スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

スポーツをもっと面白く観るためのスタジアムガイド発信中!毎週金曜日18時+α更新予定。

MENU

武蔵野の森総合スポーツプラザメインアリーナ(島根スサノオマジックver.)~スサノオ東京に降り立つ~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

f:id:epokopoko:20240120185251j:image

武蔵野の森総合スポーツプラザは、2017年開場、東京都調布市にあるアリーナ。

本施設は東京オリンピックのバドミントン競技が行われたアリーナで、いわゆるオリンピックレガシーの一つ。

以前にも一度バドミントンの観戦で訪れている。

sportskansen.hatenablog.jp

 

今回訪れたのはBリーグ島根スサノオマジックvs茨城ロボッツの試合を観戦するため。

え、どちらも東京に関係なくない…?と疑問に思うところだが、これは島根スサノオマジックが初めて東京で主催するという実験的な意味合いが強い試合である。

 

Bリーグで開幕戦、およびファイナル以外でホーム以外の地方で試合を行うことはほぼ例がなく、非常に画期的で興味深い試みだ。

ローカルではあるがNHKでも取り上げられた。

www3.nhk.or.jp

 

さてその開催理由であるが、公式には

「本開催では、島根スサノオマジックのファンのみならず、普段、B.LEAGUE西地区の試合を観戦する機会の少ない首都圏のB.LEAGUEファンの皆さまにも、ぜひ、スピード感ある島根スサノオマジックのバスケットをお楽しみいただければと考えております。」

とのこと。

www.susanoo-m.com

 

とはいえ、そんなふわふわした理由でわざわざ東京で開催するわけがない。

というか、スピード感のあるバスケを見るだけなら首都圏にはいくらでもチームがあるわけで…。

 

ここではその理由をいくつか考察してみたい。

1.Bプレミアに向けて平均観客数を増やすため

NHKでも取り上げられている、最も具体性の高い目的。

現在の島根スサノオマジックのホーム松江市総合体育館は、キャパシティ的にBリーグプレミアの定める平均観客数4000人をクリアするのにギリギリ

 

単純に1万人規模のこのアリーナで試合をやっておけば、平均観客数がぐっと増えた(ように見える)というわけ。

この試みが成功すれば、毎シーズンの恒例行事になる可能性は高い。

 

本来のホーム松江市総合体育館に行ってみた記事はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

Bリーグ改革2026について解説した記事はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

2.ファン層の拡大を目指すため

例えばプロ野球の阪神ファンや広島ファンの人数が多いのは、関西や広島だけでなく関東にも非常に多くのファンがいる影響が大きい。

 

単純に人口の多さを考えれば、関東にファンを増やしておくのは将来的に大きなプラスをもたらす。

今回の東京開催で島根スサノオマジックの名前を売って、少しでも関東のファンを増やす足掛かりにしておこうという目論見は間違いなくあるだろう。

 

更に親会社であるバンダイナムコは「スポーツフェス」と題して、この試合を軸にしたアイドルマスターのイベントを行う。

もはやバスケが軸なのかアイマスが軸なのかは分からないが、いずれにせよ「東京のオタク」を取り込もうという思惑がヒシヒシと感じられる。

www.susanoo-m.com

 

3.バンダイナムコ社員の福利厚生のため

これは完全に推測でしかないのだが、島根スサノオマジックの親会社であるバンダイナムコ社員の福利厚生という目的もあるのではないだろうか?

