先日、このブログにて秩父宮ラグビー場のご紹介をしました。
2019年ラグビーワールドカップにおける日本、すなわちブレイブブロッサムズの躍進は大きな話題となりました。
それに伴って、その後に行われたラグビートップリーグは各会場で満員御礼となりました。コロナの影響で中断となってしまったことは大変残念でしたが、日本ラグビー界にとって明るい材料となったことは間違いないでしょう。
しかし、日本ラグビーの最高峰であるトップリーグの知名度はまだまだ…。というか私も実はよく知りません。
そこでこの記事では、トップリーグを楽しむために知っておきたい情報を集めてみました。今年で見納めとなるラグビートップリーグを見に行ってみましょう!
1.ラグビートップリーグの概要
以前は全国社会人ラグビーフットボール大会という大会が行われていたのですが、それを発展的解消する形で2003年に始まったのが「ジャパンラグビートップリーグ」です。
2021トップリーグは2月20日に開幕し、過去最大の25チームが参加しています。今シーズンはかなり特殊な方式になっており、2ステージによって行われます。
・リーグ戦
ファーストステージでは昨シーズントップリーグに属していた16チームを8チームずつに分け、総当たりのリーグ戦を行います。
レッドカンファレンス
サントリーサンゴリアス
トヨタ自動車ヴェルブリッツ
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
クボタスピアーズ
HondaHEAT
東芝ブレイブルーパス
宗像サニックスブルース
三菱重工業相模原ダイナボアーズ
ホワイトカンファレンス
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
ヤマハ発動機ジュビロ
パナソニックワイルドナイツ
リコーブラックラムズ
NECグリーンロケッツ
キヤノンイーグルス
日野レッドドルフィンズ
NTTドコモレッドハリケーンズ
更に並行して二部に当たるトップチャレンジリーグも行われます。
トップチャレンジリーグ参加チーム
近鉄ライナーズ
豊田自動織機シャトルズ
コカ・コーラレッドスパークス
釜石シーウェイブスRFC
栗田工業ウォーターガッシュ
マツダブルーズーマーズ
九州電力キューデンヴォルテクス
清水建設ブルーシャークス
中国電力レッドレグリオンズ
こうしてみるといろんな業種の企業が参加していてチーム名を見るだけでなかなか楽しめます。
・プレーオフトーナメント
セカンドステージではトップチャレンジリーグの上位4チームも参加し、計20チームがプレーオフトーナメントに進出、優勝チームを決定します。
なかなか複雑なルールになっていますが、これを頭に入れておくとトップリーグを見ながら今がどういう試合なのかを理解できるのでより楽しめるでしょう。
またトップリーグは豪華なメンバーがそろうことでも有名ですが、今年も各チームに世界のトッププレイヤーが集まっています。
例えば「オールブラックス」の異名で知られるニュージーランドからはドコモにペレナラ、神戸製鋼にベン・スミス、サントリーにボーデンバレットなど、南アフリカからはクボタにマルコムマークスなどなど。
よく知らなくても、明らかに体が他の選手より三周りくらい大きかったり尋常じゃないスピードだったりするのですごい選手だということは一発でわかります^^;
なお、ラグビーのルール自体はワールドカップである程度は広まったと思いますが、こういう動画もあるので今は簡単に勉強できます。
基本的なスタンスとして、ボールを頂点にしたお互いの陣取り合戦、と覚えておけばそう間違いはないと思います。細かい反則は見ながら覚えていけばいいでしょう。
というか私もわかりません。
2.素晴らしきラグビー文化
ワールドカップを見ていてもなんとなくわかると思いますが、ラグビーには独特の文化というものが存在します。
とはいえ、スタジアムで観戦する分には別に黙ってみていれば問題ないのですが…。せっかくですので、素晴らしきラグビー独特の文化を学んでいきましょう。
1.素晴らしいプレーには敵味方関係なく拍手!
