数多の人を惹きつけ、魅了し、社会現象にまでなった、スポーツ漫画、いや漫画界に燦然と輝き続ける不朽の名作、それがスラムダンク。
連載開始から30年以上たった今でも読み継がれ、語り続けられるスラムダンクが、この度映画化されるということで大きな話題になっています。
96年に連載を終了した漫画がこうして時がたってなお映画化され、しかもそれが大きな話題になるということ自体が、この漫画の影響力の大きさを物語っているといえるでしょう。
しかし、スラムダンクを読んだことはあるけど生でバスケは見たことがない、という人はまだまだ多いのではないでしょうか?
そこで今回は、バスケに興味はあるけどどうやって見たらいいの?と思われている人向けに入門書を書いてみることにしました。これであなたもバスケ沼へ?
1.安西先生…SLAM DUNKを語りたいです…
とりあえず、念のため、一応、スラムダンクについてご紹介しておきましょう。
もし読んだことのない人は今すぐパソコン、あるいはスマホを閉じ、お近くの本屋さんで全巻セットを買いましょう。
そのままパソコンやスマホを使ってAmazonで買ってもよいです。マンガ喫茶でもいいですけど、どうせすぐ読みたくなるので買った方がいいですよ。
一家に一セット、スラムダンク。よろしくお願いします。
スラムダンクは1990年連載開始、1996年に連載が終了するまで全31巻が発売され、発行部数は1億2000万部超、雑誌ダヴィンチでは漫画史50年のランキングで第1位に選ばれるなど、スポーツ漫画の域を超え漫画界に残る不朽の名作として知られています。
読んでいくとわかるのですが、物語の序盤では主人公のヤンキー桜木花道が女の子に振られまくったり、あるいは元バスケエリートの落ちこぼれ三井寿が殴り込みをかけてきたりと、結構ヤンキー漫画要素も強いんですよね。
おそらく当初はどういう方向で行くのかいろいろ模索していたものと思われます。
桜木のフンフンディフェンスもこの頃しか見られませんでしたし、ギャグマンガ要素もあったように思います。
しかしバスケットボールが物語の軸になると、一気に青春一直線を突っ走っていきます。
もうね、何がいいってキャラクターがみんな魅力的なんですよね。
主人公の桜木花道はおちゃらけていて才能だけでバスケをやっているかと思いきや実は努力の人だし、
流川はイケメンで天才なのに負けず嫌いだし、
みっちゃんは何事にも負けない不屈の闘志を持っているし、
りょーちんはハンデを長所でカバーできることを証明するし、
赤木はゴリだし、
みんな特徴はバラバラだし性格も合わないけど、湘北高校としてまとまった時の強さは何物も寄せ付けません。
もちろん、地味メガネの小暮くんも忘れちゃいけませんよ。最後の最後、インターハイ出場を決めたのはメガネくんの一撃でしたし、湘北高校にいいアクセントを添えています。
読者の方はいろんな境遇を持っている人がいると思うんですが、おそらくこの中の誰かしらには感情移入できるんじゃないかな、というくらいに個性豊かです。
流川に感情移入する人はだいぶ自信家な人だなと思いますけど(笑)
この作品の山場は、なんといってもインターハイ2回戦の絶対王者山王工業戦です。
といっても山王工業戦だけ読んでも意味がなくて、これまでのシーンすべてが伏線となって山王工業戦でひとつ残らず回収されていくんですね。
この様がまた気持ちいいとしか言いようがないのです。
しかもただ伏線回収するだけでなく、キャラクターの一言一言が読者の胸を突きさしてくるのです。花道とかあんなにふざけた見た目してるのに、なんだってこんなにカッコいいんだよ…。
「大好きです 今度は嘘じゃないっす」とか、「俺は今なんだよ!」とか…読んだことのない人にはさっぱり分からないかもしれませんが、本当に名言中の名言なんですよ…。
こんなの読んでしまったら、こちらだってバスケを好きにならずにはいられません。
最後のシーンは、何度読んでもページをめくる手が止まってしまいますね。セリフもないのに、隅から隅まで見入ってしまいます。
これまでいがみ合っていた二人が、ただ試合に勝つためだけに最後の最後お互いの才能と努力を認め、信頼することで生まれた逆転劇…。
決して仲良しではなくても、お互いを認めることで生まれるものがある。これは生きる上で全てに通ずる本質ではないでしょうか。
こんなことを書いていると、また読みたくなってきました。
まー、もう語り始めると止まらないんですけど、とにかく読んだことのない人は読んでみてください、としか言いようがありませんね。
ところでwikipediaだとこれらの話のあらすじがたった20行くらいしか書いてないんですけど、どんだけ端折ってるの(笑)山王工業戦に至ってはたった3行しかないし…
2.スラムダンクの影響を語りたいです。今度は嘘じゃないっす。
スラムダンクが日本のバスケ界に及ぼした影響も、それはそれは計り知れないモノでした。当時のバスケ協会がちょっと終わってたので直接的な影響はあんまりなかったのですが…
まずは、2006年に作者の井上さんが設立したスラムダンク奨学金です。
これは井上さんがバスケットボールへの恩返しの意味合いで、アメリカの大学でバスケを続ける学生にスラムダンクの印税を利用して奨学金を送る制度です。お金持ちはやることが違いますね。
この制度を利用した選手の中には現群馬クレインサンダーズの並里選手や、現島根スサノオマジックの谷口選手などがおり、今の日本バスケ界を引っ張るプロ選手を輩出しています。
もちろんそのままアメリカに残ってバスケを続けている選手もいます。
また今のBリーグの選手の多くがスラムダンクを読んで育ってきており、日本人初のNBA選手となった田臥選手などが熱くスラムダンク愛を語っています。
日本だけでなく海外(特にアジア)に及ぼした影響も大きく、中国のバスケが非常に強い一因がスラムダンクによるバスケの普及だったのではないか、という説すらあるほどです。
また台湾では、コロナの影響でNBAの試合が中継できない代わりにスラムダンクのアニメを放送したほどです。
バスケ=スラムダンクという認識は台湾でも広まっています。
3.観戦ガイドは添えるだけ…
こんなに面白いスラムダンクを読んだら、今度は生でバスケットボールを見てみる番です!