 

例えばプロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスは、楽天社員向けの福利厚生の一環として東京ドームで主催試合を行いそれを観戦できるというものがある。

東京で働く社員に、わざわざ仙台に行って試合を見て来いというのはなかなか大変だからだ。

 

となれば、島根スサノオマジックの場合なおのこと東京で働くバンダイナムコ社員にとっては縁遠い存在であろう。

 

ということでわざわざ東京で試合をやって、その観戦を福利厚生にしているのではないだろうか。

実際今回の席割りでは多くの非買席が設けられているので、社員やその家族がそこで観戦できるのだろう。

 

とまあいろいろ理由を考えてみたが、考えれば考えるほど合理的な東京開催である。

そしてバンダイナムコという大企業が親会社についたからこそなせる業でもある。

 

そのうち、武蔵野スサノオマジックになったりして…。(それはそれでファン獲得が難しそうだ)

 

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

f:id:epokopoko:20240120185428j:image

最寄は京王線飛田給駅。FC東京、東京ヴェルディのホーム味の素スタジアムの最寄り駅でもある。

しかしちょっと見ない間に、ずいぶんFC東京カラーに染まってるな…?

 

最寄から★★★★★

f:id:epokopoko:20240120185440j:image

飛田給駅からは通りをまっすぐ。味の素スタジアムに向かって進もう。

 

f:id:epokopoko:20240120192814j:image

オリンピック・パラリンピックを記念したボードを発見。

とはいえ、もう誰もオリンピックのことは覚えていないだろう…(別の意味で注目されてるけど…)。

 

【観戦環境】★★★☆☆

f:id:epokopoko:20240120192801j:image

前回は3階席(写真の真ん中の段)で観戦したが、今回は最上段の4階席へ。

うーん、高さがある分全体が見えて3階席よりはマシかなあ…。

 

f:id:epokopoko:20240120185637j:image

でも座席に角度が足りなくて前の人の頭がちょっと気になるし、アリーナが大きすぎてコートまでの遠さは感じる。

なんかこう、絶妙にお・も・て・な・しが足りないアリーナなんだよなあ…。

 

同じオリンピックレガシーなら有明アリーナの方がまだマシだ。

sportskansen.hatenablog.jp

 

f:id:epokopoko:20240120185657j:image

非常に大きいアリーナなのに、得点表示はよく体育館とかで使われているちっちゃいやつ。

正直なところ、今回はバスケを見せるというところにあんまり注力していない雰囲気は受けた。

 

f:id:epokopoko:20240120185640j:image

アリーナ全体。コートちっちゃ…。

コートはアリーナの中央ではなく、微妙にずれて設置されているのがお分かりいただけるだろうか。

 

f:id:epokopoko:20240120185650j:image

すなわち、このビジョンがある側はコートから遠いということになる。

バスケをやるにはこのアリーナはあまりにも大きい。サッカーならちょうどいいか?

 

f:id:epokopoko:20240120185727j:image

アリーナが大きすぎて、こっそりイベント中に端っこで選手がアップをしていてもバレることはない。

 

f:id:epokopoko:20240120192558j:image

その反対側は多少はマシか…?

ただなんにしろコートから高すぎる。客にスポーツを見せる気が感じられない。

 

f:id:epokopoko:20240120192246j:image

4階席のコンコースはコートを見ながら歩ける。

大きなアリーナではこういう構造のところが多い。

 

f:id:epokopoko:20240120185700j:image

そして予想通り、バンダイナムコ社員用の座席を発見!ビンゴ!

 

f:id:epokopoko:20240120204034j:image

バンナム社員専用の入り口まである。VIP待遇!

 

f:id:epokopoko:20240120185706j:image

都バスケ協会の席も発見。

これは各地のアリーナで見られる集客方法ですね。でもせっかくの機会なのにコートまで遠いよう…。

 

f:id:epokopoko:20240120185720j:image

なかなかとってつけたようなボックス席を発見。

 

f:id:epokopoko:20240120185713j:image

でも…遠すぎるじゃろ?見えんて。

疎外感もすごいぞ。

 

f:id:epokopoko:20240120185742j:image

反対側から見るともっと悲惨だ。ボールは豆粒サイズ。

 

f:id:epokopoko:20240120185734j:image

ここが前回見た3階席。

もしかしたら、車いすスペースがこのアリーナで一番見やすい可能性がある。

これが真のバリアフリーってやつか…。

 

f:id:epokopoko:20240120185710j:image

ビジョンはそれなりな大きさ。その下にいるパックマンは今にもダンクしそうな躍動感だ。

試合前にはバンダイナムコのボカロキャラミライ小町がバスケのルール説明をしてくれる。

 

f:id:epokopoko:20240120185644j:image

ゲートを入ったところのコンコース。

開放感があるのは良いが、入ってすぐ階段を降りなきゃいけないところがはっきり言ってセンスを感じない…。

 

f:id:epokopoko:20240120185703j:image

施設自体は新しいのでキレイ。

 

