注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
大分スポーツ公園総合競技場(昭和電工ドーム大分)は、2001年開場、大分県大分市にある大分トリニータのホームスタジアム。
引きで見ると、なんだかメットライフドームに似ている。
どうでしょう。
埼玉スタジアムやビッグスワンなどと同じく、2002FIFAワールドカップのために作られたスタジアム。九州では唯一ワールドカップが行われたスタジアムである。
2019年にはラグビーワールドカップの会場の一つともなった。
スタジアム内にはギャラリーも設けられている。
ここをホームとする大分トリニータは1999年にJリーグ加盟。私はから揚げやとり天で有名な大分だから、てっきり「トリニーク」が語源の一つだと思っていたのだが、そうではないらしい。
J2初年度から参加し、2002年にはJ2優勝、J1に昇格した。ワールドカップの年に昇格するなんて縁起がいい。
その後は2008年に4位、そしてJリーグカップ優勝を果たすなど好成績を残していたのだが、2009年に流れが急変する。
「クラブの経営問題」である。
サッカークラブにおいて出資してくれるスポンサーというのは非常に大事な存在なのだが、2009年に胸スポンサーであったマルハンが撤退してしまったのだ。
このタイミングで、スポンサーとなっていた企業が役員逮捕などの問題で次々と経営難に陥り撤退。途中からスポンサーとなったフォーリーフジャパンはそのビジネス手法からサポーターの反発にあい撤退。
なぜかちょっと胡散臭い企業が近づいてきては撤退を繰り返しトリニータも一気に経営危機に陥った。マルハンも十分胡散臭いが
更に、年俸の高い選手を獲得したことによる負債を隠すため、粉飾決済まがいの会計が行われるなどガバガバ経営が露見してしまった。成績もふるわず、J2降格も決定。
この激動の2009年の中で生まれたのが、ネットの一部で有名な「チームがバラバラじゃねえか」「ちゃんとまとまてるよ」「トーリニータ(大合唱)」のやりとりである。
未だにいろいろ改変されながらネタにされ続けている。
そんないろいろなことが重なりJ2降格どころかクラブ存続の危機に立たされたが、大分県やサポーター、Jリーグに助けてもらいながらなんとか乗り切った。本当に感謝せにゃいけませんな。
その後一旦J1に昇格するも、そこから転げ落ちるようにJ2、J3へ降格。しかしそこから駆け上がるようにJ2、J1へ昇格。2021年までは日本で唯一J1~J3まですべてのカテゴリを経験したクラブであった(来年からは松本山雅FCも…)。
そういう意味で浮き沈みが激しいクラブである。「天国」と「地獄」、いや「天国(2008)」からの「地獄(2009)」からの「天国(2012)」からの「地獄(2015)」からの「天国(2018)」である。さてこれからは…
そうそう、「地獄」と言えば…。
大分県は源泉数世界一、湯量世界2位を誇る別府温泉を有する「おんせん県」であり…
別府の地獄めぐりは一見の価値あり。トリニータの試合を見たら、地獄めぐりに行こう。
地獄めぐり旅行記はこちら。めちゃくちゃ楽しかったです。
【アクセス】
最寄まで★★☆☆☆
最寄はJR大分駅。
私の住む関東からはとても電車で行ける位置ではないので飛行機で行くのだが、大分空港は大分駅からバスで1時間以上かかるなかなかの僻地にある。
海沿いを走るからなかなかに景色は良いのだけど、それにしたってここに来るだけでへっとへと。
ただ電車で来れる位置に住んでいたとしても小倉から電車で90分かかるから、大変であることは覚悟しなければならない。
最寄から★★☆☆☆
大分駅からはバスで20分ほど。ちゃんとSuicaも使えるし、アナウンスは選手が担当していて一笑い起こしてくれる。本数も多いので、行きも帰りもそれほど苦労するということはない。
また、結構駐車場が充実しているので、大分空港からレンタカーで来るという手もあるにはある。駐車場からそれなりに歩くようだが。
【観戦環境】★★★★☆
バックスタンド2階席の中央付近からの観戦となったが、屋根もついているし、それなりに快適に試合を見ることができる。
陸スタの場合、下手に値段の高い1階席で見るより2階席から見た方がピッチまでの距離を感じにくく見やすいような気がする。
アウェーサポーター側。こちらにビジョンがある。
ホームトリニータサポーター側。やっぱり陸スタなのでゴール裏からはピッチまでの距離がある。
スタンド裏のコンコース。十分広いが、一部狭くなっているところがあるので注意が必要。
夏の日差しはここでしのげる。
ゴール裏あたりのコンコース。
応援グッズを身に着けていなければ気軽にコンコースが一周でき、開放感がある。
ゴール裏コンコースから見たピッチ。
ゴール裏から見たコンコースその2。立ち見は禁止だが、ここからでも十分試合は見られそうだ。
そしてこのスタジアムの大きさが一番わかりやすい角度でもある。
ちなみに屋根は開閉が可能であり、雨の時は閉めるようだ。この屋根の形状から当初は「ビッグアイ」という愛称も付けられた。が、今では誰も使っていない
このスタジアムは独特のすり鉢状の形状が原因で空気が循環しにくく芝生が育ちにくいのだが、屋根を閉めるとそれに拍車がかかってしまうため基本的には屋根は開けっ放しにしているらしい。
実際、2009年にけが人が続出した一因が芝生の育成不足による劣悪なピッチコンディションだったと言われている。2009年の災難の重なりっぷりすごい。
ビジョンは標準的なサイズ。
ホームサポーターの上にも簡易的なスコア表示がある。アウェーサポーターにもやさしい。
注意点としてバックスタンドのお約束であるが、日差しがきついことが挙げられる。
涼しい時期だったからよかったものの、暑い時期だったらかなり大変である。前のいかついお兄さんがやたら日差しを気にしていたが、そんなに気にする人はバックスタンドに来てはいけないのである。
値段には理由あり。
【雰囲気】★★★★☆
試合前の盛り上がりや一体感などは、まあそれなりかなー?
