあまり感じられなかったこと。
他の会場で見たリーグワンの試合では、観客数はともかくそれなりにファンの熱量というものを感じることができていた。
しかしこの試合では全体的に拍手も少なく、どことなくお客さんが全体的に冷めているように思えた。
もしやトップリーグからリーグワンに移行して中途半端に地域密着を推し進めた結果、会社の関係者からも地域の人からも少し距離を置かれるようになってしまったのではないか…?
二兎を追う者は一兎をも得ず、という言葉がぴったりだ。
だとしたらリーグワンになって状況が変わらないばかりか、むしろ悪化しているという最悪の可能性を懸念しなくてはならない。
そもそも、東京の名を冠するチームが多すぎるのも問題だ。
ブラックラムズ東京、東京サンゴリアス、ブレイブルーパス東京、東京都民はいったいどのチームを応援したらいいのだ。
もしやるなら世田谷や府中などの名前を付け東京の中でもより限定した地域密着を行うか、もしくは全国に分散するべきだ。
でなければ、もはや中途半端な地域密着などせずに会社の名前を前面に押し出す方がマシではないだろうか。その方が社員も応援しやすいはずだ。
正直、リーグワンの将来を案じてしまう一戦であった。試合自体は面白かっただけに余計頭が痛くなる。
やった感だけ出して満足するの、もうやめようよ。それならやらない方がいいよ。
【グルメ】★★★☆☆
長崎の角煮バーガー。長崎名物だが、店員さんの様子を見るにどうやら中国系の人のお店らしい。中華街があるからかなあ?
味は…まあまあ。角煮がもうちょっと欲しい。
宮崎牛のA5ランクを使ったというローストビーフ。A5ランクほどの味があるかは分からなかったが、肉々しさもあるしまあまあ満足。
もう一度絶対食べたい!みたいなグルメには出会えなかったが、スタグルを食べた感は十分に得られるかな。
値段が気になる人は駅前の商店街でどうぞ。
【街との一体感】★★★☆☆
道沿いの工事現場には大きなポップも貼られているし、道沿いにはフラッグがずらっと並ぶ。
リーグワンのチームの中では比較的がんばっている方ではある。スタジアムを占有できているのも悪いことではない。
後はこのそれなりに恵まれた環境を生かせるかどうか…である。
【満足度】★★★☆☆
天気が良く春の訪れを感じる一戦であったが、スタジアムの雰囲気としてはラグビーの冬の時代が近づいているのではないか…と感じてしまうなんとも寂しい内容になってしまった。
もちろんコロナがあったのはあまりにも不運ではあったが、それにしてもワールドカップが終わってからの日本ラグビー界にはあまりにもいいニュースがなさすぎる。
何があろうともしっかりそれなりのお客さんを呼び込めているJリーグとはあまりにも対照的だ。
もちろん、Jリーグとは共存していかなければいけないのだが…。
中途半端な改革をするくらいならいっそのことやらない方がマシだ。
新規客は呼び込めず、旧来からのファンは離れていくようでは、行きつく先はリーグの消滅だ。
将来のラグビーファンに「トップリーグの頃はよかった」と言われないよう、なんとかしてください。それしか言いようがありません…。
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