でも最近のアリーナやスタジアムではトイレが混雑防止のため一方通行になっているところが多いのに、ここは入り口が一カ所しかない。

 

しかもその入り口にはなぜかご丁寧にノブがついた開閉式のドアまでついている。

開け閉めするたびに人にドアが当たらないかヒヤヒヤする羽目になる。

 

つまり、他のアリーナで積み上げられてきたトイレのノウハウがこのアリーナには一切生かされていない、ということ。

国立競技場が目立ってるけど、実は一番ひどいオリンピックレガシーはここなんじゃないか…?

国立競技場も大概だけど…。

sportskansen.hatenablog.jp

 

f:id:epokopoko:20240120192635j:image

コンコースにはバンダイナムコがいかに社会貢献をしているかアピールするボードが置いてあった。

ゲームは1日1時間とか言われて、やり玉にあがりやすい業界ではあるからねえ…。

それ以外にもきな臭い理由もありそうだけど…。

 

【雰囲気】★★★★★

f:id:epokopoko:20240120192743j:image

f:id:epokopoko:20240120192750j:image

f:id:epokopoko:20240120192756j:image

f:id:epokopoko:20240120192739j:image

f:id:epokopoko:20240120192759j:image

f:id:epokopoko:20240120192746j:image

これまで数多くの音楽ライブを開催してきたバンダイナムコ

そのノウハウは今回の試合でも十分生かされていた。

 

光と音、炎の演出が非常にバランスよく、その心地よさはBリーグでもトップレベル

やっぱりプロは違うなあ…(どこもプロなんだけど…)。

 

f:id:epokopoko:20240120192733j:image

そして何より島根の風景も織り込んだ煽りVTRがめちゃくちゃカッコよく、心がたぎる

島根いい場所だなあ…また行きてえなあ…。

 

f:id:epokopoko:20240120192736j:image

アリーナ内には選手パネルがたくさん設置されているのだが、その奥には…

 

f:id:epokopoko:20240120192730j:image

バンダイナムコのコンテンツ、アイドルマスターのキャラクターパネルが。

今回、1階席の一部(200~300席程度?)がアイドルマスターのオタク向けに販売されており、声優さんを呼んでトークショーミニライブが行われたのだ。

 

おかげさまでイベント中はオタクたちが異様に盛り上がり、それ以外の観客が置いてけぼりにされるというカオスな状況に…。

まあでも、自社コンテンツでそれだけお客さんが呼べるってスゴイことよね。

 

そして座席をバスケファンとアイマスファンでエリア分けしたのマジでファインプレー。

まぜこぜだったら絶対めんどくさいことになってたでしょうから…。

 

f:id:epokopoko:20240120210449j:image

イベント中は撮影禁止と言われたが、ティップオフセレモニーの時は言われなかったので声優さんの後ろ姿だけ。

 

そういったわけで今回の試合は「島根スサノオマジックブースター」「茨城ロボッツブースター」に加え、第三勢力の「アイマスファン」が加勢するという割とわけわからん感じになった。

 

でもオタクたちもそれなりに試合を楽しんでいたみたいだし(イベント終わったらそそくさと帰ったりするかと思ったらそんなことはなかった)、異文化交流みたいで面白かった。

ここから1人でもバスケオタクが増えたらよいですね。

(よく考えたらプロ野球やJリーグなんかでもよくオタクコンテンツとコラボしてるけど、これだけの大々的なコラボは初めてじゃないだろうか)

