注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
静岡県小笠山総合運動公園スタジアム(エコパスタジアム)は、2001年開場、静岡県袋井市にあるスタジアム。
エコパとはやまびこを意味する「エコー」と友を意味する「パル」を合わせた造語。ちょっとふわっとしたネーミング…。
東海地方で唯一、2002年FIFAワールドカップ、2019年ラグビーワールドカップが開催されたスタジアム(愛知県豊田市はFIFAワールドカップで選考から落選している)。
FIFAワールドカップでは準々決勝のブラジルvsイングランドが行われ、日本中のアイドルとなったベッカムが敗れた舞台となった。
またラグビーワールドカップでは日本がアイルランド相手に金星を挙げた舞台となっている。
この時逆転トライを決めた福岡選手は銅像になり、「シズオカ・ショック」と名付けられ世界中に広まるほど衝撃的な試合だった。
本スタジアムの現在の大きな存在意義の一つとして、静岡国際陸上競技大会がある。
これは世界陸上競技大陸ツアーにおける日本で開催される数少ない大会の一つで、世界選手権やオリンピックの代表選考会にもなっており日本陸上界にとって非常に重要な意味を持つ大会である。
サッカーファンからは敬遠されがちな陸上トラックだが、これくらい活用されていれば存在理由としては十分だろう。どこもかしこも陸上競技場なのが問題なのであって…。
また、Jリーグのジュビロ磐田はホームのヤマハスタジアムの収容人数がそれほど多くないので、集客が見込める試合ではこのエコパスタジアムを使っている(スタジアムのこけら落としはジュビロ磐田vs清水エスパルスの静岡ダービーだった)。
たまに使うくらいなら陸上競技場でも大きな問題はないだろう。個人的にはヤマハスタジアムと良い使い分けができているのでは無いかと思う。
すぐ近くにあるジュビロ磐田のホームヤマハスタジアムはこちら。
今回はこのエコパスタジアムで行われたラグビー日本代表vsサンウルブズの試合を観戦したのでその時の模様をお伝えしたい。
ちなみに、エコパスタジアムで初めてラグビートップリーグが行われたのは2015年と、ラグビースタジアムとしての歴史はかなり浅い。
しかし前述のようにラグビーワールドカップで日本が大きな一歩を踏み出したスタジアムとなったことで、新たなラグビーの聖地としての一歩を歩みつつあるようだ。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄りはJR愛野駅。新幹線が止まる掛川駅からは一駅で、遠征にもそこそこ便利。というか、愛野駅自体がエコパスタジアムを見越して開業した駅なのである。
ただ愛野駅自体は特別大きな駅ではないので、帰りなどは非常に混雑し入場制限もかかる。そういうわけで、試合後はゆったりとしたスケジュールを組んでおく方がよい。
最寄から★★★☆☆
愛野駅からは徒歩20分ほど。エコパスタジアムへ向けて非常に広い歩道が通っていて、歩いている分には大きな混雑は生じないようだ。
道中には謎のゴールポストがある。ワールドカップ出場国出身のアーティストが作製したアート作品が点在しており、見るものを飽きさせない。
これがアートなのか?というのはまた別のお話。
そして道中一番の見どころがここ、動く歩道とスロープカー。
道中は一定以上の傾斜がないように設計されているが、ここだけはどうしようもなかったらしい。
いくらバリアフリーといえど、ここまでやっているところはなかなかないだろう。もちろんスロープカーは無料で乗ることができ、車いすやベビーカーでも安心だ。
そして動く歩道を上りきると向こうにエコパスタジアムが見える、というわけ。
小笠山というだけあってとても緑が豊かである。
この地図を見ると、公園の大きさがよくわかる。エコパスタジアムがとても小さく見えるほどだ。
試合後には階段を上っていく人の姿も見えた。駐車場かなんかがあるのかな?
