広島ドラゴンフライズが2023‐24シーズンBリーグ優勝を果たしました!おめでとうございます。
広島ドラゴンフライズは西地区3位、全体では7位の成績で、ワイルドカードからプレーオフに進出。
しかし中地区優勝の三遠ネオフェニックス、西地区優勝の名古屋ダイヤモンドドルフィンズをアウェイで続けざまに撃破。
迎えたファイナルでは西地区のライバル琉球ゴールデンキングスに対し、先勝を許すも二連勝で大逆転。
Bリーグ史上最大の下克上をここに完成させました。
そして広島ドラゴンフライズの歴史自体も、下剋上と言える苦難の連続でした。
今回はそんな歴史を振り返っていきたいと思います。
広島ドラゴンフライズ観戦記はこちら!
1.いきなり迎えたクラブ消滅の危機
クラブの歴史は2013年「バスケットボールトップリーグ"NBL"に所属するプロチームを広島に立ち上げる会」の発足に始まります。
チーム名は「広島ドラゴンフライズ」。
厳島に生息する「ミヤジマトンボ」に由来しています。
初代ヘッドコーチとして「ミスターバスケットボール」とも呼ばれた佐古賢一氏、アシスタントコーチとしてのちに千葉ジェッツをBリーグ王者へ導く大野篤史氏を迎えたドラゴンフライズ。
しかしその船出は嵐の連続でした。
スポンサー交渉は難航し、メインスポンサー、そしてユニフォームスポンサーもいないというあまりに厳しすぎる状況。
バスケットボールのプロリーグ化に向け、いきなり経営陣の刷新を迫られるほどでした。
一方バスケの成績は決して悪いものではなく、初年度から天皇杯準優勝を果たすなどなかなかのものでした。
とはいえ一試合平均の観客数は1184人と、厳しい状況は相変わらずでした。
2.B2リーグからのスタート、B1での苦悩
Bリーグ初年度となる2016-17シーズンは、惜しくもB2リーグからのスタート。
46勝14敗の成績を残すも島根スサノオマジックに及ばず、西地区2位の成績でプレーオフへ。
迎えたB1・B2入れ替え戦の相手は、秋田との激闘を制し残留に望みをつなぐB1の横浜ビー・コルセアーズ。
ここでは力の差を魅せられ53-74で敗退、このシーズンをもって佐古ヘッドコーチも退任となります。
しかし2018年にNOVAがスポンサーにつくなど、資金面では明るい兆しも見え始めていました。
それでも以降の2シーズンはB1昇格に届かぬまま迎えた2019-20シーズン。
ここではコロナの影響もありながらも40勝7敗の成績を残し、信州ブレイブウォリアーズに次ぐ全体2位の成績で念願のB1昇格を果たします。
しかし初めて迎えたB1の壁は高く、2020-21シーズンは9勝46敗と前年とは真逆の成績で全体最下位に沈みます。
コロナの特例で降格は免れたものの、初めてのB1に打ちのめされる結果となってしまいました。
3.2023‐24シーズン「史上最大の下克上」
しかし2022-23シーズンには西地区4位、全体でも8位の成績を残し、初のプレーオフ出場へと飛躍を遂げます。
クォーターファイナルでは全体1位の千葉ジェッツと対戦、1勝2敗と敗れるも先勝し確かな存在感を残しました。
迎えた運命の2023-24シーズン。
この年広島が所属したB1西地区は、昨年のBリーグ王者琉球ゴールデンキングスに加え、キングスに並ぶシーズン成績を残した島根スサノオマジック、
虎視眈々と王者の座を狙う名古屋ダイヤモンドドルフィンズに、B2からの刺客佐賀バルーナーズや長崎ヴェルカが参戦するなど、Bリーグ全体でも屈指の魔境となっていました。
そんな中広島ドラゴンフライズは、ワイルドカードを狙う千葉ジェッツやサンロッカーズ渋谷相手にわずか1勝差で上回り、プレーオフへと進出します。
迎えたクォーターファイナルの相手は、かつて広島ドラゴンフライズのアシスタントコーチを務めた大野篤史氏が率いる中地区優勝の三遠ネオフェニックス。
アウェイで迎える豊橋での一戦は苦戦が予想されていましたが、ふたを開けてみれば広島ドラゴンフライズが連勝。
難なくクォーターファイナルを突破しました。
続くセミファイナルは、同じ西地区でドラゴンフライズやキングスを上回り西地区初優勝を果たした名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。
ここでも落ち着いた試合運びを見せ、2戦目を落とすものの3勝目を勝ち切り、ついに初のファイナルへと到達しました。
相手はアルバルク東京や千葉ジェッツといった歴代王者を振り払ってきた現Bリーグ王者、琉球ゴールデンキングス。
下馬評ではキングスの圧倒的有利がささやかれていました。
実際初戦は序盤で試合を決められるほどのスコアの差を付けられ、チーム力の差がはっきり出てあえなく敗戦。
しかし中盤から終盤にかけてはドラゴンフライズの高い修正力が垣間見える場面もありました。
続く第2戦、負けが許されないこの一戦でもリードを許し勝負あったか…
に見えましたが、後半怒涛の追い上げ・逆転を見せ琉球も追うことなくファイナルで初の勝利。
勝負は第3戦へともつれます。
運命の第3戦、広島は琉球を相手に序盤から徐々に差を開いていくまさかの展開。
我慢の第3クォーターをしのぎ切ると、第4クォーターで一気に差をつけ勝負あり。
悲願の初優勝は意外にもあっさりした勝利で勝ち取りました。
勝因はいくつかありますが、一つは琉球が激闘続きで体力を使っていたこと。
一つは広島のCS男・山崎が大爆発したこと。
そしてなにより、プレーオフを通して見るからにチーム力が増していることでした。
戦いの中で強くなっていく、とはまさにこのことなのでしょう。
B2在籍経験のあるクラブでは初優勝を飾り、史上最大の下克上を完成させた広島ドラゴンフライズは、まさにBリーグチャンピオンにふさわしい戦いぶりで今シーズンの幕を閉じました。
4.まとめ
以上、広島ドラゴンフライズの歴史でした。
戦前の予想は宇都宮ブレックス、千葉ジェッツ、アルバルク東京、そして琉球ゴールデンキングスの四強体制で、三遠ネオフェニックスや名古屋ダイヤモンドドルフィンズがいかに食らいつけるか、と考えられていました。
しかしふたを開けてみれば広島ドラゴンフライズの怒涛の勝ち上がりによって、その予想は根底から覆されることになりました。
やはり勝負はやってみるまで分からない、を見事に体現する優勝劇でした。
来シーズンBリーグチャンピオンとなった広島ドラゴンフライズに対し、西地区の強豪チームがいかにして対策を立ててくるか、早くも楽しみです。
他のコラムはこちらからどうぞ↓