いよいよ東京オリンピック開幕まで1カ月を切ってきました!
自国での開催とあって、日本選手もより一層気合が入っていることと思います。
そんな中、メダルが期待される競技の一つとしてバレーボールがあります。
1964年の東京オリンピックでは、日本女子バレーボールチームは東洋の魔女と恐れられ、見事金メダルを獲得しました。
以来、男女合わせて金メダル3個、銀メダル3個、銅メダル3個を獲得。日本のお家芸とも言える競技でした。
近年ではメダルになかなか手が届きませんでしたが、2012年のロンドンオリンピックでは28年ぶりに女子チームが銅メダルを獲得しました。
そんな復活が期待される日本バレーボールの中心を担うのが、Vリーグです。Vリーグの隆盛無くして日本バレーボールの復活なし!
ということで、今回はそんなVリーグにスポットを当ててみました。Bリーグに続け、Vリーグ!
1.Vリーグの仕組み
Vリーグは2018年にできた出来立てほやほやのバレーボールリーグであり、男子はV1~V3、女子はV1とV2から構成されています。
2020‐2021シーズンの男子V1は下記の10チーム。
・FC東京
・VC長野トライデンツ
・東レアローズ
・ジェイテクトSTINGS
・ウルフドッグス名古屋
・堺ブレイザーズ
・パナソニックパンサーズ
・サントリーサンバーズ
・JTサンダース広島
・大分三好ヴァイセアドラー
一方2020‐2021シーズンの女子V1は下記12チーム。
・日立リヴァーレ
・埼玉上尾メディックス
・NECレッドロケッツ
・KUROBEアクアフェアリーズ
・PFUブルーキャッツ
・トヨタ車体クインシーズ
・デンソーエアリービーズ
・東レアローズ
・JTマーヴェラス
・ヴィクトリーナ姫路
・岡山シーガルズ
・久光スプリングス
基本的にはBリーグと同じく土日に2試合同じ組み合わせ、同じ場所で試合を行い、男子は4回戦総当たり、女子は2回戦総当たりでまずレギュラーラウンドの順位を決定します。
続いてファイナルステージと呼ばれるプレーオフにて、 トーナメント方式で最終順位を決定します。
今年はオリンピックによる影響で駆け足気味のスケジュールとなりましたが、基本的なルールはこの通りです。
そしてファイナルステージの結果、男子はレギュラーラウンド勝率9割を誇ったサントリーサンバーズが、女子はレギュラーラウンド勝率なんと10割の東レアローズを破りJTマーヴェラスがそれぞれ優勝しました!おめでとうございます!
2.Bリーグに比べて物足りないVリーグ…
いよいよ日本バレーボール新時代の幕開け!
…となったはずのVリーグですが、同じように揉めていたバスケットボールがBリーグになって一気に盛り上がっていったのと比べると物足りなさは否めません。
そこで、Bリーグとの比較を行いながらVリーグの課題を考えていきたいと思います。
・プロ化が進まない!
バレーボールのプロリーグ化というのは実は1994年の時点で検討され始めていました。
バスケットボールも同じですが、Jリーグの成功を見てバレーボールもやれるんじゃないか、と考えたわけですね。
しかし結局のところ、2021年となった今でもプロリーグになることはできていません。
プロになると集客や財政をはじめあらゆる面で独り立ちする必要が生じ、チームの負担が大きくなるため反発は必至なのです。選手も給与面などで「安定」がなくなるので、反発が生じえます。
ただバスケットボールの場合、「このままだとオリンピックに出られない」という外圧がかかり、無理やりプロリーグ化させられたという歴史があります。
そのあたりの歴史は下記の記事にまとめています。
しかし幸か不幸かバレーボールがVリーグを立ち上げる際、反発を抑え込めるほどの外圧がなかったのです。結果としていまだにプロリーグ化が進んでいない、という現状があります。
Bリーグの成長を見ていると、プロリーグになって各チームが集客を頑張ることで、初めてリーグ全体がぐっとレベルアップするんだな、と強く感じます。
・より強い地域密着を!
上のチーム名を見ても分かると思いますが、一体どこを本拠地にしているチームなのか分かりにくい!
Bリーグが画期的だったのは、それまでチーム名を「トヨタ自動車」とか、「東芝」とか呼んでいたのを「アルバルク東京」や「川崎ブレイブサンダース」とガラッと変えたことにあります。
すなわち、愛称+地域名に統一したんですね。中継時の略称も基本的には地域名を表示することになっています。これによって、「トヨタのチーム」でなく「東京のチーム」と認識してもらえるようになります。
トヨタの関係者よりは東京の関係者の方がずっと多いに決まっていますよね。しかも東京に愛着を持っている人なら、「東京」を冠するチームは気になってしまうものです。
ちなみにこの愛称+チーム名のルールは、もともとJリーグから始まりBリーグに影響を与えています。立ち上げた人が同じ川渕キャプテンなので…。
余談はともかく、Vリーグはまずチーム名に手を付けるべきではないでしょうか。チームを企業名で呼んでしまうと、どこか他人事、自分には関係ない、と感じられ、距離感が出てしまいます。
プロ野球くらいまで認知度が高まれば別ですが、現状のVリーグでは厳しいと言わざるを得ません…。
チーム名をはじめとして、Vリーグの各チームはもっと「地域を代表するチーム」感を押し出していきたいところです。例えば高校野球がアマチュアなのに盛り上がる理由の一つは、「地域対抗戦」の側面があることを無視してはなりません。
そういう意味で豊田合成トレフェルサがウルフドッグス名古屋に改名したのは画期的なことです。ただ改名したのはこの1チームのみで、この辺りの足並みのそろわなさもVリーグの課題です…。
・ホームアリーナの徹底を!
