注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
阪神鳴尾浜球場(タイガース・デン)は、1994年開場、兵庫県西宮市にある阪神タイガースの二軍本拠地。
タイガースデンの愛称は、Tigers+Gardenからきており、和製英語で「虎の穴」を表している。
阪神タイガースの二軍は、1979年より甲子園の東方約3.5㎞の阪神浜田球場を本拠地としていた。
しかし次第に施設の老朽化やグラウンドの狭さが浮き彫りとなり、新球場の建設が模索された。
そこで1994年建設されたのがこちらの阪神鳴尾浜球場である。併せて選手寮の虎風荘も移転された。
埋め立て地に建設したことから、阪神淡路大震災の際には液状化現象に悩まされたこともあるという。
ちなみに阪神浜田球場の方はしばらく草野球などで使用されていたが、2016年に閉鎖・解体され、今は家電量販店や飲食店が営業しているとのこと。
開場当初こそ最新鋭の設備を誇った阪神鳴尾浜球場であったが、時代とともにやはり老朽化が進み、手狭な練習環境も問題となった。時代は繰り返す…。
更に掛布雅之が二軍監督に就任してから、500人というスタンドの収容人数を超える観客が押し寄せるようになった。
こうした様々な課題が浮き彫りとなる中で、再度新球場の建設を模索。
その結果、2025年より尼崎市内にタイガース二軍の本拠地となる新球場をオープンすることとなった。
一方、阪神鳴尾浜球場は2024年をもって使用を終了。
今後の用途は不明だが、おそらく阪神浜田球場と同じような末路をたどるのだろう。
そんなわけで、阪神タイガースの暗黒期、そして黄金期?を支えた阪神鳴尾浜球場を最後に楽しむことにした。
【アクセス】
最寄まで★★★★★
最寄は阪神本線甲子園駅。大阪梅田から最速12分、大阪難波からも30分弱。
鳴尾浜に行くには甲子園球場に行くのと別の東口を利用するのが便利。
ホームからも甲子園がチラ見えする。高速が無ければ完璧なのに…。
公式では案内されていないが、阪神武庫川線の武庫川団地前駅からも徒歩圏内。
なぜ推奨されていないのか分からないが、十分選択肢に入ってくるルートだと思う。
最寄から★★☆☆☆
甲子園駅からはバスで15分ほど。7番乗り場から出るバスは基本的に球場に向かうはず。
降りるのは県立総合体育館前停留所。
ここからは徒歩3分。バスで来た道を少し戻り右折する。
整理券待ちの列ができているので後ろに接続する。
帰りは球場前にある阪神鳴尾浜球場前バス停から。
なぜ行きと帰りでバス停が違うのかというと、ぐるっと一周してくる経路のため。この乗り方をすると最も効率が良い。
一方、武庫川団地前駅からは徒歩15分ほど。
名前の通り団地を抜けていく。
途中鳴尾浜臨海公園を抜ける。この公園がまた面白いのだ。
こちらにも球場があるが、ただの球場ではなく…
普通に選手たちが練習しているのだ。
写真だと遠くて見辛いが、選手たちを見るだけならここでも十分楽しめる。
球場自体はいたって普通。草野球には十分すぎる施設。
一方こちらには…
白球の森、という森がある。
第65回高校野球を記念し、各代表が地元の木を植樹したようだ。
おかげで自然がいっぱい。
こちらは準優勝を果たしたY校こと横浜商業の木。
かつて神奈川にも甲子園でも活躍するような公立高校があったのだ。
ちなみに優勝したのはKKコンビのPL学園。この森が作られたのはそういう高校野球人気の高さも背景にあったのだろう。
こちらは北海道東北エリア。普通に植物園としても楽しめる。
時が経ってだいぶツタに侵食されてきたようだ。まるで甲子園。
こちらは田村務さんという方の青春の栄冠という作品。今は優勝したら天に人差し指を立てるのが恒例だが、この頃はそういうのはなかった。
私の記憶では駒大苫小牧が優勝した頃から始まったような気がするが…。
【観戦環境】★★★☆☆
阪神ファンにとっての聖地ではあるが、設備としては割と普通の地方球場。
今どきこれより立派な地方球場はいくらでもある。
なおナイター設備はないため、試合はすべてデイゲームである。
スコアボードはバックスクリーンと一体となって設置されている。
