スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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スポーツしくじり先生~俺らみたいになるな!~【コラムその129】

日本のスポーツ産業は苦境が続く日本経済において、数少ない右肩上がりの成長を続けている業界です(コロナまでは)。

 

しかしその道は決して平たんではありませんでした。

いやむしろ、あまりに起伏の激しい道のりでしたし、今もまだまだ道半ばです。

 

その中には激しい波間に飲み込まれ、沈んでいったものも数多く…。

今回はそんなスポーツのしくじり先生たちに会いに行きましょう。

 

1.琉球ブルーオーシャンズ

甲子園で春夏連覇を果たした興南高校を輩出するなど、全国でも屈指の野球王国である沖縄

そんな沖縄に2019年誕生したプロ野球チーム、それが琉球ブルーオーシャンズです。

 

ブルーオーシャンズがその他のチームと比べて新しかったのは、全国に数多ある独立リーグでなくNPBを目指して設立されたことです。

そんな壮大な夢を抱いて、初代監督に元ロッテの清水直之、選手に元ヤクルトの比屋根、元中日の亀澤、元ソフトバンクの吉村らそうそうたるメンバーをそろえました。

 

 

…しかし夢は大きくとも、現実は厳しいもので…。

 

コロナウイルスなどの苦境を乗り越えながらなんとか持ちこたえていましたが、2022年には日本独立リーグ連盟からの除名が決定。

そして元選手の吉村からは給与未払いで裁判を起こされるグダグダっぷり。

 

NPB入りというあまりに大きな夢は夢のまま終わり、慌てて台湾プロ野球入りを目指すも時すでに遅し。

2023年自己破産を申告し、あっけなく解散してしまいました。

 

個人的にはまず独立リーグに参戦してしっかり人気と実績を積み上げ、虎視眈々とNPB入りを狙う方向の方が良かったのではないかと感じます。

 

あまりに事を急ぎすぎ、あまりに現実が見えていなかった、そんなしくじりでした。

千里の道も一歩から。

 

2.鈴鹿ポイントゲッターズ

あまりに奇抜なチーム名、ポとGを組み合わせたあまりに斬新なエンブレムで注目を集めた鈴鹿ポイントゲッターズ

 

女性監督を日本で初めて起用したり、キングカズの兄三浦泰年を監督にしたり話題性はバツグン。

成績も上々で、あとはいつJリーグに昇格できるか、それも時間の問題…のはずでした。

 

しかし2021年以降、相次いで不祥事が噴出。

まず、内部リークにより数々の疑惑が浮上してしまいます。

 

内容としては、クラブ株式の大半を所有するN氏がチームに対して試合にわざと負けるよう指示していた(八百長)こと。

そしてチームから選手に給料を支払わないことで、コロナ給付金を受け取るよう示唆があった(給付金詐欺)こと、などがあげられています。

どう見ても立派な犯罪ですね…。

 

このうち給付金に関しては事実であったかどうかはわからなかったものの、八百長に関しては間違いなく指示はあったようです。

ただ、監督と選手がミーティングを行いこれを拒否したことで、実際の八百長行為につながることはありませんでした。

 

とはいえ、こんなことがあってはまともにサッカーに打ち込めるわけがありません。

結局Jリーグの百年構想クラブから外されてしまったことで、Jリーグへの道のりは非常に厳しくなってしまいました。

 

現在三重県内にはヴィアティン三重というクラブがあり、現状ではそちらの方がJリーグに近い位置にいる印象を受けます。

話題性を考えれば鈴鹿ポイントゲッターズがJリーグに入ったら面白かっただろうに、つくづく残念です…。

 

3.東京アパッチ

日本初のプロバスケリーグ、それが2005年に開幕したbjリーグです。

その開幕当初の6チームの中に、今回紹介する東京アパッチがいました。

 

6チームのうち唯一首都東京をホームとしたアパッチは、収容人数1万人を誇る有明コロシアムをホームとして華々しいデビューを飾りました。

2年目の2006-07シーズンには平均観客動員が3000人に迫るなど、出だしも上々でした。

 

そんなアパッチを直撃したのが、2011年に発生した東日本大震災でした。

未曽有の被害をもたらしたこの地震はスポーツ界も例外でなく、とりわけ経済面で甚大な影響がありました。

 

特にbjリーグのように規模が小さく基盤がぜい弱な中では、破産の危機に陥るチームが続出しました。

それでもあるチームは内部改革してなんとか目途をつけ、あるチームは選手自ら社長につき、それぞれのやり方で何とか乗り切っていきました。

 

ところが、アパッチはどうにもならなかったようです。

2011シーズンにアパッチは参戦することなく、代わりに新設された東京サンレーヴスが参入することになりました。

その後アパッチの運営会社は倒産、bjリーグで初めての脱退チームとなってしまいました。

 

そもそも以前からアパッチは赤字が続いており、成績とは裏腹に財政的にはずっと苦しい状況が続いていたと言います。

そこに震災が直撃し、とうとう持ちこたえられなくなってしまった、というのが本当のところのようです。

つまり、元々ビジネスとして成立していなかったということですね…。

 

後継の東京サンレーヴスはさらにSHINAGAWA CITY BASKETBALL CLUBと名前を変え現在も存続していますが、B3リーグでまともな成績を残すこともできておらず非常に厳しい状況です。

現在隆盛を極めるBリーグの前身bjリーグの初代チームが、このような末路をたどってしまうとはなんとも悲しいことです…。

 

4.まとめ

以上、スポーツのしくじり先生を紹介しました。

ここに挙げたものは氷山の一角であり、スポーツ業界は流動性が激しく幾千ものしくじり先生が教鞭をふるっています。

 

そんな中、今まで生き残ってきているチームたちは実は奇跡に近い存在なのです。

そんなスポーツチームがある喜びを、いま改めて感じていきたい今日この頃です。

 

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