注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】

札幌ドーム(大和ハウス プレミストドーム)は、2001年開場、北海道札幌市にある北海道コンサドーレ札幌のホームスタジアム。
札幌ドームについてはこれまで何度も訪れて記事にしている。
2018年の北海道日本ハムファイターズ本拠地移転発表以来、札幌ドームを取り巻く状況は激変してきた。
本当に、激変してきた。それこそ、日本スポーツ史に残るほどの…。
その詳細についてはネット上で語りつくされているし、私情もはさみたくないので、ここでは省略する。
こちらの動画が非常に面白かったのでオススメ。
そんな激動のさなかにある札幌ドームであるが、2024年8月1日~2028年7月31日の期間でネーミングライツ契約が締結され、「大和ハウス プレミストドーム」の名称がつくことになった。
命名権導入にあたって頑なに「札幌ドーム」の名称は譲らないとされていたが、ふたを開けてみればどこにも札幌の文字はなくなっていた。
この名前を聞いただけではきっと札幌ドームだと分かる人はほとんどいないだろう…(それとも「札幌ドーム」に負のイメージがつきすぎたと判断した大和ハウスがイメージの刷新を図ったのか…)。
とにもかくにも今回の記事は、ファイターズなき後の札幌ドームの現状を観察していくこととしたい。
果たして、札幌ドームに未来はあるか。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆

最寄は札幌市営地下鉄東豊線福住駅。
東豊線の終点であり、札幌から一本で来られるアクセスの良さは札幌ドームの大きな強みだ。
そんなわけでセイコーマートに通い詰めた旅の記録はこちら。
最寄から★★★★☆

福住駅からは徒歩15分ほど。
大通り沿いに歩いて行くだけなのでとても分かりやすい。

道中にはコンサドーレのスポンサーである石屋製菓のユニフォーム型看板が設置されている。

札幌ドーム前には2023年、雪ミクがサッカーをしているイラストが描かれたマンホールが設置された。
タイミングがもう少し早ければ野球とサッカーの二刀流だったのかなあ…。

そんな広場から札幌ドームの近未来的な屋根が見えてくる。
UFOみたいでカッコいい。


気付けばドーム前の通路はコンサドーレ一色となっていた。
この光景が5年後10年後にどう変化しているか、あるいは変化していないのか。
もうしばらくは激動の時を過ごすことになりそうだ…。
【観戦環境】★★★★☆

今回はバックスタンドの中段あたりから。
屋根があるので天気の心配がいらないのはとても助かるのだが、どうも全体的にのっぺりとして見にくい。

ピッチを回転しないといけないので円形のスペースを作らざるをえず、客席とピッチまで距離ができてしまう。
そのうえ客席の高さはピッチレベルなので、遠いし低いという割と見辛い環境になってしまっている。
高さがない分、下手な陸上競技場より見にくくなっている可能性すらある。
それでもコンサドーレの聖地とされる厚別よりはマシだろうけど…。

こちらがホーム側のゴール裏。
野球場と兼用になっている影響で、スタンドが左右非対称の変わった形状になっている。

アウェイ側のゴール裏は一部に絞られている。
その影響でホーム側ほど非対称ではなくなっている。


スタジアム全景。ドームも丸いし、ピッチ回りも丸いのがよく分かる。
そしてドームが大きいのでピッチまでちょっと遠い。
ピッチの角あたりが一番見やすいかも(前回の記事はそのあたりで観戦)。

ここがメインスタンド。おそらく上部がVIPエリア。
野球場で言えばこちらがバックネット裏ということになる。

バックスタンドの上の部分は通路になっており、ぐるっと一周回ることができる。
通路はメインスタンドの裏に続いているので、ピッチが見えるのはバックスタンド上の通路だけ。

座席に行くにはここから階段を降りることになる。
足腰の弱い人はちょっと辛い。一応手すりはあるが…。

旧野球場のフェンスはこの黄色い部分。
とはいえここで野球の試合が行われることはしばらくないだろう…。

ビジョンはバックスタンドの後ろに1枚ずつ。

ビジョンはサッカースタジアムとしては破格の大きさ。
色も鮮やかでとても見やすい。

ちなみにメインスタンドの裏にも小さいビジョンがある。
小さいながらくっきりと見やすい表示。

バックスタンドの裏(野球で言えばバックスクリーン)は一番開けているゾーン。
日本ハムが未だに広告を出しているのが義理堅くて泣ける…(あんなに足蹴にされたのに…)。

通路上にはお店が出ていたりする。
黄色の吹き抜けもあったりして、デザインとしては本当にオシャレだ。


随所に写真映えしそうなスポットも設けられている。
現代に迎合しようという意気込みが感じられる。

座席が徐々にせり上がっているのがよく分かる。
サッカースタジアムとしてはちょっといびつな形状だ。


ゴール裏にはいろいろとペタペタ張られている。何を感じるかは見る人次第。

実はここよりもう一段上にも通路があり、狭いながら子供用の遊具があったりする。

そしてめちゃくちゃ高い…。
でも地味に試合全体は見やすいかもしれない。座席はないけど。

1階から2階に上がる階段の途中には一面幕が張られている。

こちらがゲートをくぐった1階のコンコース。
様々なお店やイベントブースがひしめき合っている。

もちろんグッズショップもある。

ただし途中にアウェイエリアがある影響で一周回ることはできない。
移動したいときは2階のコンコースを使おう。

このあたりは階段があり、半分休憩所として使われている。

階段を上ると外に出ることができ、キッチンカーが並んでいる。

イベント用のスペースがあり、トークショーなどが行われていた。

こちらはドームの外にあるエリア。
謎の数式と何かが外された形跡があるが、元々何があったのか不明。ファイターズ関連の何かだったとか…?