磁気反転式で、表示できる情報量も必要最低限といった感じ。球速が表示されるのが地味にうれしい。
スタンドはバックネット裏、一塁側、三塁側の大きく分けて3ヶ所。少し特殊な構造をしている。
とはいえベンチシートだし屋根もないしドリンクホルダーもない、いたって普通の球場だ。
ただし安全を守るための防球ネットは非常に多い。ここでは観客の見やすさなどとのんきなことを言っていられない。
通路から見ると結構グラウンドが近く見える。
とはいえファウルゾーンは大きめ。
通路ではカメラを持った人がシャッターチャンスを今か今かと伺っている。
これこそファームの楽しみ方であろう。
一塁側スタンドもバックネット裏と設備に大差はない。
通路は非常に狭く、カメラマンがいると後ろを通るのも一苦労。
ちなみにここにトイレがあり、一塁側三塁側どちらにも設置されている。数は十分ある(キレイさは…お察し)。
タイガース側は三塁側。こちら側にブルペンなどの施設が集約されているためだろうか。
時折テントの中からスパーンと気持ちいいミットの音が球場内に響き渡ってくる。
そしてその後ろにあるのが選手寮の虎風荘。住み心地はいかがだろうか。
防球ネットは高さもあり、絶対にネットを超えることはないだろう。
この感じはロッテ浦和球場に似ている。
スタジアムの入り口からはこちらの階段を上る。
非常にシンプルなシステムだ。
こちらが貴重な入場整理券。この球場は無料で試合が見られるのだが、そのためにはこの整理券をゲットしないといけない。
ゴールデンウィークも相まって、500枚の整理券は9時の開場と同時に配布終了した。
私が球場に着いたのが8時頃だから、8時半くらいに来ると微妙なラインかもしれない。
これは明らかに球団の人気と球場のキャパシティが見合っていない。
鎌ヶ谷ファイターズみたいにマネタイズしたら結構儲かりそうだけどなあ…。
【雰囲気】★★★☆☆
なんせ球場に入ったのが9時だから、試合が始まる12時半までとても暇になった。
そんなわけで近くのスーパー銭湯にでも行こうかと思っていたが、なんだかんだ練習が楽しくてずっと見てしまった。
これだけずっと練習を見ていられる機会もさほどない。
一定間隔でボールを投げ続けるマシンなんてのもあるらしい。
ライトの後方でアップする選手たち。そこも練習用のスペースなんだ…。
練習が終わると敵味方関係なく全員で撤収作業に入る。
いくらプロ野球と言えど二軍では人手も足りないのだろう。
球場の整備は甲子園でもおなじみ阪神園芸さんとのこと。
ホースでの水まきの様子が見事で見入ってしまった。金とれるよこれ。
試合の方はデッドボールやフォアボールが飛び交ういかにも二軍らしい試合。
ミエセスのホームランは非常に盛り上がった。
客層はというと、写真を撮りに来たお姉さんたち、玄人のおじさんおばさん、そしてずーっと独り言をしゃべってるちょっとヤバめな人など個性豊か。
いろんな意味で濃ゆい人材のそろった、阪神ファンを濃縮したような人たちである。
【グルメ】
グルメはもちろんコンビニも近くにないような立地。自販機は一応あるが…。
ということで、大阪難波駅で駅弁を買ってきた。私鉄で駅弁を売っているのは結構珍しいのでは。
本当に朝食って感じでいいねえ。味もなかなか良い。
味付けのりが入っているのが地味に珍しくてうれしかった。
【街との一体感】★★★★★
武庫川線の車両は阪神仕様に。これだけでも武庫川線に乗る価値がある。
もちろんエンブレムもいっぱい、車体も黄色と黒のチームカラー。
車内もスゴイことに。
地味に車内広告のところが縦じまになっていたりする。
西宮市のマンホールで最も目立つのは、やっぱり甲子園球場。
甲子園駅で球場とは反対側にあるローソンもタイガース仕様。きっとこれでも売れるのだろう。
【満足度】★★★☆☆
阪神タイガースの虎の穴としての雰囲気は十分、ここから暗黒期、黄金期、そして日本一の選手たちが育っていったのだろうと思うと感慨深い。
とはいえ設備的には限界であるのも感じた。
今後尼崎に拠点を移したタイガースの虎の穴は、果たしてどう変貌していくのだろうか…。
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