注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
熊谷ラグビー場は、1991年開場、埼玉県熊谷市にあるラグビー場。
日本においてはラグビー専用スタジアムというのは非常に数が少なく、特に規模が大きいものとなると片手で数えられる程度しかない。
東京にある秩父宮ラグビー場や、大阪にある花園ラグビー場はその代表例だ。
この熊谷ラグビー場もその一つだが、その中でも日本を代表するラグビー場としての地位を確固たるものにしたイベントがある。
2019ラグビーワールドカップである。
この大会では2014年に15都市が立候補し、うち12都市が開催地として選抜されたが、春の高校選抜ラグビーの開催実績などが評価され熊谷も選ばれたのだ。
これに合わせ、熊谷市はラグビー場の大規模な改修を行った。具体的には芝生席や立見席を撤去し全面座席にしたこと、ナイター照明塔や大型ビジョンを設置したこと、そして屋根の拡張を行ったことなどが挙げられる。
これを見ると、よくもまあここまで作り変えられたな、と思う。実質新スタジアムと言っていいだろう。
実際のワールドカップ本番では駅からスタジアムまであまりに遠く混雑も心配されたが、道路規制、路線バスの運休、バスロータリーの確保など使えるものは何でも使い、大きな問題もなく試合を行うことができた。
開催された3試合はすべて20~30点差がつく大味な試合となってしまったが、試合をやっただけでも箔がつくから良しとしよう。
今回はそんな日本ラグビー第三の聖地となった熊谷で行われた、トップリーグ・パナソニックワイルドナイツvsヤマハ発動機ジュビロの試合の様子をお届けする。
この試合はワールドカップでも活躍した五郎丸歩や福岡堅樹の引退前レギュラーシーズン最終試合となった。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆
最寄はJR、秩父鉄道の熊谷駅。新幹線も止まる、埼玉県北部一のターミナル駅だ。
熊谷はかつて日本一暑い街として知られていたが、現在では浜松と並んで1位タイとなっている。いや、そんなことより地球温暖化を防止しないと…。
最寄から★★☆☆☆
熊谷駅からはバスで15分ほど。じゃんじゃんバスが出るのでそんなに不便はないが、バスの輸送能力でこのスタジアムの収容人数をまかなうのは難しい。
ということで、熊谷駅とスタジアムを結ぶ「ラグビーロード」を歩いていくことも推奨されている。
平坦なので歩きやすいが、小一時間はかかるのでとても気軽に歩ける距離ではない。真夏であればなおさらだ。
そんな歩行者の気持ちを癒してくれるのが、熊谷市公式ラグビーキャラクターの「スク」と「マム」だ。黒鼻がスクで白鼻がマム。
かわいい。
Bかな。
そうだね。
言わない。多分ね。
すごーい。
ばいばーい。
ってな感じである。
その他にも電灯がラグビーボールの形状をしていたり、細かい部分を探しているとあっという間に歩ける。
とはいえ、行きか帰りのどちらかはバスにしといた方が精神衛生上よいだろう。
【観戦環境】★★★★★
改修したてなだけあって、非常に見やすく快適なスタジアムだ。こちらはメインスタンドからの景色。
サイドスタンドからの景色。トライめがけて突進してくる選手は大迫力だ。
メインスタンドに向かう階段。オシャレだなあ。
サイドスタンドへもこの階段を上っていく。
コンコース内。トイレも含めて非常に新しくてキレイ。
バックスタンドだけはこのように建物が独立しているのでそれだけは注意。バックスタンドでしか買えないグルメもあったりするので、泣く泣く諦めた。
ビジョンは北と南に1枚ずつあるので、どの席に座っても見られるのが素晴らしい。
こういうスタジアムは意外とない。
また最前列の席でもカップホルダー付きだ。
【雰囲気】★★★★★
パナソニックワイルドナイツの実質的なホームゲームということもあり、トライが決まると青いワイルドナイツの旗がスタジアム全体でヒラヒラ踊る。
かといってヤマハ発動機ジュビロのトライが決まってもスタジアム全体から拍手が巻き起こる。いかにもラグビーらしい素晴らしい光景だ。
ヤジを飛ばしたりするような目立ったマナーの悪いお客さんもいなかったし、極めて気持ちいい観戦ができる。
そして陸上競技場と違い、選手までの距離が近いのが魅力的。餅は餅屋で、ラグビーはラグビー場で。
【グルメ】★★★★★
グルメはバックスタンド前、メインスタンド入場口前にそれぞれ集まっている。
屋台をざっと見た限りでは、そのほとんどが地元埼玉、あるいはラグビー関連のグルメを取り扱っている。
これは本当に素晴らしいことで、どのお店に行ってもとりあえず観客は「熊谷ラグビー場だけのグルメ」を食べられた、という感動を得ることができるのである。
その代わり、屋台を出すことに慣れていないお店が多く、提供までに非常に時間がかかるのが難点。
またこの時点では再入場不可だったので、うっかり入場してしまうと何も食べられない、という悲劇になる危険もある。
そういったことを考えると、試合開始2時間前には到着してグルメを仕入れておくのがいいだろう。
こちらは深谷ネギを使ったタコ焼き。熊谷のお隣深谷市はネギの出荷量が全国一位であるネギの名産地。
シャキシャキでおいしい。
こちらは太田焼きそば。太麺が特徴的だが、わりかしオーソドックスな焼きそばだ。
太田市はパナソニックワイルドナイツがかつて本拠地としていた街、という縁がある。
ちなみにすぐ売り切れるので注意。
帰りの電車で撮影。
左から日本代表の笑わない男・稲垣選手の出身地新潟にちなんで無料で配られた新潟米、ラグビーボールの形の人形焼き、熊谷名物らしいニンニクから揚げ。
どれもここでしか楽しめないものばかり。
また熊谷駅にある熊たまやといううどん屋さんも大変美味しいのでぜひ。
【街との一体感】★★★★★
熊谷駅はラグビー一色に染まっている。
ラグビーワールドカップによって熊谷にラグビーという名物が誕生し、街の活性化につながっているとすれば、スポーツによる活性化の成功例と言っていいだろう。
日本一暑いだけじゃ人は来ないし。
またラグビーと並んで、パナソニックワイルドナイツの存在感も大きなものとなっている。
熊谷ラグビー場の隣には2021年夏、パナソニックワイルドナイツの練習拠点などの各施設やレストラン、ホテルなどを含んだ複合施設ができ、本格的に熊谷に拠点を移している。
更に熊谷駅にはこういった大きなポスターがあったり、選手のパネルがあったり、はたまたお土産屋の店員さんがワイルドナイツのTシャツを着ていたり、熊谷駅が一体となってワイルドナイツに染まっている様子には驚かされた。
熊谷とラグビー、そしてパナソニックワイルドナイツの連携は今後より一層強化されていくことだろう。
パナソニックはガンバ大阪でのノウハウもあるだろうから、そのあたりは全く心配いらない。
またスタジアム横には春の選抜ラグビーを記念したプレートも置かれている。
高校ラグビーの聖地としても今後盛り上がってほしいところだ。
【満足度】★★★★★
元々熊谷はラグビーの盛んな地ではあったが、ラグビーワールドカップ、そしてパナソニックワイルドナイツが本格的に本拠地を熊谷に移したことで、よりその盛り上がりに拍車がかかっているようだ。
熊谷がラグビーによる街おこしの成功例を見せてくれれば、きっと後に続けと各地に同じような街、そしてスタジアムができていくはず。
ラグビー新リーグを引っ張る存在として、熊谷には是非とも日本ラグビーを盛り上げてほしい、そう思うのである。
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