球界のお正月、それがプロ野球春季キャンプ!
1月1日のお正月はもちろん、野球ファンにとっては2月1日の春季キャンプ開幕もまた球春到来を告げる風物詩となっています。
そこで今回はプロ野球春季キャンプについて解説します。
1.春季キャンプの歴史
キャンプのはじまりは、読売ジャイアンツの前身となる全日本チームが1934年大リーグ選抜との対戦に備えて千葉県習志野市で合同練習を行ったのが最初と言われています。
もっとも練習とキャンプの違いは区別できないので、これをキャンプのはじまりとしていいのか難しいところですが…。
春季キャンプは、読売ジャイアンツが1946年に愛媛県松山市で練習を行ったのが最初です。
こちらはペナントレースに向けた練習なので、春季キャンプのはじまりと断定してよいでしょう。
以降毎年2月1日はチーム練習の解禁日となり、同時に春季キャンプを開幕するのが恒例行事となりました。
メジャーリーグとの大きな違いとしては、メジャーリーグでは自主トレーニングで体を仕上げたうえで2月下旬ごろからチームで実践的な練習を行うのに対し、日本プロ野球では基礎体力作りからチームで行うことです。
この文化の違いに戸惑う元メジャーリーガーも多く、ここでつまずいてしまう場合もあるようです。
また日本では秋季キャンプと呼ばれるシーズン後の練習も行われており、特に若手選手はここで来シーズンに備えた練習を行います。
こちらは1979年のシーズン後、Bクラスに終わった読売ジャイアンツ長嶋茂雄監督が「地獄の伊東キャンプ」として始めたのがきっかけだと言われています。
このキャンプは文字通り選手がぶっ倒れて動けなくなるまで練習を行ったことで、今なお伝説となっています。
ただ時代の変化もあって、特に秋季キャンプでここまで厳しい練習をしていることは現在ほぼありません。
根性論もさすがにそろそろ終わりを迎えているでしょうか…(アマチュアはまだありそうですが)。
また春季キャンプの前には、選手が集まって合同自主トレを行います。
誰と集まるかは完全に自由なので、先輩後輩、新人、同郷、時には球団を超えてつながるなど多様な集まり方をします。
ファンにとってはどのメンバーでトレーニングするかをチェックも楽しみの一つですね。
2.12球団の春季キャンプ
続いて、現在の12球団がどこで春季キャンプを行っているか見てみましょう。
(二つあるものは前半、後半の順です)
セリーグ
読売ジャイアンツ:宮崎県宮崎市、沖縄県那覇市
東京ヤクルトスワローズ:沖縄県浦添市
横浜DeNAベイスターズ:沖縄県宜野湾市
中日ドラゴンズ:沖縄県北谷町
阪神タイガース:沖縄県宜野座村
広島東洋カープ:宮崎県日南市、沖縄県沖縄市
パリーグ
北海道日本ハムファイターズ:沖縄県名護市
東北楽天ゴールデンイーグルス:沖縄県金武町
埼玉西武ライオンズ:宮崎県日南市
千葉ロッテマリーンズ:沖縄県石垣市、沖縄県糸満市
オリックスバファローズ:宮崎県宮崎市
福岡ソフトバンクホークス:宮崎県宮崎市
以上のように、現在のキャンプ地は沖縄と宮崎に集約されています。
これはもちろん、冬の寒い時期でも温暖な環境で練習できること、そして宮崎は晴天日が多いことが理由です。
また沖縄に関しては、1979年に日ハムが名護市でキャンプを行ったのがそのはじまりです。
これはアメリカ軍基地受け入れの見返りとして沖縄県北部の自治体に国費が流入し、球場建設ラッシュが起こったのがきっかけ。
実はプロ野球春季キャンプと米軍基地はこんな関わり方をしていたんですね。バタフライエフェクトというやつです。
またロッテは石垣島という沖縄本島から離れた場所でキャンプを行っています。
もともとロッテは鹿児島でキャンプを行っていましたが、施設の老朽化もあり快適にキャンプを行える場所を探していました。
そこで大きな役割を果たしたのが、石垣市出身で2006年高校ドラフト1位に指名された大嶺裕太の存在でした。
大嶺は相思相愛のホークスに指名されると見込まれていましたが、映像を見て気に入ったロッテのバレンタイン監督が直前に指名を決定。
くじ引きではバレンタイン監督の方が当たりくじを引いてしまいました。
突然の指名に戸惑う大嶺は、しばらくロッテ入団を渋っていました。
そこでバレンタイン監督自ら石垣島に赴き熱烈なアピールを行いました。
その一環で、ロッテは石垣島でキャンプを行うことを決めてしまったのです。
一方の石垣市もキャンプ誘致に乗り気だったため、石垣島でのキャンプが正式に決定しました。
結果的にこれをきっかけとして大嶺はロッテ入団を決めたといいます。
ただし石垣島では他球団と試合を行うのも容易ではないため、現在は後半に糸満市へ場所を移してキャンプを行っています。
巨人や広島も同様ですが、わざわざ場所を移してキャンプを2ヶ所でやるのにはそれなりの理由があるということですね。
3.春季キャンプがもたらす経済効果
そんな春季キャンプですが、自治体にとってはただただ選手が来てくれてうれしい、というだけではありません。
ちゃんと経済効果ももたらすからこそ、自治体も必死になって誘致を行うのです。
例えば沖縄県内においては、2019年の経済効果は140億円超え。
のべ観客数は40万人を超え、県外からの観客数も9万人を超えます。
これだけの規模となると、立派な沖縄の観光資源の一つにまで成長したと言えるでしょう。
その経済効果の内訳をみてみますと宿泊が28億2000万円でトップ、以下商業が17億3500万円、飲食が16億4300万円と続きます。
やはり県外の旅行客が沖縄に大きな経済効果をもたらしていることが分かりますね。
しかしこれだけのお客さんが来るとなると宿泊施設の確保も難しくなりますし、キャンプの魅力である選手とファンの距離感の近さが失われる懸念もあります。
もちろん車での移動が主となる沖縄では交通渋滞も悩みのタネです。
コロナも収まりこれらの課題が表面化してきた時、果たして良い解決策は見つかるでしょうか…?
4.まとめ
以上プロ野球春季キャンプについて調べてみました。
まだまだ寒い2月ですが、キャンプインのニュースが流れると自然とウキウキしてしまいますね。
そして何より、沖縄・宮崎に行きたくなる!
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