 

f:id:epokopoko:20240120185724j:image

そんな中スサノオマジック側も負けじと?MCとチアグループの「アクアマジック」も奮闘。

踊りはともかく、チアが歌も歌うとは知らなかった(さすがに口パクだろうけど…)。


www.youtube.com

 

そして試合後には隣のアリーナで、アクアマジックのメンバーとランダムで無料ツーショットが撮れるイベントも行われた。

 

その様子を見た時私は思った。これはオタクを「獲り」にいっているな、と…。

(もし間違ってアクアマジックにハマってしまった人がいたら、頑張って島根に通い詰めてね)

 

f:id:epokopoko:20240120210452j:image

置いてけぼりにされたファミリー層であったが、島根県観光キャラクターのしまねっこ登場が辛うじて子供ウケするイベントだった。

昨今のスポーツイベントで子連れがほっとかれるってなかなかないよ😅

 

f:id:epokopoko:20240120192753j:image

入り口には太鼓の達人の筐体などが置かれたバンダイナムコブースも設置。

ここも子供が楽しめた…かな?

 

【グルメ】★★★★☆

f:id:epokopoko:20240120192909j:image

アリーナ横の駐車場スペースにはキッチンカーの屋台村が登場。

非常にバラエティが豊富で目移りしてしまう。(しかし駐車場をつぶさないといけないあたりにこのアリーナの使いにくさが垣間見える…)

 

f:id:epokopoko:20240120192852j:image

一番行列ができていたのが、唯一島根から出店していたお店(日比谷にある島根のアンテナショップらしい)。

島根和牛串は少し割高には感じたが、東京で島根を感じられるという意味では非常に貴重な存在だ。

 

f:id:epokopoko:20240120192902j:image

こちらのお店で購入するとガチャのチケットをもらうことができ、缶バッジとおみくじを引くことができる。

おみくじはちゃんと大吉だった。大吉以外が入っているかは知らない…。

 

f:id:epokopoko:20240120192859j:image

そしてこちらのお店では島根のソウルフードバラパンも購入できる。

島根に行った時はノーマルバラパンを買ったので今回はコーヒーバラパンを買ってみた。

劇的においしいとかそういうものではないが、島根を感じられる素朴なパンだ。

 

バラパンも食べた島根旅の記録はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

f:id:epokopoko:20240120192855j:image

これだけでは足りなかったので十勝豚丼も購入。こういうお店は外さないね。

 

f:id:epokopoko:20240120192906j:image

入場の際、バンダイナムコが販売している釣りグミとサイリウムをもらうことができた。

子供に対するせめてものおもてなしかな…。

(オタクも家で釣りグミで楽しんでると思うと胸が熱くなるぜ…!)

 

【街との一体感】

f:id:epokopoko:20240120192901j:image

f:id:epokopoko:20240120192905j:image

もちろん東京開催なので街との一体感などはないが、飛田給駅にはポスターがたくさん貼ってあった。

バンダイナムコの力の入れようはここからでも十分伝わってくる。

 

【満足度】★★★★★

Bリーグの歴史においても非常に斬新な島根スサノオマジックの東京開催であったが、実際訪れてみて想像以上に異例尽くしのイベントであることが分かった。

 

そして何より、アイドルマスターのオタクとの異文化交流があまりにも面白すぎた。

何も知らずに訪れたファミリー客は完全に面食らったであろうが…(会場に来たバンダイナムコ社員の反応はどうだったのかも興味深い)。

 

せっかくの機会なのでよりアイマスとスサノオマジックの距離を近くして、どんどん混じり合っていけばもっと面白いことになるだろう。

これをきっかけにバスケや島根に興味を持つファンが増えて、島根に試合を見に行くようになったら大成功だ。

 

とりあえず観客の方は5000人を超え島根スサノオマジック史上最多動員を更新したので、特に何事もなければ毎年の恒例行事になるだろう。

毎年来て毎年どんな雰囲気になるのか観察しに来ようかな…?

 

索引を作りました!

他のスタジアム・アリーナは↓からどうぞ

sportskansen.hatenablog.jp