地域密着と関連して、ホームアリーナの徹底も必要となってくるでしょう。
今シーズンは改善されてはいるようですが、それでもコスト削減のためか1会場で1日2試合全く別の試合が開催されていたりします。
何か特殊事情があれば別ですが、そうでなければやはりホーム&アウェーを徹底し、1会場では1日1試合を原則とすべきです。
自分の応援しているチームが前座試合みたいな扱いをされていたら、やっぱり悲しいし応援する気も湧いてこないですよね…。
Bリーグはこの辺りは徹底されており、1会場で2試合を行うことは天皇杯などを除きありません。もちろんホームアリーナの周りはホームチームのフラッグがはためいていてそれだけでもテンションが上がってきます。
・SNSやYouTubeを活用した積極的なPRを!
BリーグもPRが十分かと言えばまだまだ足りていないところもあるのですが、SNSやYouTubeの活用はうまくやっているところもあります。
その代表格が川崎ブレイブサンダースです。YouTubeチャンネルでは、「選手がどれぐらいの距離からシュートを決められるか」試してみたり、
【ガチの神回】プロバスケ選手はどれくらい後ろからシュートが決まるのか検証した結果....
「ゲーセンのバスケゲームでどれほどのスコアを出せるか」試してみたり、
プロバスケ選手がゲーセンにあるシュートゲームに本気で挑戦した結果...
動画の面白さもさることながらプロの技術が垣間見える、そんな内容になっています。
他にも宇都宮ブレックスや千葉ジェッツも選手の素が見えるような動画を作って、選手をより身近に感じてもらう取り組みをしています。
一方VリーグではそもそもYouTubeチャンネルを持っていなかったり、Twitterのフォロワー数もBリーグチームの半分以下というチームが多かったり、有効活用できているとはいいがたいですね…。
そんな中サントリーサンバーズはTwitterにトレーニング動画を上げたりして、6万人近くのフォロワーがいます。VリーグではうまくSNSを活用できている方なんじゃないかと思います。
今の時代、SNSやYouTubeの活用は必須と言えるレベルですので頑張ってほしいです(5年後くらいにはまた変わっているかもしれませんが…)。
3.Vリーグのエース紹介!
課題ばかりを上げていたら気が滅入ってしまいますので、オリンピックにも出場予定のVリーグエース選手を男女1名ずつご紹介しましょう。これを見ればオリンピックとVリーグがもっと面白くなる!かも。
・西田有志(ジェイテクトSTINGS)
西田選手は弱冠21歳という若さですが、すでに日本代表のエースと言える存在にまで成長しました。
186㎝とバレーボール選手としては決して長身な方でありませんが、スパイクやサーブ決定率がリーグでも上位で、並み居る外国選手を抑えて総得点でリーグ1位を記録しました。
なお、今後世界の選手と戦うことも見据えて会社とプロ選手契約を結んでいます。今後が本当に期待される、日本が世界に誇るエースとなりそうです。名前を覚えておいて損はありません。
・古賀紗理奈(NECレッドロケッツ)
石井優希(久光スプリングス)や黒後愛(東レアローズ)らと日本女子バレーボールのエースの座を争うのが古賀選手。
中学時代から全日本選手権で優秀選手に選ばれるなど注目され、「ポスト木村沙織」と言われ続けてきました。
しかしリオオリンピックでは最終メンバーから落選。その晩は木村沙織と共に悔し涙を流したと言います。
その悔しさをバネに、東京オリンピックでは成長した姿を見せられるでしょうか。名実ともに日本のエースへと羽ばたいてほしいものです。
4.まとめ
以上、Vリーグの課題、そしてエース選手を紹介しました。
まだまだ運営面での課題は多いものの、西田選手など今後世界の舞台で活躍するであろう選手もいて、レベルは決して低くありません。
なにより、バレーボールを実際に生で見てみるとその迫力に驚かされます。一度見に行けばハマること間違いなしです。
是非とも運営されている方々には、日本が世界に誇るバレーボールの魅力をお客さんに伝えることを念頭に考えていただきたいです。
Bリーグがつけてくれたアリーナスポーツの道筋を決して無駄にしてはいけません。
世界をつかめ!Vリーグ!
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