以前、このブログにてラグビートップリーグのご紹介をしました。
2002年に開幕したラグビートップリーグは、ラグビーワールドカップの栄光やコロナウイルスまん延による挫折などを経験しながら、2021年にパナソニックワイルドナイツの優勝という形で幕を閉じました。
それから時は過ぎ2022年1月7日、いよいよ次代の日本ラグビー界を背負うジャパンラグビーリーグワンが開幕します!
今回はそんなジャパンラグビーリーグワンについて、トップリーグと何が変わったのか、何が変わらなかったのかについて調べてみました。
野球、サッカー、バスケに並ぶ日本第4のスポーツリーグとなれるか!?
1.ジャパンラグビーリーグワンとは?
日本ラグビーの発展を目指して創設されたジャパンラグビートップリーグは2002年に開幕したものの、チーム数が増えたこともあってリーグ再編の話はたびたび持ち上がっていました。
そんな中、2019年におけるラグビーワールドカップ日本開催が大成功に終わったのを機に、リーグ再編の話が一気に発展することになりました。
それが今回紹介するジャパンラグビーリーグワンです。
ジャパンラグビーリーグワンはJリーグやBリーグが主体としてきた地域密着を掲げており、各チームホストエリアを設定することや、チーム名に地名を入れることが求められています。
またJリーグやBリーグと同じく3部制になっており、それぞれ上のディビジョンから12チーム、6チーム、6チームの計24チームとなっています。
栄えあるリーグワン初年度を戦う24チームを紹介します。
・ディビジョン1
リコーブラックラムズ東京
ホームエリア:東京都世田谷区 ホームスタジアム:駒沢オリンピック公園陸上競技場
東京サントリーサンゴリアス
ホームエリア:東京都府中市など ホームスタジアム:秩父宮ラグビー場
東芝ブレイブルーパス東京
ホームエリア:東京都府中市など ホームスタジアム:秩父宮ラグビー場
横浜キヤノンイーグルス
ホームエリア:神奈川県横浜市 ホームスタジアム:ニッパツ三ツ沢球技場
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ホームエリア:埼玉県全域 ホームスタジアム:熊谷ラグビー場
NECグリーンロケッツ東葛
ホームエリア:千葉県柏市など ホームスタジアム:柏の葉公園総合競技場
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安
ホームエリア:千葉県浦安市など ホームスタジアム:江東区夢の島陸上競技場
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
ホームエリア:千葉県船橋市など ホームスタジアム:江戸川区陸上競技場
静岡ブルーレヴズ
ホームエリア:静岡県全域 ホームスタジアム:ヤマハスタジアム
トヨタヴェルブリッツ
ホームエリア:愛知県豊田市など ホームスタジアム:豊田スタジアム
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪
ホームエリア:大阪府大阪市 ホームスタジアム:ヨドコウ桜スタジアム
コベルコ神戸スティーラーズ
ホームエリア:兵庫県神戸市 ホームスタジアム:ノエビアスタジアム神戸
・ディビジョン2
釜石シーウェイブスRFC
ホームエリア:岩手県釜石市 ホームスタジアム:釜石鵜住居復興スタジアム
日野レッドドルフィンズ
ホームエリア:東京都日野市など ホームスタジアム:秩父宮ラグビー場
三菱重工相模原ダイナボアーズ
ホームエリア:神奈川県相模原市 ホームスタジアム:相模原ギオンスタジアム
三重ホンダヒート
ホームエリア:三重県全域 ホームスタジアム:三重交通Gスポーツの森鈴鹿サッカー・ラグビー場
花園近鉄ライナーズ
ホームエリア:大阪府東大阪市 ホームスタジアム:東大阪市花園ラグビー場
マツダスカイアクティブズ広島
ホームエリア:広島県全域 ホームスタジアム:バルコムBMWスタジアム(広島県総合グランドメインスタジアム)
ディビジョン3
クリタウォーターガッシュ昭島
ホームエリア:東京都昭島市 ホームスタジアム:栗田工業総合グラウンド
清水建設江東ブルーシャークス
ホームエリア:東京都江東区 ホームスタジアム:江東区夢の島陸上競技場
豊田自動織機シャトルズ愛知
ホームエリア:愛知県全域 ホームスタジアム:パロマ瑞穂ラグビー場
中国電力レッドレグリオンズ
ホームエリア:広島県全域 ホームスタジアム:バルコムBMWラグビースタジアム(広島県総合グランドラグビー場)
九州電力キューデンヴォルテクス
ホームエリア:福岡県福岡市 ホームスタジアム:ベスト電器スタジアム
宗像サニックスブルース
ホームエリア:福岡県宗像市 ホームスタジアム:グローバルアリーナ
ディビジョン1はプロ野球のセリーグ・パリーグのように二つのリーグに分かれて試合を行い、上位に入ると海外リーグのチームとの交流戦に参加することができます。
もちろんディビジョンの入れ替え戦も行われますが、各ディビジョンで3~4チームが入れ替え戦に回るためJリーグやBリーグに比べると非常に活発に入れ替えがされるものと思われます。
2.トップリーグと何が変わるのか、何が変わらないのか
続いて、これまでのトップリーグと変わるもの、変わらないものを見ていくことにします。
リーグワンの目指すべきところが見えてくる…かも?
