以前、エンタメがどんどんより短く、より分かりやすくなっている、というような記事を書きました。
その動きはますます加速し、コンテンツは文字通り高速で消費される時代になってきました。
スポーツにおいても例外ではなく、2時間以上拘束されるスポーツ観戦は趣味として敬遠される傾向にあるようです。
スポーツ観戦においては楽しめるかどうかわからない(=応援しているチームが勝てるか分からない)という意味でも忌避されることがあるようですが、それはまた別の機会にでも。
そんな現代の傾向を考えながらスポーツを見ていて、ぼんやり考えていました。
そして出てきた結論は、「結果を見るよりその過程を追う方がよっぽど楽しいのになあ」ということでした。
例えば野球で4‐3というスコアがあったとして、なんとなくいい試合だなという感想を持ちますよね。
でもその中身は、サヨナラ逆転満塁ホームランかもしれませんし、エラーや押し出しフォアボールでダラダラ点が入ったのかもしれません。
もっと言えば、一人ひとり、一球一球に細かい駆け引きがあるのです。スコアだけではその楽しさは全く分かりません。
サッカーなどはより顕著です。仮に1‐0というスコアを見たところで何もわかりません。
その中に無限の駆け引きがあって、たまたま1‐0というスコアになっているだけです。
このようにスポーツでは結果としてスコアが出てきますが、それだけではその試合の楽しみの0.1%も理解できません。
その過程をつぶさに追うことでようやくその面白さを理解することができるのです。
そしてこれはスポーツに限ったことではありません。
映画でも名場面だけを見たってなにもわからず、なぜそういう場面に至るかを理解しないと十分に楽しめないはずなのです。
真の楽しみは過程にこそあるのです。
そしてもう一つ、大事な要素があります。それはライブ感です。
先ほどの野球の例でいえば、ランナーがたまった時のドキドキ感、観客のどよめきなどは、生で見ないと楽しめるわけがないのです。
私はつい最近まで音楽はCDで聴いた方がいい、演劇はドラマや映画を見た方がいいと思っていましたが、ライブや舞台ならではの楽しみもあることにやっと気づきました。
ずいぶん時間かかったなあ…。私はどうやら普通の人と感覚が違うようです。
なんかみんな生き急ぎすぎてる感じがするんですよねえ。そんなに急いでどこへ行く。
このファストエンタメブームが過ぎたら、じっくり楽しむロングエンタメブームが来るんじゃないかと思ってるんですが、考えすぎですかねえ。