もちろん生のバスケは迫力がまた違って大変面白いのですが、実際にBリーグでバスケを見てみる上での注意点がいくつかございます。
あれ?とならないために、事前に以下のことだけ留意していただければバスケットボールを大いに楽しめるのではないかと思います。
1.ルールが今と違います
スラムダンクが連載されていた90年代と今では、ルールが違います。
大きなところでは、
・スラムダンクでは前半後半だが、今は1~4クォーター制
・スラムダンクでは30秒以内にシュートを打たなければいけないが、今は24秒以内
・スラムダンクでは悪質なファウルをインテンショナルファウルというが、今はアンスポーツマンライクファウルと呼ぶ
・ペイントエリアが作中では台形だが、今は長方形
などなど。
このあたりは、今はこういうもんなんだ、と思っておけばいいんじゃないかと思います。
2.派手なプレーは一瞬です
これは地味に大きいのではないかと思うのですが、スラムダンクはマンガなのでフェイントやアリウープなどの派手なプレーは大きくコマを使い、何ページにもわたって詳細に描かれます。
そのプレーによって流れが変わったことを強調するため、決まった後はそれぞれのキャラクターの表情が描かれたりセリフをしゃべったりします。
ところが、実際のバスケではそれらのプレーは一瞬で終わります。
というのも、まずそもそもバスケという競技がとてもスピーディーですし、シュートが決まった瞬間に相手ボールになるので良いプレーを喜んでいる暇がないんですね。
ですので実際にバスケを見るときは、注意深く見ていないといいプレーが行われても見逃してしまいますし、余韻も残さず次のプレーに移ります。
スラムダンクの漫画を読んでいるときのスピード感に慣れていると最初は面食らってしまうかもしれませんね。
それとバスケットボールというのは基本的に確率のスポーツなので、いかに簡単で決まりやすいシュートを打てるかというのがとても大事になってきます。
ですので、実は強いチームほど結構地味なシュートが多いというのも覚えておくといいかもしれません。
いいプレーが出るときというのはチームがノリノリで何でもできる状態のときか、あるいはチーム状態が悪い、もしくは相手のディフェンスが強いためにいいプレーを出さないと点を取れない、と判断することができます。
3.日本人選手はあんなにダンクできないです
スラムダンクの作中では高校生の選手がバシバシダンクを決めてめちゃくちゃカッコいいのですが、残念ながら今の日本でダンクを決められる選手はそう多くありません。
日本代表レベルの選手ですら、八村や渡辺といったNBAで活躍している選手を除くとダンクできるのはせいぜい各チームに一人いるかいないかぐらいでしょうか…。
ですので、Bリーグではフリーでシュートを打つときはいわゆる庶民シュート(レイアップシュート)を打つことが多いですね。
その代わり外国人選手はお構いなしにバシバシダンクをかましてきて、それはもうド迫力です。
4.でもやっぱりバスケは最高です
とまあいろいろと書いてはしまいましたが、私の知る限りバスケットボールほどドラマチックなスポーツは他にありません。
スラムダンクでも湘北高校が山王工業を相手に20点差をつめましたが、Bリーグにおいても時々それぐらいの点差をひっくり返す試合があります。
そういった試合で最後追いつくか?逃げ切るか?といったハラハラ感は、ある意味でスラムダンクすら凌駕するテンポ感、スリル感があります。なにせ漫画ではなくリアルですからね。
このドキドキを、ぜひともBリーグ会場で味わってほしいと思っています。
また、Bリーグの入門記事も過去に書いておりますので是非どうぞ。
ブザービーターなんか決まった日にはもう最高。
4.まとめたらそこで記事終了だよ
というわけで、スラムダンクの魅力や今のBリーグとの違いなどもろもろの記事でした。
いろいろ書いてしまいましたが、とにかく言いたいのは「まずスラムダンクを読んで、ハマったらBリーグを見に行こう!」ということだけです(笑)
Bリーグのチームは北は北海道から南は沖縄まで各地にありますので、まずは近くの会場に行ってみましょう。
何も持つ必要はありませんので、とりあえずチケットを買ってじっくり試合を見てみましょう。それだけでバスケットボールを楽しむには十分すぎます。
スラムダンクからバスケ沼にハマりましょう!
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