札幌ドームの特徴的な形状はここから眺めることができる。

普段はここで天然芝を育てており、試合時にピッチを中に引き入れている。
ピッチを外に出したまま試合を行うこともできるようだ。
【雰囲気】★★★★☆

この日はとにかく明るい安村とパンサー尾形が来場。
北海道出身だが高校野球で甲子園出場経験のあるとにかく明るい安村と、仙台育英サッカー部で背番号10を背負ったが宮城県出身のパンサー尾形。
なんだか、コンサドーレとかみ合いそうでかみ合わない経歴の二人である…。
(そしてツッコミのいない地獄…)

ゴール裏の大きさも相まって、サポーターの熱気もなかなかのもの。
ドームによる音の増幅もあり、Jリーグでも随一の迫力だ。

試合前には「ATTACK!!」のコレオ。
攻撃こそミシャサッカーの最大の特徴であり、コンサドーレのアイデンティティ。

観客もその多くがタオルマフラーなどを身に付け、戦闘態勢もばっちり。
更にはゴール裏のサポーターがバックスタンドまでかけつけ、
「この試合絶対に負けられません、たとえ周りが手拍子していなくても手拍子をしてください」などトラメガを使って熱いメッセージを投げかけた。その意気やよし。
…でも、ちょっと違和感もあった。
理由①:チケットばらまき&ユニフォームプレゼントでせっかく新規客取り入れを狙ってるのに、そんなに応援参加を強要していいのか?(いくら手拍子だけとはいえ…)
理由②:いくら降格圏内とは言えシーズンが終わるまであと3カ月もあり、さらに夏休みを満喫する子供もたくさん来場している、そんな楽しい夏休みの雰囲気で応援を強要する必要があるのか?
もちろん実際は応援を強要しているわけではないのだが、ゴール裏の人の言葉には明らかに「手拍子しない人はやる気のないダメな人」という意味が含まれていた。
(しかもゴール裏から手拍子の様子は見えています、という半分監視のような言葉まで…)
もし本当に初めてコンサドーレの試合を見に来た家族連れがいたとしたら、いきなり来て応援を(実質)強要されてしまったら正直引いてしまうだろう。
だってこんな何百試合もJリーグの試合を見てる私ですら、若干ダルく感じちゃったんだから…(ビール半額だったし酒飲みながらダラダラ過ごそうと思ってたのに…)。
もちろんJリーグサポーターの熱い応援は、お客さんを惹きつける最大の武器である。
しかしそれがほかのスタンドでゆっくり見たい人にまで強要されると、客離れの一因にもなる諸刃の剣でもなる。
今回に関しては言葉のチョイスが良くなかったのかな、という感じもするのだが…(でもやっぱりお客さんに呼びかけるなら言葉は慎重に選ぶべきである)。
せめて応援へのご協力お願いします、くらいの呼びかけだったら全く気にならなかったと思う。
正直Jリーグはサッカー以外のエンタメ力がまだまだ乏しい(プロ野球やBリーグに比べると…)のだから、せめてサッカーの多様な楽しみ方くらいは許容されてほしいと切に願っている。
サッカー以外の楽しみが少ない、おまけに応援する以外のサッカーの楽しみ方が許容されないとなるといよいよ客がふるいにかけられていく…。
そしてもう一つの懸念点は、上記の呼びかけに対して大きな反発もなかったこと。
それどころかパラパラと賛同の拍手も起こるほどだった(のわりに試合中手拍子している人が少なかったのは気になったが…)。
きっとおそらく応援への呼びかけがだるいと思っちゃった人は、抗議することもなくそのままスタジアムに来なくなるだけなんだろうけど…。
ただこの呼びかけが大きな反発もなく受け入れられたということは、普段からコンサドーレを応援している熱い人たちしかスタジアムに来てなかったのではないか?
だとしたらチケットをばらまいてユニフォームプレゼントまでしたのに、普段スタジアムに来る人がただただ得をしただけではないのか?
そうなると、コンサドーレからすれば非常にまずいことになる。
つまりいくらチケットやユニフォームをばらまこうがファンの絶対数は増えることはなく、普段から試合を見に来ているコアファンが来たり来なかったりをただ毎試合繰り返すだけになってしまうのだ。
以下のデータもJリーグクラブみなその傾向にあることをよく示しているが…。
このままだとお客さんはただ一時的に増えたり減ったりを永遠に繰り返しつつ、少子高齢化に応じて緩やかに減っていくことになる。
こうすればお客さんを増やせるという明確な正解があるわけではないが、少なくともこのままでいいとは思えない。

