スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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熊谷スポーツ文化公園陸上競技場~目指せWEリーグのトップランナー~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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熊谷スポーツ文化公園陸上競技場は、2003年開場、埼玉県熊谷市にあるちふれASエルフェン埼玉のホームスタジアム。

 

ラグビーワールドカップの会場ともなり、また埼玉パナソニックワイルドナイツのホームである熊谷ラグビー場と同じ熊谷スポーツ文化公園内にあるが、なにぶん公園が広いためバス停一つ分くらい距離が離れている。

熊谷ラグビー場紹介記事はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

収容人数は15000人を超え、J1クラスのスタジアムと比べても引けを取らない大きさを誇るスタジアム。実際、大宮アルディージャが年に1試合ほどを開催しているようだ。

大宮アルディージャのホームNACK5スタジアムはこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

また陸上競技場としての使用頻度も高く、県内の陸上競技大会のほとんどがここで行われているほか、日本陸上競技大会も行われたことがある。

 

そんなこのスタジアムをホームとするちふれASエルフェン埼玉は、1985年に埼玉県狭山市で生まれたクラブ。

もともと少年サッカークラブの少女部として始まったという歴史を持ち、古くから女子サッカーに目をつけていたクラブである。

1991年に12歳以上の女子チームとして独立すると、2002年には日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)にASエルフェン狭山として加盟。

 

およそ2,3年に一度昇格と降格を繰り返すという激動の時代を送りながらも、2014年からASエルフェン埼玉に、2016年にはネーミングライツをちふれ化粧品が取得しちふれASエルフェン埼玉と名前を変える(ちなみにちふれ化粧品は本社が埼玉県川越市にある)。

 

そして2021年、日本で初めての女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」に参戦が決定、さらにこのスタジアムを正式にホームスタジアムに設定の上、今に至っている。

周りはJリーグと同じ名前を冠するクラブが連なる中で、なでしこリーグ2部に所属していたこのクラブがWEリーグに選ばれたのは、狭山市での少女サッカー活動が認められてのことであろう。

WEリーグについてはこちらにも記事をまとめています。

sportskansen.hatenablog.jp

一方でクラブの歴史としては上記の通り狭山市での方が長く、このスタジアムがある熊谷はWEリーグ参戦の際にやっとホームタウン協定を結んだというところ。

狭山、熊谷との距離感のバランスが今後大事になってくるだろう。

【アクセス】

最寄まで★★★★☆

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最寄はJR熊谷駅。新幹線も止まる、埼玉県北部のターミナル駅。

 

最寄から★★★☆☆

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熊谷駅からは3番乗り場からバスで15分、くまがやドーム前まで。

バスも少し増便してくれるが、試合終了直後にいい感じの時間のバスがなく若干待たされた。またスタジアムからバス停までちょっと遠く、案内も不十分。

 

今は1000人規模だからこれでもいいが、お客さんがもっと増えたら本格的に交通手段は改善が必要だろう。

ラグビーワールドカップの時なんてアクセスが一番に心配された立地なので。

 

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徒歩なら50分ほど。ラグビー場まではラグビーロードとなっており見どころも多いが、こちらのスタジアムに向けては歩道も十分でなく歩くには向いていない。

 

【観戦環境】★★★★☆

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陸上競技場ゆえピッチからは遠いが、高さがあるので全体を見渡すことができる。

 

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コーナーキックのボールの軌道もよく見える。

 

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ビジョンもなかなか立派なものを使っているほか、時間表示は時刻を示す時計と試合時間を示すアナログ、デジタルの時計がありすごく充実している。

 

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右側のスタンド。

 

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左側のスタンド。全部つながっていて、ぐるっと一周回れるようになっている。

スタンドが孤立しているスタジアムも多い中(熊谷ラグビー場もそう)、とても回遊性に優れたスタジアムである。

 

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またメインスタンドにはちゃんと屋根もついている。

雨や日差しもしのぐことができ、そんじょそこらのJリーグスタジアムよりも設備は立派と言っていいだろう。

 

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コンコースも十分なスペースがとられている。

 

【雰囲気】★★★★☆

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ちふれASエルフェン埼玉では「マイスタジアムマイホーム」を掲げ、スタジアム全体が家族のように一体となろう、という雰囲気づくりに取り組んでいる。

