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日本のスポーツにおける体罰問題を考える【コラムその106】

日本のスポーツと切っても切り離せない問題、それが体罰です。

 

特に昭和期においては戦争の影響もあってか、いわゆる体育会系の考え方が非常に強まり、今となっては理不尽とも思える指導が当たり前となっていました。

 

平成に入るとそういった指導方法が見直され、令和に入ると体罰は「必要悪」とすらみなされないようになりました。

が、今でも時々特に高校の部活において体罰が表面化することがあります。

 

そこで今回は、日本のスポーツにおける体罰について考えてみたいと思います。

 

1.日本における昭和~平成~令和の体罰

そもそも、戦前から日本では学校における体罰は規定で禁止されていました。

教師が体罰を行うと父兄が怒鳴り込んできて生徒も抗議し、時には警察が出てきて傷害罪で教師が取り締まりを行うこともあったそうな。

あれ?もはや今よりもキビシイ…?

 

そして体罰の厳しいイメージのあるですら、戦前は軍隊を弱くする犯罪として体罰は嫌われていたようです。

 

しかし戦争がはじまるとストレスのためか陸軍で体罰が横行。海軍でも同時期体罰が日常化していきました。

戦争は人から合理的な思考を奪うことがよく分かります。

 

そして戦争が終わっても、体罰は犯罪ではなく教育である、みたいな雰囲気が日本全体にまん延し、教育現場においてすっかり体罰が定着してしまいました。

1987年の時点で中学校教員の約60%が体罰を必要、小学校教員でも47%が体罰を必要と感じていたというから驚きです。

 

1990年以降、すなわち平成に入ると体罰は減少していきました。

私もこのあたりの年代ですが、幸いにも教師から体罰を受けた記憶はありません。今思うと変わった先生はいた気がするけど…。

令和にはパワーハラスメント、いわゆるパワハラという言葉も広まり、体罰を行う教師は社会的に冷ややかな目で見られるようになりました。

 

しかし一方で部活における体罰事件は今なおちょくちょく話が出てきます。

2012年にはバスケで全国屈指の強豪である桜宮高校において、男子生徒が体罰を苦に自殺したことで問題が明るみに出て大きな問題となりました。

 

今でもGoogleで「体罰」と検索すると部活のニュースがバンバン出てきます。この記事を書いている時点でも長崎県のバドミントン部、あるいは和歌山県の野球部で体罰があったことがニュースになっています。

戦争のトラウマは現代にいたるまで引きずられている、というわけです。

 

2.ミズノが提唱した「怒らない少年野球大会」

そんな中、ミズノが画期的な野球大会を開催しました。それが「怒らない少年野球大会」です。

 

この大会には、以下の5つの理念が定められています。

1.元気いっぱいプレーしよう!

2.気軽にプレーしよう! 体操服・運動靴でもOK

3.みんなが主役!1人でも多くの選手が試合に出よう

4.みんなでこの大会を盛り上げよう

5.失敗した時こそ、励ましあおう

そして、これらの理念に指導者が著しく反する行為をしていた場合、「イエローカード」が出されます。

実際、予選ではイエローカードこそ出されなかったものの注意を受ける指導者もいたようです。

 

指導者側もある程度割り切ってやっていた部分もあるようですが、これにより子供たちとの距離が近くなった効果もあったとのことです。

わざわざこういう大会が開かれるあたり、体罰・パワハラによる野球離れに対するミズノの危機感というものを強く感じますね。

 

3.果たして体罰は本当に必要ないのか

では、果たして体罰は本当に必要ないのでしょうか。

結論としては、体罰は立派な犯罪で、重大な人権侵害です。別に私は法律の専門家ではないですが、それくらいは分かります。

 

日本で人間に罰を与えてよいのは警察や刑務所などごくごく一部の国家機関だけ。私刑は犯罪です。

 

しかしここで大きな問題となるのが、例えば下級生や同級生に対していじめを行っている、すなわち他人の人権を侵害しているような子の扱いです。

 

もちろん、スポーツの技術的な指導、あるいはミスに対する教育法としての体罰は論外です。

しかし言っても聞かずにいじめ行為を続けるような子の場合、俗な言葉を使えばク〇ガキに対してどうすればいいのか。その明確な答えを出せる人は日本、いや世界にもいないでしょう。

 

理想を言うならまずは学校内での対応、それでもどうにもならない場合は警察や行政が出てきて対処するのが一番のはず。

しかし現実問題としてしっかりと対応してくれない、あるいはしたくても出来ないような状況があるのも事実です。

そういう場合、被害を受けた子は泣き寝入りをするしかないのでしょうか…?

 

しかし「時計仕掛けのオレンジ」なんて映画もありましたが、結局暴力による指導は根本的な解決にはならないのかなあ…などとも感じます。

心理学、教育学、いろんな方面の専門家が集まって、知恵を出し合ってなんとか対処できる方法が見つかるといいのですが…。

 

4.まとめ

以上、日本のスポーツにおける体罰問題を考えてみました。

最後の方は少し話がそれてしまった感じもありますが、私なりの問題提起ができればいいなと思っています。

 

ただし、基本的には体罰は立派な犯罪です。ダメ。絶対。

とりあえず普通の人はそれを守るだけで十分だし、精一杯でしょうね。

 

 

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