試合直前には選手が軽く挨拶をしてくれた。ドリンクを飲みに来たついでかもしれないが…。
選手の物理的、あるいは精神的なファンとの近さはJリーグの大きな長所だ。

試合の方はお互いPKもあって1‐1の同点に。

ゴールが決まるとドームも総立ちで、大変盛り上がった。

その後後半アディッショナルタイムに1点ずつ取り合う非常に見ごたえのある展開になった。

屋内と言えど試合後には倒れこむ選手もいた。
お互いに死力を尽くして戦っているのだ。
観客の心をつかむのは、最終的にはサポーターの応援ではなく選手のプレーである。
それはスポーツ観戦における永遠の、そして不変の真理だ。


帰り道は当然大行列となる。
引き分けだと両クラブのサポーターが同時に帰路につくので、一番混んでしまう試合展開。

少々遠回りだが、帰りはイトーヨーカドーの反対に渡って福住駅へ降りるのがオススメ。
こっちの方が多少道が空いているのだ(ただし電車の激込みは避けられない)。
【グルメ】★★★★☆

前述の通り、この日はビール半額の大盤振る舞い。
北海道限定のサッポロクラシックも400円に。

こちらはドームでしか飲めないその名もコンサエール。
もちろん普段の半額となる470円でお買い得。さすが北海道のビールだけあって非常にうまい。

酒のアテはキッチンカーで販売されていた焼牡蠣。
チリソースと醤油で食べ比べることができ、一瞬でなくなってしまった。

場内のグルメでおススメなのは「頑固オヤジ」シリーズ。
一体頑固オヤジがどなたなのかはいまだにわからない。
私が食べたことがあるのはカレーだったのだが、いつの間にかジンギスカンのお店ができていた。
しかも以前は屋台だった気がするが、常設店に格上げされていた。
カレーはもちろん美味しかったのだが、こちらのジンギスカンもなかなか侮れないおいしさ。
さっぱり大根おろしにバターの風味も少し感じられたりして、北海道のソウルフードジンギスカンの雰囲気を味わうことができた。
ただ、ここ以外の他の店はモスバーガーとかケンタッキーとかそんな感じ。
もちろんおいしいのは保証されているが、選手グルメ以外は別にわざわざ北海道に来て食べたいとは思わないな…。

頑固オヤジのお店でジャガイモを売っていたので勇気を出して買ってみた。
なぜ勇気を出したかというと、このサイズで500円近くするチャレンジングなお値段だったからだ。
…北海道の思い出として、胸とお腹にしまっておくことにした。
ちゃんと美味しかったよ。
【街との一体感】★★★★☆

福住駅の駅名標の下にはコンサドーレのロゴがたくさん。



駅の出口までの通路もコンサドーレ一色。

以前ここには、ファイターズとコンサドーレが並んでいたのだが…。
やっぱり寂しい。

改めて見るとコンサドーレのロゴってちょっとカープっぽい。

札幌の百貨店丸井今井には、北海道の3チームであるファイターズ、コンサドーレ、レバンガのグッズショップがある。
その中でもコンサドーレを一番推しているようだ。

こちらのサッカーショップはコンサドーレオフィシャルグッズショップである。
ただ、コンサドーレ関連はそんなに品ぞろえがいいかというと…。

フォトスポットはばっちり。

札幌市内の地下鉄やバスには広告があったりする。

大通駅には今回のイベントのバナーが貼ってあった。
とはいえ、どうしてもファイターズの勢いに押され気味ではある。
そりゃ、あんなボールパーク作っちゃったら話題は持ってかれちゃうよねえ…。
【満足度】★★★★☆
解体しろだの、競輪場にしろだの、いろいろな話が出てくる札幌ドームであるが、なんだかんだ言ってもドームで快適にサッカーが見られるのは日本でここだけ。
Jリーグにおいてとても貴重な施設であることは間違いない。
とはいえもしコンサドーレが頑張って毎試合満員にしたとしても、年間70日を埋めていたファイターズの穴を埋めることは物理的に不可能だ(絶対的に試合数が足りない)。
公共施設という側面を考えれば多少の赤字は許容されうるだろうが、それだって限界はあるだろう。
ということは札幌ドームも運営を頑張らないといけないわけだが、果たして「ファイターズを追い出した人たち」に健全な運営ができるかははなはだ疑問だ。
コンサドーレだってその気になれば新スタジアムを作るのも不可能ではないだろうし、大和ハウスだって純粋な宣伝目的だけでネーミングライツを取得したとも思えない(邪推かもしれないが…)。
とりあえず一つ間違いないのは、このままだと札幌ドームは負の遺産として永遠に残るということである。
何か打開策があるのか、それともゆっくりと朽ちていくのか。観察対象としてはこれ以上に興味深い施設はないのだが…。
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