注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
江戸川区陸上競技場は、1984年開場、東京都江戸川区にある陸上競技場。
現在では、ラグビーリーグワンに所属するクボタスピアーズ船橋・東京ベイのホームスタジアムとなっている。ホームタウンは船橋なのにホームスタジアムは江戸川区なのはナイショ。
かつて三菱自動車サッカー部(現浦和レッズ)がJリーグに参入する際、このスタジアムを本拠地とする構想があった。
ただ、スペースの問題でスタンド増設をすることができず断念し、浦和へ移ったという歴史がある。もしその時このスタジアムがホームとなっていたら、Jリーグの歴史はいろいろと変わっていた…かもしれない。
現在の浦和レッズのホーム埼玉スタジアム2002。
江戸川区陸上競技場はスタジアムとしては小規模なものの、これまでたびたびJリーグでも臨時で使われることがあり、FC東京、横浜F・マリノス、横浜FCが試合をしたことがある。
またその立地の良さとちょうどいいサイズのためか、ラクロスやクリケットなど日本ではマイナーなスポーツもよく行われている。
そんな中、2022年にジャパンラグビーリーグワンが旗揚げ。前述のようにクボタスピアーズ船橋・東京ベイがホームとしたが、いかんせんこのままではスタジアムの大きさが足りない状態に。
そこで、江戸川区とタッグを組みスタジアムを増設することを決定した。浦和レッズの時はダメだったのに今は大丈夫になったのかな…?
というわけで今回は、改修が行われる前の見学も兼ねて観戦した。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄は東京メトロ東西線の西葛西駅。大手町から一本で行くことができ便利だが、快速が止まらないので注意が必要。
最寄から★★★☆☆
西葛西駅からは徒歩20分ほど。結構歩くが、並行して路線バスもあるので歩くのが面倒な人はそちらを活用しよう。
途中は遊歩道になっていて歩きやすくなっている。
ただし道自体は結構分かりにくいので、Googleマップを使うのが良い。周りのラグビー見に行きそうな人についていくのも手だ。
またJRの葛西臨海公園駅からも同じような距離なので、そちらからもアクセス可能。
【観戦環境】★★★☆☆
陸上競技場ゆえピッチからの距離はあるが、そこまで極端に見にくいわけではない。快適とまではいえないが、見やすさで言えば標準的なスタジアムである。
目の前にボールが来ると臨場感があるし、ラグビー選手の巨体ゆえ迫力もある。冬なので芝の状態はあまりよくはなさそうだが…。
スタジアム右側。後ろを高速道路が通りスタジアムには車の走行音が響く。
スタジアム横には駐車場があり、そこにビジョンが置かれているようだ。
というわけでビジョンは仮設のものであり、極めて小さい。その代わりに音響はなかなか優れていてよく聞こえる。
スタジアム左側には簡易的なスコアボードが置かれ、その後ろに建物が連なっている。
ただ、このスタジアムでもっとも不便なのは、観客が試合の経過時間を把握できない点。スタジアム内には普通の時計しかないので、あと何分で試合が終わるのかが全く分からない。
サッカー用の45分計はあるが、ラグビーの試合では使用されていないようだ。
一応試合開始時刻を覚えておけばある程度は分かるが、ラグビーは時計が止まるので結局わからない。ここは改善の余地ありかな…。
そしてこれらの写真のようにスタジアム周りにはスペースが全然なさそうなのだが、果たしてどうやってここから増築するんだろ…?
