日本においては、野球とサッカーが二大スポーツとして長らく人気を集めています。
そのうちの一つサッカーは、Jリーグの開幕をきっかけにこの30年で一気にその地位を確保しました。
しかしサッカーは大きなピッチが必要なため、いざやろうとするとかなり敷居が高いんですよね。
そこで「やるスポーツ」として日本で人気を集めているのがフットサルです。街中にもサッカーのピッチの代わりにフットサルのコートがあって、学生や社会人などが気軽に行うスポーツとして定着しています。
今回はそんなフットサルの日本最高峰リーグ、Fリーグを紹介します。
1.フットサルとサッカーの違いとは?
まずは、そもそもフットサルとはなんぞや?というところから始めていきましょう。
フットサルの起源には二つの説があって、一つは南米で始まったとする説、もう一つはイギリスではじまったとする説です。
どちらが先かというよりは、サッカーをもっと気軽にできるようにしよう、という発想でミニサッカーが世界各地で考えられたというのが本当のところじゃないでしょうか。
それにしてもヨーロッパと南米でおそらくほぼ同じタイミングでミニサッカーが考えられたというのは面白い現象ですね。
こうした世界各地のミニサッカーをFIFAがルールを統一し1994年に出来上がったのが現在のフットサルと言われる競技です。
現在ではサッカーと同じようにワールドカップも開かれていて、特にブラジルではロナウジーニョやロビーニョがフットサルからサッカー人生をスタートしているなどかなり盛んにおこなわれているようです。
そんなフットサルについて、サッカーとの違いという観点からルールを大まかに見ていきましょう。
1.コートやボールが小さい
これは見れば明らかだと思いますが、サッカーと比べてコートはだいたい1/9ほどのサイズ、ボールも一回り小さくなっています。
これのおかげでビルの屋上にフットサルコートがあったりしますね。サッカーをやろうと思ったら、少なくとも学校の校庭ほどの大きさが必要なのでそんなに手軽にはできません。
2.選手の交代が自由にできる
選手の数はサッカーは11人、フットサルは5人ですが、サッカーが基本3人までしか交代できないのに対しフットサルは何度でも自由に交代できます。
しかも審判に了承を得る必要すらないので、ちょっと疲れたら勝手に交代しても構いません。気楽でいいですよね。
3.プレー再開はキックイン
サッカーではラインを割るとスローインで試合を再開しますが、フットサルではキックでボールを入れます。
ゴールラインから出た場合はサッカーではゴールキックですが、フットサルではキーパーが味方にボールを投げて試合を再開します。まるっきり逆で面白いですよね。
4.試合時間が違う
サッカーでは前後半45分の90分ですが、フットサルでは前後半20分の40分です。
短いから楽そう、と思うかもしれませんが、フットサルではプレーが止まっている時間は時計も止まるため、実質的な試合時間はサッカーとそれほど変わりません。
しかもフットサルはコートが狭いゆえずっと走り回っていなければいけないので、試合に出続けているとなかなかにしんどいスポーツです^^;
5.ファールやオフサイドの違い
サッカーもフットサルもファールについては同じで、イエローカード2枚かレッドカード1枚で退場となります。
ただし、フットサルでは2分間しのぐか失点することで一人を補充することができます。サッカーのように一人少ない状態でずっと試合をしていたらさすがに有利不利がはっきりしてしまいますからね。
またフットサルでは5つファールをしてしまうとそれ以上はPKとなります。ただしゴールが小さいので、サッカーに比べるとPKの決定率は低めです。
そしてフットサルでは、サッカーと違ってオフサイドのルールがありません。そのため、キーパーからのパスが一気にチャンスボールとなることも少なくありません。
そのおかげでフットサルでは非常にスリリングな展開を楽しむことができます。
6.試合終盤にはキーパーがいなくなる?
サッカーでも試合最終盤になるとキーパーが攻め込むパワープレーを行いますが、選手の交代が自由なフットサルではキーパーを攻撃専門の選手に変えるパワープレーが見られます。
そのためキーパーがいないまま試合を行うこともしばしばあります。もちろん超ハイリスクハイリターンな戦術なので、一気に試合が動くこともしばしば…。
7.ポジション名が違う!
サッカーではゴールキーパー、ディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードと大きく4つのポジションがありますが、フットサルではポルトガル語のゴレイロ、フィクソ、アラ、ピヴォと言います。覚えにくい^^;
とはいえフットサルでは全員が攻撃、守備に参加しないと試合が成り立たないので、素人はあんまり気にしなくてもいいかもしれません。
といった形でサッカーとは違うところも多いのがフットサルというスポーツです。とはいえ基本的なところは同じなので、サッカー選手からフットサル選手に、あるいはその逆といった転身がよく見られます。
2.Fリーグとは?
