2024年、箱根駅伝は第100回を迎えます。
日本の長距離選手を育てることを目的に始まったこの大会(諸説あり)は、今や多くのオリンピック選手を輩出する日本一の大会となりました。
今回はそんな箱根駅伝100年の歴史の中で生まれた区間記録を、今一度おさらいしてみることにします。
- 1区21.3km 吉居大和(中央大学2年) 1時間00分40秒(第98回)
- 2区23.1km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学2年) 1時間05分49秒(第97回)
- 3区21.4km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学1年) 59分25秒(第96回)
- 4区20.9km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学4年) 1時間00分00秒(第99回)
- 5区20.8km 山本唯翔(城西大学3年) 1時間10分04秒(第99回)
- 6区20.8km 館澤亨次(東海大学4年) 57分17秒(第96回)
- 7区21.3km 阿部弘輝(明治大学4年) 1時間01分40秒(第96回)
- 8区21.4km 小松陽平(東海大学3年) 1時間03分49秒(第95回)
- 9区23.1km 中村唯翔(青山学院大学3年) 1時間07分15秒(第98回)
- 10区23.0km 中倉啓敦(青山学院大学3年) 1時間07分50秒(第98回)
- まとめ
1区21.3km 吉居大和(中央大学2年) 1時間00分40秒(第98回)
東海大学の佐藤悠基が83回に打ち立てた「空前絶後の大記録」を破ったのが、中央大学の吉居大和。
集団走になりがちな1区で早々に抜け出し区間記録を打ち立てたその走りは衝撃的でした。
3年生になると大学三大駅伝のすべてで区間賞をかっさらい、一躍大学駅伝界の主役に躍り出ました。
第100回でどんな走りを見せてくれるのか、注目のランナーです。
2区23.1km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学2年) 1時間05分49秒(第97回)
「花の2区」の区間記録は、東京国際大学のイエゴン・ヴィンセント。
長らく山梨学院大学のメクボ・モグスが記録を保持していましたが、96回に東洋大学の相澤晃が初の1時間5分台を出し塗り替えました。
ところが、ヴィンセントは翌年2人目となる1時間5分台を出しすぐさま記録を塗り替えました。
第100回、3人目の1時間5分台ランナーが出現するか注目です。
3区21.4km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学1年) 59分25秒(第96回)
なんと3区記録保持者もイエゴン・ヴィンセント。2区間も区間記録を出すなんて、異次元のランナーです。
2位が同じく東京国際大学の丹所健が出した1時間0分55秒ということを考えると、この記録は異常とも言えます。
とんでもないアンタッチャブルレコードですね。
4区20.9km イエゴン・ヴィンセント(東京国際大学4年) 1時間00分00秒(第99回)
2区間といったな?あれは嘘だ。
なんと4区記録保持者もイエゴン・ヴィンセント。
記録は1時間ぴったりととても覚えやすい記録です。
2位の青山学院大学吉田祐也の記録が1時間00分30秒なので、こちらも頭一つ抜けた記録と言えるでしょう。
なおヴィンセントは現在Hondaに入社し、競技を続けていくとのことです。
オリンピックに出場して、メダルをとったら…と夢が広がる選手です。
5区20.8km 山本唯翔(城西大学3年) 1時間10分04秒(第99回)
「山登りの5区」の区間記録は、城西大学の山本唯翔。
ただし5区は頻繁に区間変更が行われているので、いくつもの区間記録が残っている区間でもあります。
なお、現在より100メートル長い時代に打ち立てられた区間記録は、順天堂大学の今井正人による1時間09分12秒。
え、なんで今より速いの…。
そしてそれを上回ったのが東洋大学の柏原竜二、さらにそれを上回るペースで走ったのが青山学院大学の神野大地。
まさしくこの3人は「山の神」として強烈なインパクトを残しました。第100回では新たな山の神が誕生するでしょうか…。
6区20.8km 館澤亨次(東海大学4年) 57分17秒(第96回)
「山下りの6区」の区間記録は、東洋大学の館澤亨次。
特殊性の高い6区においては、地味ながらかなりのアンタッチャブルレコードになっています。
57分台で走り切ったのは館澤を含む4人のみで、ここ2大会はこの記録に触れることすらできていません。
山登り以上に山下りの方が記録の更新が難しいでしょうか…。
7区21.3km 阿部弘輝(明治大学4年) 1時間01分40秒(第96回)
7区において唯一の1時間1分台を記録したのが明治大学の阿部弘輝。
他の区間と比べても重要性が低いことから、割と古い記録もトップ10に残っています。
この記録を更新するためには走者のスピードもさることながら、チームの選手層もないとなかなか難しそうです。
実際、この年の明治大学は総合6位に入るくらいの強さがありました。
8区21.4km 小松陽平(東海大学3年) 1時間03分49秒(第95回)
73回に山梨学院大学1年生の古田哲弘が打ち立てた1時間04分05秒という「隠れたアンタッチャブルレコード」を塗り替えたのは、東海大学の小松陽平でした。
古田の記録は高速化が進んだ最近まで22年間も残っていて、「もしかして永遠に破られないのではないか」とも思われていました。
しかし95回、8区で初めての1時間3分台の記録が生まれ、現在までにもう一人1時間3分台の記録が残っています。
それでも古田の記録は今もなお3番目となっています。
ルーキーが打ち立てた不滅の大記録は、今もなお健在です。
9区23.1km 中村唯翔(青山学院大学3年) 1時間07分15秒(第98回)
9区で1時間7分台をたたき出したのは2人で、いずれも青山学院大学の選手です。
復路にこれだけの力がある選手が置けるところに、青山学院大学の強さが垣間見えますね。
ちなみに5区の区間記録をもつ山本選手も下の名前が唯翔です。なんという偶然…。
10区23.0km 中倉啓敦(青山学院大学3年) 1時間07分50秒(第98回)
10区の区間記録もやっぱり青山学院大学の中倉啓敦。
こういうところに青山学院大学黄金期の記録がしっかり残っていますね。
第100回では駒澤大学が圧倒的な優勝候補になっていますし負けず劣らずの選手層がありますから、記録の更新も見えてくるかもしれません。
まとめ
以上、箱根駅伝区間記録をおさらいしてみました。
最後に、総合記録も見てみましょう。
往路記録:5時間21分16秒 青山学院大学 第96回(2020年)
復路記録:5時間21分36秒 青山学院大学 第98回(2022年)
総合記録…10時間43分42秒:青山学院大学 第98回(2022年)
ううむ、やはり青学強し…。
今大会では駒澤大学がこの記録にいかに迫れるか、というのも見どころの一つになりそうです。
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