注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
太田市総合体育館(オープンハウスアリーナ太田)は、2023年開業、群馬県太田市にある群馬クレインサンダーズのホームアリーナ。
群馬県太田市は、群馬県内では高崎市、前橋市に次ぐ約22万人が住む市である。
SUBARUの企業城下町として知られており、工業製品出荷額ではなんと広島市に匹敵する全国11位を誇る、極めて工業の盛んな街である。
その一方観光資源は乏しく、かろうじて太田焼きそばがちょっと有名なくらいで、太田市の知名度自体も極めて低いと言わざるを得ない。
そんな太田市にとって新たな希望の光となったのが、Bリーグの群馬クレインサンダーズである。
サンダーズはこのオープンハウスアリーナ太田の開業を前提として、前橋市から2021年より太田市に移転してきたのだ。
群馬クレインサンダーズの概要や太田市運動公園市民体育館については以下の記事を参照されたい。
建設計画は急ピッチで進められ、2023年4月にいよいよ開業を迎えた。
あまりにも気がはやったのか、まさかの予定より1週間早く開業してしまった。
バスケでの活用を最優先で考えているからこそ、こんなことができるのである。
さて、オープンハウスアリーナ太田の概要を見てみると、収容人数はB1リーグライセンスギリギリの約5000人である。あれ、意外と小さい?
しかし逆に言えば、「身の丈に合った」サイズであるともいえる。
思えば1990年代から2000年代にかけて、プロ野球やJリーグでは「大きいことは良いことだ」と言わんばかりの超巨大スタジアムが作られてきた。
しかしバブルははじけ人口も頭打ちとなり、程よい大きさのスタジアムが求められる時代となった。
Bリーグも例外ではなく、東京や沖縄に1万人規模のアリーナが誕生する一方で、人口に応じて5000人クラスの「中規模アリーナ」が作られるのもまた時代の流れと言えよう。
しかしアリーナとしてしょぼいかというとそういうことはないようで、
・日本最大級のビジョン
・世界最高峰のサウンドシステム
・コートが浮かび上がる劇場型ライティング
・限界まで近づけたコートと席の距離
といった、もはやこれ以上やることがないほどエンタメをぎゅっと詰め込んだアリーナになっている、という触れ込みだ。
アリーナのプロモーションビデオもめちゃくちゃセンスある出来になっている。
今回は、太田市に生まれた新たなシンボルを存分に楽しむことにした。
【アクセス】
最寄まで★★☆☆☆
最寄は東武鉄道小泉線の竜舞駅。
いわゆるローカル線のため乗り継ぎも多いし本数も少なく、あまりオススメはできない。
現在は以前なかった太田駅からの無料シャトルバスが運行されるようになったので、そちらを使う方が便利だろう。
今回はいろいろあって使わなかったが。
最寄から★★★☆☆
竜舞駅からは徒歩20分。こちらの太田市運動公園を目指して歩く。
太田駅からのシャトルバスは本数もかなり充実しているようなので、アクセスに関してはかなり改善された。
車社会の太田だけに臨時駐車場も設定されている。
【観戦環境】★★★★★
バスケ観戦に最適化されたアリーナということもあり、非常に見やすい。
座席の角度がほんのもうちょっときつかったら完璧な気もするが、とはいえギリギリ前の人の頭が邪魔にならないくらいではある。
おそらくどの席からもコート一面がすべて見えるように設計されている。
そのため、チケットを買うときにどの席を取るか迷う必要はない。空いている席を取ればよい。
引きで見たアリーナ全景。
確かに5000人規模でコンパクトではあるが、その分アリーナの一体感も感じやすい。
もちろん全席にドリンクホルダーがついているし、地味にスマホなどを落としても前の席に落ちないようになっているのはうれしいポイント。
細かいところまで配慮が行き届いている。
そして日本最大級をうたうビジョンがこちら。形状の違うビジョンが大量にあるので、すべての面積を合わせたら最大級といったイメージ。
いずれにせよ迫力はスゴイし、情報もコンパクトにまとまっていて見やすい。
試合前には4隅のビジョンが下に降りている。それゆえビジョンがより大きく見える。
ビジョンにはDJさんが映っているが、このアリーナではDJパフォーマンスが頻繁に行われるのが印象的だった。
しかし私はDJがどういうことをする人なのか未だにいまいちよく分かっていない。
試合前にはこのようにビジョンが引き上げられていく。
おそらくそのままだったらパスが余裕で当たるだろう。
アリーナの4隅にもビジョンがあるし、アリーナをぐるっと囲むリボンビジョンもあるし、とにかくビジョンが多い。
非日常感を作り出そうという意気込みがすごい。
アリーナ上部にはどうやらVIPルームがいろいろ用意されている。