・変わるもの
1.チーム名の変更
これについては上に述べたとおりです。
基本的にはトップリーグで使用していた名称に地名を加えているのですが、一つだけ「静岡ブルーレヴズ」というチーム名はピンとこないのではないでしょうか?
これはトップリーグまで「ヤマハ発動機ジュビロ」として活動していたチームなのですね。リーグワンとなるのをきっかけに大胆に改革を行ったというわけです。
JリーグやBリーグでは開幕と同時にすべてのチームが地名+愛称という形になりましたが、リーグワンにおいては静岡ブルーレブズのみがこの慣習にのっとってチーム名を変更しました。
ホームページを見ても世界と渡り合えるチームを作ろうという高い意気込みを感じますし、今回のリーグワンにおいて変革を起こすため最も覚悟を決めたチームと言えるでしょう。
2.ホームエリアの設定
こちらも上で述べた通り、各チームホームエリアを設定することになっています。
ただどうしても企業の工場というのは一カ所に集まりやすいため、ホームエリアもだいぶかぶっています…。
例えば東京都府中市というピンポイントで2チームがかぶっていますし、24チーム中7チームが東京をホームとしています。
その一方で東北以北には釜石シーウェイブスしかいなかったり、中国四国合わせても広島に2チームがあるだけだったり、かなり偏っているのが現状です。
企業スポーツなのでばらつかせようと思ってもなかなか難しいのでしょうが…。
・変わらないもの
1.完全なプロ化は断念
リーグの運営についてはプロ化となる予定ですが、JリーグやBリーグのようにいきなり選手全員をプロ化する、というところは難しかったようです。そのため多くの選手は引き続き社員として会社に所属しています。
ラグビーというスポーツは選手数が多いわりに試合数が少なく、現状ではどうしても企業のサポートは避けられないのですね。
そのためこれまで日本ラグビーを動かしてきた企業がプロ化にNOと言ってしまうと、なかなかそれを押し切ることはむずかしいのです。
2.ホームスタジアムはこれから?
ホームスタジアムについても15000人以上収容できるスタジアムを確保するのが条件としていますが、現状ではそれを自前のスタジアムでクリアしているチームはほとんどない、というのが現状です。
というのもこれまでのトップリーグでは基本的に全国のスタジアムを行脚して試合を行っていたので、自前の大きなスタジアムというのはほとんど持っていないのですね。
同じスタジアムで何チームも被っていたり、Jリーグで使用されているスタジアムと被っているなど完全に占有できているスタジアムはほとんどありません。
ただ、逆にそれだけの大きさのスタジアムを確保できるほどの人気となれば、これは一大リーグとして成長していく可能性が十分にあると思います。
やっぱりホームスタジアムがあって初めてチームに愛着がわくという面も大きいですからね。
3.まとめ
以上、トップリーグからリーグワンへと変化する日本ラグビーリーグについてご紹介しました。
正直なことを言えば、バレーボールのVリーグのように中途半端な変革ではないか?という懸念があるのは事実です。
現状では外から見ていてどのような変化があるのか、という点が見えにくくもあります。
ただ一つ大きく異なるとすれば、「1万5000人以上収容できるスタジアムの確保」という条件でしょう。
それだけの大きなスタジアムを確保するのも非常に大変ですし、実際にスタジアムを確保するとなったら多くのお客さんを入れなければ赤字になるので集客にも必死になるでしょう。
もちろん集客を頑張れば収益を得ることができます。ということは、本気になればラグビー=儲かるという図式が完成するわけです。
儲かるとなったらチームはより本気で集客に取り組む、という好循環が生まれるはずです。
とにもかくにも、日本ラグビーの命運はこのリーグワンにかかっているわけです。
たとえチーム名に企業が入っていようとも、プロ化はできなくとも、それをものともしない勢いで日本ラグビー全体が活発に盛り上がってくれることを祈念しております。
いずれはJリーグやBリーグとはまた違った新しい形での「儲かるリーグ」を作り出し、ほかの競技にも波及していってほしいですね。
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