この日の対戦相手マイナビ仙台レディースにはまだまだ実力で及ばず、0‐3で無念の敗戦。

 

しかし試合終了直後にはスタジアム全体で大きな拍手で選手を迎えた。

Jリーグであれば「ぬるい」と言われてしまうかもしれないが、これが令和のプロスポーツの在り方であり、またWEリーグの目指しているものなのかもしれない。

 

そういう意味では、大敗したにもかかわらず発生したこの温かい拍手はこれからのWEリーグの象徴的出来事だと言えるだろう。

まー、普通に考えて女性選手にヤジでも飛ばしたらつまみ出されてもおかしくないけどね。

 

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もう一つ印象的だったのは、この月誕生日を迎える1歳の赤ちゃんが登場したイベントだ。

誕生月の子供の名前を読み上げるだけのイベントはどこかであったような気がするが、実際にグラウンドに降りてきてボールを台に置くまでするイベントは初めて見た。

 

まったくもって赤の他人の赤ちゃんではあるが、なんとなーくスタジアム全体が優しい空気になってなんとなーくめでたいような感じになった。

イベント自体もさっと出てきてボールを置いてさっと帰っていったので特に邪魔になることもなくいい感じ。

 

スタジアム全体から拍手を送られ、家族にとっても一生の思い出になるイベントになるだろう(子供は覚えてなかろうが)。

 

一瞬本当に家族のような空気感になり、マイスタジアムマイホームを体現するイベントだと思った。WEリーグのやりたいことってこういうことなんじゃなかろうか。

 

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かと思えば、最高年齢80歳のチアも登場。年齢のふり幅が広すぎる。

ゆりかごから墓場まで、みたいなスタジアムだなあ。

 

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またWEリーグに合わせて創設されたチアも登場。

 

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ちふれASエルフェン埼玉にはボンバーで有名な荒川選手も所属している。遠くから見ても髪型で一発で分かる。

覚えてもらうためにはこういうキャラ付けって結構大事ですよね(荒川選手は覚えてもらうっていうレベルの選手ではないが)。

 

【グルメ】★★★★★

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スタジアム前には、ダイニングルームと名付けられた埼玉で営業している数々のお店の屋台が並んでいる。

かなり気合が入っているようだ。

 

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中にはピザの窯を持ってきているお店もあるなど、かなり本格的だ。

 

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おいしそうだったので1枚購入。1枚1枚丁寧に作って焼いてくれるので時間はかかるが、本格的な窯焼きはやっぱりおいしい。

 

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唐揚げも購入。タレの染み加減が絶妙で、カリッとした皮、じゅわっと染み出るタレの味が最高。

現状のWEリーグの規模を考えれば、ちゃんと地産地消も出来ているし十分に満点に値するグルメだ。

もっとお客さんが増えたらもっとお店を増やしていければベストですね。

 

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スタジアム内には売店もあるが営業していない。外のグルメが充実していて稼働させる必要がないとなれば、これは努力の証である。

 

【街との一体感】★★☆☆☆

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熊谷では現在絶賛ラグビーをプッシュ中であり、2021年に移転してきたちふれASエルフェン埼玉はまだまだこれから。

 

とはいえ駅前には埼玉武蔵ヒートベアーズと並んで小さいながらも掲示があったし、受け入れてもらう基盤は十分にあるだろう。

ラグビーと一部シーズンも被るので、時には親子ゲームなんかもしながら埼玉パナソニックワイルドナイツとうまいこと協力関係を築き上げていきたいところ。

 

【満足度】★★★★☆

成績面や熊谷での広報活動という点ではまだまだこれからな部分があるものの、狭山で長年少女サッカークラブとして活動していたこともあり、全体的に女性の取り込み方という意味ではすごくいいものを持っているクラブではないかと感じた(ヘッドコーチも女性が務めている)。

 

客層はまだ男性客も多いようだったが、このファミリーのような空気感を作っていければ子供連れでくるお客さんもどんどん増えていくだろう。

 

令和の新スポーツリーグであるWEリーグにおいて、これからの可能性が開けているクラブの一つだと感じた。

まずは継続してコツコツ積み重ねていけば、将来的には唯一無二の楽しいスタジアムが出来ているのではないだろうか。

将来のスタジアムの姿が楽しみだ。

 

 

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