一般客にはなかなか縁のない場所であるが、これでスポンサーのおもてなし対策は完璧だ。
お金落としてくれる人は大事。
ただコンパクトすぎるアリーナゆえ、通路が少し狭いのがちょいと不便と言えば不便。
トイレも場所によっては少し遠いように思う。
入り口から入ってすぐの光景がこちら。ここからの角度がアリーナ全体が一番見やすいかな。
鉄骨むき出しの天井もこれはこれでよい。
しかしそのせいかなのかわからないが、スマホの電波がなかなか届かない悩みがあった。
アリーナ内にフリーWi-Fiを飛ばしてくれると非常に助かります。
アリーナ内のコンコースも非常にコンパクト。
グルメやイベントブースはほとんど外のエリアにあるため、雨の日は若干大変そうな気がする。
一応アリーナ内にもグルメブースがある。活用できるのはこれからかな。
面白いのはこのコンコースからサブアリーナが見えること。ここで選手たちがウォームアップしたりしている。
こういう裏側を見られるのもなかなか画期的だ。
アリーナには常設のグッズショップも完備。
本当にプロバスケの運営を前提として設計されたアリーナであることがよく分かる。
【雰囲気】★★★★☆
とにかく光と音を使った大迫力の試合演出が印象的。
試合前にはみんなで立ち上がったり、クラップを煽ったり、バズーカでグッズが飛んできたり、客席をカメラで映してみたり、まさしくNBAのようなエンタメの詰まったアリーナだと感じた。
しかしものすごく意地悪な言い方ではあるが、現状ではNBAらしくはあるものの逆に言えばNBAらしい以外の印象が薄いというところもある。
何かプラスアルファの「群馬クレインサンダーズ」らしさがあると、日本で唯一無二の本当に楽しいアリーナを作れると思う。前回もこんなこと書いた気がするが。
もちろん、まだまだ開業したばかりだから可能性は無限大だ。だからこそ目標は高く設定したい。
とはいえこの日は立見席もほとんど埋まり、5000人以上のお客さんが集まった。
間違いなく太田市のシンボルとして、群馬や全国に自慢できるアリーナであることは間違いない。
【グルメ】★★★★★
先述の通りグルメやイベントブースが外にずらっと並んでいる。
和太鼓の演奏や阿波踊りもあったり、試合を抜きにしても楽しめるような空間になっている。
太田と言えば太田焼きそば。前回も食べた気がするけど、やっぱり太田に来たら日本三大焼きそばの一つを食べたい。
具沢山でボリュームたっぷり、値段も安心の750円で大満足。
群馬のソウルフード、焼きまんじゅう。
邪道かもしれないがあんバターバージョンを売っていたので買ってみた。
タレにあんこ、バターがのっかりとにかくカロリッシュな逸品。
作ってたのはおばあちゃんだったけど、これ健康に食べきれるの男子高校生だけだよ。いや食べたけどさ。
帰りの特急で食べたのが、Bリーグ最年長五十嵐圭選手とお弁当屋さんがコラボしたお弁当。
肉と野菜のバランスも良く味も美味しい、ボリュームも十分満足。即完売する人気商品だったようだ。
この他にもデカからあげや池谷直樹のたこ焼き(なんと本人が焼いていたらしい)など気になるグルメもあり、何回行っても楽しめそうだ。
【街との一体感】★★★★☆
太田駅周辺の状況については以前の記事を参照ください。
まずは車社会太田市の中心ともいえるイオンモール太田から。
ここにはオープンハウスの店舗があり、もちろん群馬クレインサンダーズを推している。
ポストもサンダーズ仕様に。
バス停にもマスコットのサンダくんが。
グッズの自販機が設置されているのもびっくり。
グッズショップを置くより人件費もかからないし、省スペース化も図れるナイスアイデアだ。
どれくらい売れているのかは知らない。
もちろんのぼりもある。
太田駅や太田市内のいろんな施設にはオープンハウスアリーナの宣伝ポスターが貼ってあった。
「SMALL ARENA BIG VISION」、このアリーナを端的に表すキャッチフレーズである。
ちょっと気持ち悪い歯医者さんの看板にも応援メッセージが。
郵便局のポストにもサンダくんが貼ってあった。
太田駅近くのスポーツショップもサンダーズ推し。
太田市は車社会ゆえ人が一カ所に集まるような場所が少ないが、それでも各地でクレインサンダーズの黄色と黒が見られる。
とりあえず2023年のオープンハウスアリーナでの試合はほとんど満員だったので出だしは上々だろう。
【満足度】★★★★★
めちゃくちゃ細かいところを見ればこれから改善が望めるところもまだあるものの、現時点で太田市ができる最高峰のアリーナを作り上げたことは間違いない。
地方都市でもこれだけのものが作れるということを日本中に示してくれた功績はあまりにも大きい。
この小さな自慢のアリーナを携えて、太田市からBリーグの頂点に立つ日を夢見て…。
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