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キングカズはプロなのか?〜「プロ」と「アマ」を分けるもの~【コラムその27】

スポーツ選手は、大きく分けて「プロ」「アマ」に分けられます。

感覚的にはその差は明確ですよね。みんながよく知っている選手は基本的には「プロ」で、そうでない選手が「アマ」です。

 

しかし、その線引きをしようとすると、意外と難しいものです。

例えば前述の知名度で考えると、甲子園のスター選手はアマチュアですが全国的な知名度を持っていることもあります。

あるいはお金をもらっているかそうでないかで考えると、実業団でプレーしているような選手はアマチュアですが会社から給料をもらっています。

 

NHKで「プロフェッショナル」なんて番組をやっているくらいですから、「プロ」と「アマ」の線引きはすごく難しいんでしょうね。

今回はそんなプロとアマの違いについて、つい最近プロ生活36年目のシーズンを迎えることがニュースとなったキングカズを題材に考えてみることにしました。

1.「プロフェッショナル」とは

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wikipediaを見ると、「プロフェッショナル」の頁で結構詳しく書かれていたのでそのまま持ってくることにします。

・専門的な仕事に従事し、その能力が高く、その仕事の技術に優れ、確かな仕事をする人

・主たる収入を得るために、特定の分野に従事している人

がプロフェッショナルの意味だそうです。

なるほど、理解しやすいですね。プロスポーツ選手は、ちょっとしたプレーでも素人には到底マネできないなと思わせてくれます。

キャッチボール、パス回しなどなど練習を見ているだけでもほれぼれとしてしまいます。

私はプロの練習風景を見るのが好きで、大体試合開始の2時間前には到着して見るようにしています^^

 

個人的には「確かな仕事」っていう記述が気になります。プロスポーツ選手の場合、めちゃくちゃ派手なプレーをするけど、それなりにミスをする、っていう選手もいます。

とはいえ、やっぱり安定していいプレーができないとシーズンでの数字が悪くなりますから、「確かな仕事」はプロには必要なのかもしれませんね。

 

でもYouTubeで一瞬だけ輝いた選手のプレーを見るだけでも魅了されたりしますから、なかなか難しいところではあります。

 

2.キングカズはプロなのか

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三浦知良選手は横浜FCに所属し、今度の2月26日に54歳を迎える、紛う事なきサッカー界のレジェンドです。

 

高校を中退しJリーグができる前からブラジルで修業し、ヴェルディに加入すると100ゴールの成績を上げました。

その後もあらゆるチームを転々としましたが2005年に横浜FCに加入、そのまま現在に至るまでプロ生活を続けています。

 

しかし年齢もあってか、最近では出場試合数も減り、ゴールも奪えなくなってきました。

プレーのレベルだけで言えば、カズよりいいプレーをする選手はアマチュアにもいるでしょう。そのことで一部からは批判もされたりしています。

 

上記の「プロフェッショナル」の定義をもう一度読み直してみますと、

・専門的な仕事に従事し、その能力が高く、その仕事の技術に優れ、確かな仕事をする人

・主たる収入を得るために、特定の分野に従事している人

となっています。すなわちカズは、「その能力が高く、その仕事の技術に優れ、確かな仕事をする」の部分を満たしていない、と言える可能性があります。

 

では、カズはアマチュアと言えるでしょうか?

カズはこれまでサッカー界のアイコンとして話題を振りまいてきました。

ブラジルに渡ったこともそうですし、奇抜なファッションもそうですね。カズダンスはゴール後のパフォーマンスをJリーグに文化として根付かせることになりました。

また年齢を重ねてからもそのストイックな姿勢もたびたび話題になります。若いころはやんちゃもしていたみたいですが…^^;

 

あるいはそのストイックな姿に感化され、他の選手たちも見習うようになっています。

敵チームである川崎フロンターレの中村憲剛選手ですら、試合後にユニフォームの交換をするなど選手にも尊敬されています。その中村憲剛も引退してしまいましたが…。

果たしてそんなカズをアマチュアと呼べるでしょうか?たとえ衰えようとも、その生きざまで人々を惹きつけています。

そんな生きざまにファンが付き、スポンサーが付き、グッズが売れることでチームにも必要な存在になっています。決してチームの足を引っ張る存在とは言えないのです。

この時点で、先ほどのプロフェッショナルの定義の「主たる収入を得るために、特定の分野に従事している人」を満たしているのではないでしょうか。

 

こうやって考えてみますと、プロスポーツ選手においてはどうやら技術だけがプロとアマを分けるものではなさそうです。

 

3.まとめ

プロスポーツ選手には、まず大前提としてアマチュアを超越した技術が必要であることは間違いありません。

 

しかし衰えてもなおそのスター性、人間性で人を惹きつけることができるなら、十分プロとして生きていけることをキングカズは示しています。

キングカズ以外にも現役を続けている選手はいますが、J3など下部リーグで続けているという場合が多いです。

J1という目立つ舞台で、一部からは批判を受けながらもストイックに選手を続けるカズは十分プロフェッショナルに値すると言えるでしょう。

 

「プロ」と「アマ」の線引きをきっちり分けるのは非常に難しいことです。

しかし、たとえ衰えようとも人を惹きつける要素がずば抜けて高ければプロとして生きていけることを、キングカズはその背中で語っているのです。

 

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