バックスタンドの下には仮設の座席が組まれていて、少しでもピッチの近くで観戦できるようになっている。この工夫はGood。
メインスタンドは上部だけ屋根が付けられている。雨の時はこのエリアの争奪戦になるだろう。
コンコースはかなり狭く、身動きは取りにくい。トイレなどは駅で済ませてから来るのがよさそう。
スタジアム自体はそれほど新しいものではないが、バリアフリーの一環でこのようにオシャレなエレベーターが設置されている。
周りに比べてシースルーのエレベーターが浮いているような気がする。
【雰囲気】★★★★☆
スタジアムの入りは6~7割ほどといった感じであったが、観客全員にハリセンが配布されるとともに多くのお客さんがオレンジのユニフォームをまとって観戦していた。
スタジアムはそれなりにオレンジに染まった感があり、その辺はクボタスピアーズの狙い通りといったところだろう。
スタジアムにはマスコットもいて、スタジアムの雰囲気を朗らかなものにしてくれる。
やっぱりマスコットって大事なんだな。
もちろんトライが決まるとスタジアムが一気に盛り上がる。
応援については映像を使った演出を行っていたが、一体感のある応援はできず今後の課題となりそうだ。
そもそも、この試合を観戦したときは応援を扇動する行為が禁止となっていたし、その状態では一体感のある応援なんて無理だよな…。
コロナが本格的に収まればいくらでもやりようがあるだろう。
印象的だったのが、相手チームの煽りVTRもきっちり流したうえ、相手チームがトライを決めてもMCを含めたスタジアム中が盛り上がったことだった。
さすがノーサイドの精神を持つラグビーファン、たとえ相手であってもいいプレーには賛辞を惜しまない。
しかし逆に気になってしまったことが二つほど。
一つは、あまりに観客が成熟しすぎていて、もしかして新リーグになったというのに新しいファンが増えていないのでは…?という懸念。
もしそうだとすると、トップリーグからリーグワンになって変わったのはチケットの値段が上がったことだけ、という悲しい結論に至ってしまう。
もう一つは、こんなに相手チームも盛り上げてしまったらホームスタジアムを設定した意味がないのでは…?という邪念。
多分これは私がプロ野球やJリーグを見すぎている弊害なんだろう。
Bリーグなんかでも相手チームと言えどリスペクトを表現するし、リーグワンはそれがより前面に出ていると考えるべきだろう。
とはいえ、これではなかなかホームアドバンテージを作り出しにくい。リーグワンにおけるホームスタジアムとは何か、は今後検討する必要があるかもしれない。
スタジアム右側には、謎のオレンジのスペースがある。詳細は不明。
その右側にはマスコットの風船も置かれているようだ。
試合はクボタスピアーズがダブルスコアをつけて圧勝した。ラグビーはなかなかジャイアントキリングが難しいスポーツである。
【グルメ】★★★☆☆
スタジアム前には地元の商店街が出している出店が並ぶ。めちゃくちゃ有名店というわけではなさそうだが、地元と連携していることがうかがえる。
焼きそば400円、とら焼150円。普通に安く、普通においしい。
地元の江戸っ子っぽいおじさんとちょっとしたコミュニケーションが取れた。スタグルのだいご味の一つでもある。
【街との一体感】★☆☆☆☆
ホームスタジアムとは言うものの、残念ながらクボタスピアーズ関連のポスターなどは見当たらなかった。
この日はリーグワンにおけるクボタスピアーズの初ホームゲームということで西葛西駅前では号外も配布されたが、実際にはまだまだこれからということだろう。
しかしチームの正式名称はクボタスピアーズ船橋・東京ベイということで、ホームタウンは千葉県船橋市である。
果たしてクボタスピアーズの本当のホームは東京都江戸川区なのか、千葉県船橋市なのか、どっちなんだろうか…?
普通に考えればスタジアムのある江戸川の方が筋が通っているのだが、はてさて…。
別用で船橋アリーナを訪れたところ、こんなところにクボタスピアーズの展示があった。一応船橋での活動はしているようであるが、はてさて…。
↓別用。
【満足度】★★★☆☆
試合自体はとても楽しかったのだが、これだけではまだまだトップリーグからの進化は感じられなかったかな、というのが正直な印象。
もちろん初めてのホームゲームなのでまだまだこれからではあるだろうが、ホームタウンとホームスタジアムの場所が食い違う、チーム名がそもそも曖昧になっている、など方向性での不安面もつきまとう。
とはいえスピアーズにとって幸いだったのは、ホームスタジアムが被りまくっている東京のチームにおいて江戸川区陸上競技場を占有できているという点である。
今後スタジアム拡張の必要があるとはいえ、江戸川=クボタスピアーズの街というイメージが根付けば東京都内においても一歩リードとなるだろう。
前向きにとらえればスピアーズの使いやすいようにスタジアムを作り変えられるともいえるし、可能性は大きく広がっている。
是非ともリーグワンの成功例となってほしいものだ。
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