スタジアムに行って誰もが注目するもの、それは大型ビジョンです。
スタジアムの華やかな雰囲気作りに大きな役割を果たし、スタジアムの顔ともいうべき存在です。
しかし、大型ビジョンがどんな種類があるのか、どんな歴史を経ているのかはなかなか知らないものです。
そこで今回は、スタジアムに欠かせない大型ビジョンを調査してみたいと思います。
1.オーロラビジョン(三菱電機)
今や大型ビジョンの代名詞と言えば、三菱電機のオーロラビジョン。
まずもって「オーロラビジョン」というネーミングがステキすぎますよね。
オーロラビジョンの開発が始まったのは1970年代。
プロ野球のオーナーから「大差で負けている時に客を帰らせない方法を考えてほしい」という要望を聞きつけたのがその始まりです。
これに対し「以前のファインプレーの映像を流そう」となり、紆余曲折の末生まれたのがオーロラビジョンでした。
世界初のフルカラー大型映像装置として誕生したオーロラビジョンは、さっそく1980年アメリカのドジャースタジアムに設置されました。
以降全米のメジャーリーグ球場に次々に設置され、日本でも1981年後楽園球場に設置されたのを皮切りに随時広がっていきました。
現在オーロラビジョンが日本で設置されているのは、
・楽天モバイルパーク宮城
・ZOZOマリンスタジアム
・東京ドーム
・バンテリンドームナゴヤ
・阪神甲子園球場
・ほっともっとフィールド神戸
・札幌ドーム
・MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島
・東京競馬場
・中山競馬場
・中京競馬場
・札幌競馬場
・函館競馬場
・大井競馬場
・茨城県立鹿島サッカースタジアム
・埼玉スタジアム2002
・三協フロンテア柏スタジアム
・等々力陸上競技場
・ヤマハスタジアム
・フクダ電子アリーナ
・NACK5スタジアム大宮
・日産スタジアム
・ノエビアスタジアム
・サンガスタジアム by KYOCERA
・ドルフィンズアリーナ
・東京体育館
・船橋アリーナ
・スタジオアルタ
…などなど、これでもごく一部です。
もはやオーロラビジョン=大型ビジョンと言ってもいいほどの普及ぶりですね。
2.アストロビジョン(パナソニック)
アストロビジョンは、パナソニック製の大型ビジョンです。
アストロには「宇宙」「広大な」「天文学的な」といった意味があり、1980年代に「宇宙のように大きく、明るく美しい映像装置をつくろう」として開発されました。
しかし残念ながら2009年に営業活動を終了。
現在は保守・アフターサービスに限って対応している状態です。それだけオーロラビジョンの牙城を崩すのは難しかったということですね…。
日本で設置されているのは、
・京セラドーム大阪
・味の素スタジアム
・福岡ドーム
・IAIスタジアム日本平
・豊田スタジアム
・ベルーナドーム
などです。営業こそ終了しましたが、まだまだ現役で日本中のスタジアムで使われ続けています。
3.ジャンボトロン(ソニー)
続いてはソニーのジャンボトロン。
こちらは1985年のつくば科学万博出展のために開発され、屋外設置ができるように設計されました。
万博当時は「世界一大きいテレビ」としてギネス記録に認定されるほどで、西武ライオンズ球場や平和台球場など日本の主要な球場でもジャンボトロンが採用されました。
ジャンボトロンは表示素子に赤・青・緑の発光素子を一つに組み込んだVFDと呼ばれる蛍光表示管を使用しているのが大きな特徴でした。
しかし時代の流れとともにLED(発光ダイオード)が主流となり、ソニーも追随を目指したものの2001年に大型ビジョンから撤退してしまいました。
現在ジャンボトロンが用いられているのは競艇場の一部のみとなっています。
wikipediaではソニー製のビジョンが福岡ドームや横浜スタジアムで使われていると書かれていますが、正確にはメーカーは非公表なので不明です。
かなり大きな事業なので大人のしがらみも多いんでしょう…。
4.スーパーカラービジョン(東芝)
東芝が手掛けているのがスーパーカラービジョン。何となく時代を感じるネーミングかも…。
1983年に競馬場などへの設置を目的として開発されました。
日本での設置例は
・神宮球場
・横浜スタジアム
・楽天モバイルパーク
・ユアテックスタジアム仙台
・日産スタジアム
・秩父宮ラグビー場
・阪神競馬場
・京都競馬場
・福島競馬場
・川崎競馬場
などです。
調べてみると同じ施設内でも別のメーカーのビジョンが混在していたりして、かなり競争の激しい業界であることが分かります。
5.大型ビジョンができるまでのスコアボード
オーロラビジョンの誕生を機に世界中のスタジアムで採用されてきた大型ビジョンですが、その前のスコアボードはどうなっていたのでしょうか?
古代のスタジアム…というほど昔でもありませんが、初期は黒板のパネルにチョークで書いたり、紙に印刷して貼り付けていました。
日本でもごく一部ですがそういうスタイルのボードが残っています。
そんな中日本で初めて電光掲示板を導入したのは、1958年に開業した国立競技場。
富士通製で、1964年の東京オリンピックの際に大型化されました。
野球場においては、1970年に後楽園球場で取り入れられたのが最初です。
当時は技術がまだ未熟だったため、難しい漢字の選手はカタカナで対応していました(醍醐選手、与那嶺選手)。
さらにパリーグに指名打者制が導入された際には9人までしか表示できなかったため、攻守で表示する選手を入れ替えるなど苦労も多かったようです。
そんなスコアボードですが技術の発達や低コスト化により、全面LEDで非常に視認性の高い鮮やかなビジョンに置き換わっていきました。
それが上記のオーロラビジョンなどですね。
その一方でより低コストな磁気反転型と呼ばれるボードを導入するところもあり、読売ジャイアンツ球場などで使用されています。
つまり、今のスコアボードの主流は全面LEDと磁気反転型の二種類ということになります。
スタジアムに行ったらどちらが採用されているかを見てみるのも面白いかもしれません。
6.まとめ
以上、スタジアムの顔となる大型ビジョンについて調べてみました。
技術の発展や各社の競争の歴史など、大型ビジョン一つとっても興味深い要素がいっぱい詰まっていることがよく分かります。
これ以上進化するのもなかなか難しいとは思いますが、次にあるとしたらバックトゥザフューチャー2に出てきた3D型の飛び出るビジョンでしょうか?
大型ビジョンにはまだまだ夢が詰まっています。
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