フットサルについて分かったところで、いよいよ本題のFリーグについてご紹介します。
Fリーグは2007年に創立された日本最高峰のフットサルリーグで、F1に12クラブ、F2に6クラブの計18クラブが活動しています。
・エスポラーダ北海道
・バルドラール浦安フットボールサラ
・SHINAGAWA CITY FUTSAL CLUB
・フウガドールすみだ
・東京府中アスレティックフットボールクラブ
・ASVペスカドーラ町田
・Y.S.C.C.横浜
・湘南ベルマーレフットサルクラブ
・ボアルース長野
・ヴィンセドール白山
・アグレミーナ浜松
・名古屋オーシャンズ
・シュライカー大阪
・デウソン神戸
・広島エフ・ドゥ
・ポルセイド浜田
・ボルクバレット北九州
・バサジィ大分
Jリーグをモデルにしているので、クラブ名からは企業名を排し愛称+地域名で統一されています。
ただ、例えば女子プロサッカーリーグのWEリーグではJリーグと同じ名前のクラブが多いのに対し、FリーグではY.S.C.C.横浜と湘南ベルマーレしかありません。
せっかくなら同じ名前にしちゃった方が認知度も高まるし応援するきっかけになるからいいんじゃないかなとも思うのですが、今さら変えることもなかなか難しいでしょうね。FリーグはFリーグとして独自にやっていくというのもいいでしょう。
2007年からこれまで14シーズンが行われてきましたが、そのうちの13シーズンは名古屋の優勝と事実上の一強状態です^^;
もし今後エンタメとしてFリーグを展開していくなら、戦力の均衡は大事な要素になってくるかもしれません…。
なお日本のフットサル自体はアジアでもトップクラスにレベルが高く、ここ最近はワールドカップでベスト16に残るなど実績も上げています。
3.目指せ完全プロリーグ!
上で名古屋の一強状態と書きましたが、Fリーグで完全プロ化しているのはその名古屋オーシャンズだけで、実質的にはセミプロリーグです。
また開幕当初は2000人を超えていた観客動員も、コロナウイルスの感染拡大前の2019年ですら1000人を割るほどにまで落ち込んでしまいました。
更には、F2で圧倒的な成績を収めていたトルエーラ柏(現SHINAGAWA CITY FUTSAL CLUB)が、何の説明もなくライセンスを交付されずF1に昇格できないなど、運営上の問題も目立つようになってしまいました。
せっかくクラブ名をJリーグと同じように企業名を排し愛称+地域名としている割には、全体的に中途半端だなあ、という感想はどうしてもぬぐえません。
日本中に多くの競技者がいるのにいまいちリーグが盛り上がらないという構図は、どうしてもかつてのバスケットボールと被る気がしてなりません。
フットサルには見るスポーツとしても魅力をとても感じるので、このままリーグが衰退していくのは非常に寂しいことです。
まずは、完全プロ化して一気に人気を集めたバスケットボールのBリーグのように、完全プロ化へ移行する必要があるのではないでしょうか。
どうしてもセミプロの状態では、集客に対してどこかで甘えが出てきてしまうように思うのです。バスケのように退路を断つ改革がどこかで必要になってくるのは間違いありません。
更には、日本には強力な味方となるであろうJリーグがあります。三浦知良選手や松井大輔選手など、サッカーからフットサルに参入する選手も少なくありません。
ということは、Jリーグのサポーターを引き入れることも十分に可能だということです。幸いなことに、アリーナで行うフットサルはJリーグのない冬のシーズンでも試合を行っています。
またBリーグが頑張ってくれたおかげで、全国各地に大きなアリーナが点在するようになりました。これもまたFリーグにとっては使用できるアリーナが増えてプラスに働くのではないでしょうか。
このようにFリーグにはまだまだ巻き返しを図るための武器が日本中に転がっています。
AbemaTVでの中継を実施するなど運営陣もやる気はあるはずなので、どうにか見るスポーツとしてのフットサルをどんどん盛り上げていってほしいですね。
4.まとめ
以上、日本のフットサルリーグであるFリーグをご紹介しました。
実際見に行ってみると、フットサル自体非常に面白いスポーツで見ごたえも十分です。サッカーファンも十分にハマることができると思います。
そんなフットサルのFリーグなので、ぜひとももっともっと盛り上がってほしいですね。競技人口は多いのにFリーグが盛り上がらないなんて、こんなもったいないことはありません!
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