心を揺さぶられるような全力プレー、あるいは勇気をもって挑んだプレーなど、素晴らしいプレーに対しては敵味方関係なく拍手を送ります。
そこにあるのは、敵や味方の関係でなく、選手に対する尊敬の念です。
2.プレスキック時はお静かに
バスケではフリースロー時にブーイング、アメフトではクラウドノイズと言って選手のプレーの邪魔をすることがあります。
しかしラグビーではボールを地面において蹴りだすプレスキック時には静かにすることが礼儀です。あくまで主役はプレイヤーであって、そこに観客は介入しないんですね。
選手が集中できるよう、観客は最大限の配慮をします。
3.レフェリーは一番身近な第三者
ラグビーにおいては、レフェリーは選手同士がもめないためにいるあくまで「第三者」です。
裁判で例えれば、試合をルールによって裁く裁判官でなくてあくまで試合を見ている傍聴人なんですね。どちらのチームにとっても敵でなく、味方なのです。
だから選手とレフェリーはこまめにコミュニケーションを取りますし、レフェリーも「それ以上やったら反則取るよ」とか教えてくれます。
そんなレフェリーの下した判断には選手は抗議せず、どんなに納得がいかなくても受け入れます。だってただの第三者ですからね。
もちろん根底にはリスペクトがあることは言うまでもありません。
4.試合が終わればノーサイド
試合が終了することを「ノーサイド」と表現することは有名ですが、実は日本以外ではあまり使われない言葉になっているようです。
とはいえノーサイドの精神というのはラグビーにおいて各国に根付いていて、試合が終われば敵味方関係なくたたえあい、酒を酌み交わして仲良くなります。
本当にいい文化ですね。
3.トップリーグのあとはどうなるの?
トップリーグはもともと、今年の秋に新リーグに移行する予定になっていました。
それがコロナの影響もあって後ろ倒しとなり、2022年1月の開幕を目指しています。
新リーグになって何が変わるのかと言いますと、新リーグへの参入要件を見ればなんとなく見えてくるかと思います。
新リーグへのチームの参入要件
1.運営機能
収支を透明化し、ちゃんとビジネスとして儲かるチームを作ってくださいねということですね。
この辺についてはJリーグやBリーグでも色々と問題になっているところですので、きっちりしていただきたいです。
チームの合併、消滅はプロ野球の近鉄やJリーグの横浜フリューゲルスを見れば分かるように、ある意味で文化の消失にも近いものがありますから、絶対に避けなければいけません。
2.チーム名称
・企業名を入れるかどうかは任意だが、地域名については義務とする
これは非常に大事なところで、やっぱり企業名だけのチームって応援するきっかけが作りにくいんですよね。どうしても内輪だけになってしまうというか。
Vリーグなんかが惜しいなあと思うのはこの辺りでして、例えば「パナソニックが勝ちました!」とか言われてもパナソニックに興味がなければ「ほーん」としか思わないわけです。
地域名で呼ぶことで他人事から自分事に変わっていくということですね。プロ野球くらいまで根付いちゃえばどちらでもいいんでしょうけど。
3.ホームエリア
これも2と同様ですね。おらが街のチームということを認識させることはとても大事です。
4.スタジアム
・ホームエリア内にある一つないし複数のスタジアムをホームスタジアムとし、1部リーグは1試合15000人の観客動員を目指すこと
Jリーグを見てみますと、2019年は1試合20751人ですので、これだけ見ると簡単に見えますが、15000人を安定して集客するというのは結構難しいような気がします。
というか、まずはスタジアムを確保するところから始めなければいけません。が、どこもあんまり土地がありませんので、これから土地を見つけてスタジアムを作るっていうのはなかなか難しいでしょうね…。
幸い、サッカーが出来るスタジアムはラグビーも出来ますから、ここはJリーグと密接な協力関係を構築していきたいところです。
サッカースタジアムのネックは稼働日数が少ないというところですから、冬がシーズンとなるラグビーは相性はバツグンでしょう。
というか、札幌ドームの例を見ればホームを共有すること自体は容易いはずです。うまく協力して球技専用スタジアムを日本中にバンバン作ってほしいです。
5.事業運営
・チーム事務局、財務担当、競技・イベント運営担当、広報担当、営業・マーケティング担当者をそれぞれ設置すること
ちゃんとプロスポーツチームとしての体制を作ってくださいねっていうところでしょう。
これからの時代はSNSの使い方がカギになってくると思われます。選手の素顔なんかが見えてくると応援する動機の一つにもなります。
これからはっきりした体制は見えてくるでしょうが、これをきっちり守れるようならプロスポーツリーグとしてプロ野球、Jリーグ、Bリーグに並ぶリーグになってくるでしょう。
日本の将来はどうしても暗く考えてしまいがちですが、スポーツビジネスが発展することは日本経済にとってもメリットが大きいですし、何よりどんよりした気分を吹き飛ばす大きな材料になります。
景気の気は気分の気ですからね。
4.まとめ
ラグビーワールドカップからトップリーグ、東京オリンピックを経て新リーグへ。
そんな未来を描いていたはずの日本ラグビー界でしたが、新型コロナウイルスによって水を差される形になってしまいました。
とはいえ、おかげで今の形のトップリーグを見るチャンスはまだ残っています。ワールドカップで活躍した選手を見る機会も今後どれだけあるか分かりません。
新リーグに移行する前に、最後にトップリーグを見てみませんか?将来新リーグが盛り上がったときに「俺トップリーグのころから見てたぞ」と自慢になるかもしれません。
何より、ラグビー面白いですよ!
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