と思っていたのだが、やっぱりゴールが決まったりすると全体が一気に盛り上がる。
大分のようにスポーツチームが決して多くない県の特徴のような気がする。試合前は何となくおとなしいけど、いざ盛り上がるシーンが来るとボルテージ上がっちゃうみたいな。
ただ、試合中流れていたチャントの音が小さすぎてよく聞こえなかった。あえてそういう音量にしているのかもしれないけど。
でもコーナーキックなどのチャンス時の手拍子は一体感があってとっても良かった。
一方、本日の相手は優勝のかかった川崎フロンターレ。
劣勢だったが変に熱くなるでもなく、ヤジが飛ぶでもなく、コロナ禍でもきっちりおとなしくルールを守って観戦、応援していた。
なんだかいよいよ王者のふるまいらしくなってきたなあ。フロンターレ。
裏側なので読みにくいけど、たぶん大分高校の書道部かな…?
大分高校は書道パフォーマンス甲子園でも優勝経験のある強豪。ちなみに名前からすごい公立っぽいが、れっきとした私立高校である。
そしてトリニータがPKで奪った1点を守り勝利。なんだかいろいろと珍しい試合を見ることができた気がする。
ご覧のように、スタジアム周辺には基本的に何もない。
このスタジアムは周囲の里山を残すように作られているからである。
【グルメ】★★★★★
スタジアム内にはいくつか飲食店がまとまったエリアがあるのだが、基本的にどのエリアにも「とり天」、「から揚げ」、「鶏めし」といった大分グルメを扱う店が存在する。
このスタジアムではこれを食え!みたいな名物は大抵どこにもあるが、それを出す店が一つしかなかったりすると下手すれば1時間くらい待つようなこともある。
そういう意味では、どこに行っても食べられるというのは遠征客にとって非常にありがたい。混んでいたら他のエリアに行けばいいだけなので。
店によって味が違うかどうかは試してないのでよく分からないが。
中津から揚げは全国各地のスタジアムで食べているので、今回はその近くにあった宇佐から揚げ。宇佐はから揚げ発祥の地と言われている。
違いはよく分からんけど、大分でから揚げを食べておけばまあ間違いはあるまい。
九州で一番おいしいたこ焼きと書いてあった大分駅前にも店があるてったこ。ソースがおいしい。
残りのとり天と鶏めしはホテルに持ち帰って食べた。正確に言うと鶏めしは駅前のスーパーで買ってきたのだが…。
大分は鶏肉の消費量が全国トップクラスで、食糧が乏しい時代から鶏肉は貴重なたんぱく源として重宝されてきた。
鶏めしは大分ではお祭りなどの時に作っていたそうだ。食べた瞬間ごぼうの香りがふわっと漂ってきてただものではないところを見せつけてくる。
吉野、と書いてあるものを買えば間違いない。とにかくうまい。大分屈指の名物グルメとしておススメできる。
とり天は酢醤油やポン酢などをつけてさっぱり頂ける一品。大分県内各地のお店で食べられるので、食べ比べをするのも楽しい。
私が今回一番好きになったのは大分駅前にあるこつこつ庵というお店のとり天。でもこのスタジアムのものを含めどれも美味しい。
【街との一体感】★★★★☆
大分空港ではいきなり大分トリニータ応援ムード。
冷静に考えると大分の人は試合を見るために空港は使わないから、大分に来たアウェーサポーター含め旅行客全員に向けてアピールしていると考えるのが自然か。
大分市役所も応援している。お役所がこんな大々的に応援しますって掲出するの結構珍しいかもしれない。
アーケードも大々的に応援。
ただ、上記のような公的な施設を除けば街中で見られたトリニータ応援グッズはこの旗くらい。
もちろんアーケードやら空港やらすごい目立つは目立つんだけど、果たして大分県民にどこまで浸透しているかはちょっとこれだけでは分からないところである。
なんとなくだけど、温泉の存在感が強すぎて若干トリニータの存在感が薄めになっているような気がしないでもない。
それほど温泉という資源があまりに魅力的すぎるというのもある。
【満足度】★★★★★
アクセスを除けば、スタジアムの快適性、グルメなど全体的に極めて満足度が高い観戦をすることができるスタジアムである。
なにより、大分は温泉をはじめとした観光資源が非常に豊富な県である。一度勇気を出して大分に飛び立ってみれば、それはそれは素敵な旅行ができるであろう。
そのきっかけとしてもトリニータは十二分に意味があるクラブだと思う。トリニータ、グルメ、そして温泉。大分は最高だ!
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