丘の上に立っているおかげで見晴らしはいい。なんとなく山梨の盆地地帯を思い起こさせる風景だ。
↓私のイメージする山梨。
【観戦環境】★★★★☆
陸上競技場ではあるが、べらぼうにピッチから遠いわけではないのでそれなりに見やすい。
このスタジアムの大きな特徴として1階席の最前部が可動式になっており、サッカーやラグビーの時はちょっとだけピッチに近づけるようだ。ちょっとだけ。
とはいえ2階席であれば全体が見渡せるので、陸上競技場でサッカーやラグビーを見る場合は基本的には2階席の方がおすすめだ。
小笠山をイメージしたウェーブがかかったオシャンティーな屋根は基本的に2階席部分のみを覆っている。
この写真を見てふと思ったけど、ラグビーのピッチって陸上トラックの中に納まらないんだなあ。ちょっと手間がかかるんですね。
座席は緑とオレンジの二色で、1階には小笠山をイメージしたウェーブが、2階にはECOPAの文字が描かれている。東海道線を思い起こさせる色合いだが、やはり静岡といえば緑とオレンジなのだろうか。
全体が見渡せるおかげで選手のフォーメーションなどはばっちり把握できる。
ただライン際の攻防が見辛いので、トライしたのかしてないのか分かりにくく観客の反応がイマイチになってしまうことがある。
その辺はネットが揺れたらゴールとわかるサッカーとの大きな違いである。
1階席からの眺め。ボチボチ見やすい。
客席は2層だが、コンコースは3階までありコンコースの1階は1階席の中段くらい、2階は1階席の上段、3階は2階席につながっている。
コンコースはそれなりには広いが売店などがある部分では混雑しているところもある。
3階のコンコースは一部かなり狭くなっているところもある。
国立競技場の通路が狭いだのなんだの言われてますけど、こんくらい狭いスタジアムなんてザラにあるんですよ。
まあ、国立競技場も狭いけどさ。
ビジョンは両サイドスタンドに設置されており、反対側からでも余裕で見えるほどの大きなサイズだ。
【雰囲気】★★★★★
コロナ禍ということもあり満席とまではいかなかったが、2万人近くのお客さんが集まった。
観客にはハリセンが配られ、お互いいいプレーが出ると大きなクラップの音がやまびこのようにスタジアム全体に響き渡った。
一度勢い余ってプレースキックの時にまでクラップの音が鳴ってしまったが、さすがにすぐに収まった。
プレースキック時にはお静かに、というのはラグビー観戦時の基本ルールなので気を付けましょう。
ラグビー観戦時の基本精神は以下の記事にもまとめております。
試合は前半、ちょっと緩かった日本代表のスキを突きサンウルブズが2トライを決めまさかのリード。
しかし後半は日本代表に火が付いたのか逆転し勝利。お互いの本気プレーを見ることができ、観客も大いに盛り上がった。
ハーフタイムにはサンウルブズ名物のチアリーダーによるパフォーマンスも復活して行われた。
サンウルブズは日本代表を強化するため世界最高峰のラグビーリーグ、スーパーラグビーに参入すべく結成されたチームだが、2020年を持ってその役目を終えた。
しかしチアリーダーや花火など今までの日本ラグビーになかった文化が輸入され、ガオガオダンスやキックオフ時の遠吠えなど独自の文化も生まれた。
このままなかったことになるのはあまりに惜しいので、是非とも復活を期待したいところである。
秩父宮でスーパーラグビーを観戦した時の記事はこちら。
【グルメ】★★★☆☆
グルメに関してはスタジアム外に大きなスペースが用意されているほか、スタジアム内にも随所に物販スペースが用意されており主催者の裁量でいろいろ売ることができる。
その代わりスタジアム常設店舗というのはないので、開催側の気合によってグルメの内容は様々に変わってくる(はず)。
今回食べたのは静岡名産茎わさびの入った、しらす&からあげ丼。
なかなか普通には見ない組み合わせだが、まあそりゃどちらもご飯には合いますよ。
一応最低限は静岡気分を楽しめたと思う。
【街との一体感】★★★★☆
スタジアム前にはワールドカップ記念のモニュメントがあるが、だいぶさびさびで時の経過を感じる。
駅前にも大きなサッカーボールがあり、ワールドカップ開催都市であることを大きく打ち出しているようだ。
一方で、ラグビーワールドカップが開催されたことで着実にラグビーの聖地としても歩みを進めつつある。
これらの世界的なイベントが過去になることなく、未来に向かって様々なイベントに使われるようなスタジアムになってほしい。
今回の静岡旅行記はこちら。
【満足度】★★★★★
2002年にはFIFAワールドカップが開催されたものの、それ以降はジュビロ磐田の試合が年に何度か行われる程度で存在感が薄れつつあったのは事実である。
しかし2019年にラグビーワールドカップが開催され、「シズオカ・ショック」と名を残したことで一躍ラグビーの聖地として存在感が復活した印象である。
実際、秩父宮や花園などのラグビーの聖地は国際試合を行うには少しキャパシティーが足りない問題があった。
今回のようにエコパスタジアムでラグビーの日本代表戦が頻繁に行われることで、エコパにとっても日本ラグビー界にとっても大きなストーリーを作る足がかりになるだろう。
ラグビー日本代表はエコパとともに!
索引を作りました!
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