世界最大のスポーツイベントと言えば、オリンピックとFIFAワールドカップです。
どちらの大会にも世界各国から選りすぐりのアスリートが集まってきて、見るものを楽しませます。
ところで、その二つの大会を見比べてみると、ある違いがあることに気が付きます。
それが、オリンピックではイギリスなのに、ワールドカップではイングランドとして出場していることです。
果たしてこの違いはどこから生まれるのでしょうか?調べてみました。
1.4つの国からなるイギリス
まずは、イギリスという国の成り立ちについて簡単に抑えておきましょう。
私も高校時代世界史を勉強しておけばよかったのですが、残念ながら現代社会を取っていたのであまり詳しくはないんですよね…。
でもセンター試験では現代社会それなりに点とれたんですよ。やったね!
そんなことはともかく、イギリスは正式名称をグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国といい、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国からできています。
これらはもともと独立した国家だったようですが、1282年にイングランドがウェールズを併合、そして1707年にイングランドとスコットランドが連合国となりグレートブリテン王国となりました。
その後は1801年にアイルランドを併合したり、1922年にアイルランドが一部を残して独立したりして今の形になったみたいです。
ひとつひとつの歴史をちゃんと紐解いていくと本が一冊書けそうなのでやめておきましょうか。ね。
詳しく知りたい方は高校の教科書でも買うとよいでしょう。
最近はこんな便利な時代にもなりましたしね。
2.FIFAより歴史の長い4つのサッカー協会
さて、4つの国があるということは、サッカー協会も4つあるということです。
その設立した年を見てみると、
・1863年:イングランドサッカー協会(FA)
・1873年:スコットランドサッカー協会(SFA)
・1876年:ウェールズサッカー協会(FAW)
・1880年:アイルランドサッカー協会(IFA)
となっており、1904年に設立された国際サッカー連盟、FIFAよりどれも歴史が長いのですね。
特にイングランドサッカー協会は英語でFootball Associationとなっており、イングランドの名前は入っていないのです。
イングランドは近代フットボール発祥の地とされていて、世界初のサッカー国際試合もイングランドとスコットランドの試合でした。
フットボール=イングランド、と認識されていることが協会の名称からも読み取れるのです。
おそらくフットボール発祥の地としてのイングランドのプライドも相当高く、他と一緒にチームを作るなど考えられなかったのでしょう。
余談ですが、FIFA設立当初の参加協会はこの4つと、ドイツ、イタリア、オーストリア、ハンガリーでした。最初はヨーロッパだけだったんですよね。
そういった歴史もあり、サッカーにおいてはイギリスとしてでなく、イングランド、スコットランド、ウェールズ、そして北アイルランド(とアイルランド)がそれぞれでチームを作っています。
FIFAでは1国で1チームというのが原則になっていますが、これはその例外の一つになるわけです。
もっとも、現在は混とんとした世界情勢も鑑みて例外もかなり多くなっているようですが。台湾とかね。
ただしオリンピックにおいてこれは許してもらえず、しぶしぶイギリス代表としてチームを作っています。
でもあまりやる気はないようで、スコットランドが参加しないなどもありメダルには全然絡んでいません。
それだけ対立が根深い問題なんでしょうね。日本人にはよく分からない感覚です。
ちなみにラグビーでもほぼ同様の状況ですが、サッカーと違いアイルランドと北アイルランドは合わせて1チームのようです。
このあたりの詳しい事情はよく分かりませんが、国としてアイルランドが独立してもラグビーにおいては特に独立しようという気運が高まらなかったのでしょうか。
なかなか事情は複雑なようです。
3.ワールドカップでサッカーの母国が勝てない問題
さて、サッカーの母国として誇り高きプライドを持つイングランド代表。
当初は他のイギリス3協会以外のチームをボコボコにしていたこともあり、ワールドカップなどというお遊びには1932年から3大会連続で出場しませんでした。
だって勝つに決まっている大会に出る必要なんかないですからね。
戦争も終わった1950年、やれやれしょうがないな、と重い腰を上げ、満を持してブラジルワールドカップに出場。
ここでスペイン、アメリカに続けざまに0‐1で敗戦、グループリーグ敗退。…は、敗退!?
特にアメリカ戦では、あまりの衝撃で試合結果を載せた新聞に印刷ミスだとして抗議の電話が殺到したそうな。悲しきアングロサクソンの誇り。
このあたりについては以下のワールドカップの記事にもまとめていますので是非。
以降、1966年に自国開催で優勝こそしたもののそれっきり。
まあまあ強いのに大事なところでいまいち勝ちきれないエンタメサッカー軍団として、一部のサッカーファンに非常に好評です。
ヨーロッパ選手権ではそもそも優勝経験がなく、サッカーの母国としてのプライドは当初よりだいぶ削られてしまっています。
Wikipediaには国民性としてアルコールを飲みすぎてるから弱いみたいなこと書いてあるんですが、じゃあドイツはどうなるんだ!?って感じです。
…って思ったけど、ドイツも最近弱いな。
4.まとめ
以上、なぜサッカーではイギリスではなくイングランドなのかでした。
歴史を紐解くとなぜ現在そうなっているのかが分かって大変面白いですよね。学生の時そういうの教えてくれる先生に出会いたかったな…。
まあ今からでも遅くないので少しずつ勉強していきますか。もっとも、イギリスの歴史は複雑そうすぎるのであまり触れたくありません。
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