注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
市原緑地運動公園臨海競技場(ゼットエーオリプリスタジアム)は、1993年開場、千葉県市原市にある競技場。
現在は、WEリーグのジェフユナイテッド市原・千葉レディースがホームスタジアムの一つとして用いている。
そして、1993年のJリーグ発足時から所属するオリジナル10の一つ、ジェフユナイテッド市原・千葉のホームスタジアムであったという歴史を持つ。
元々ジェフの前身東日本JR古川サッカークラブは横浜をホームタウンとしていたが、Jリーグ開幕に合わせて千葉県習志野市に移転を予定していた(すでに横浜には2クラブあったからね…)。
しかし騒音問題を危惧した住民に反対され、急遽市原にあるこのスタジアムをホームとすることになった。この時、すでにJリーグ開幕まで1年を切っていた…。
そういった経緯もあり改修は急ピッチで進められた。バックスタンド、サイドスタンドなどは仮設で立てられ、さらにはJR東日本がバックスタンドを寄贈するなど何が何でも、という感じであった。
が、結局Jリーグ開幕にはギリギリ間に合わず、市原で試合が行われたのはJリーグ開幕から2週間が過ぎてからであった。
そんな中市原市では、2002FIFAワールドカップに合わせて新スタジアムの建設計画を立てていた。これが実現すれば、オリジナル10の名に恥じない立派なスタジアムが出来上がる…はずだった。
しかし、千葉県が開催地選考に落選。ここからすべての歯車が狂っていく…。
まず、ジェフは2005年に千葉市にあるフクダ電子アリーナとの併用体制を始める。とはいえこの時点では移転までは考えておらず、この市原のスタジアムを改修して使っていく、という方針であったようである。
しかし2006年になると、スタジアムについてJリーグから厳しい条件を突きつけられる。
・観客席を2万人以上とし、席を一つずつ分けること
・客席の2/3を覆う屋根を設置すること
・毎試合8割以上の観客席を埋めること
これに対して市原市はなんと匙を投げてしまった。結局すべてが宙ぶらりんとなってしまったジェフは、結果的にフクアリへの移転を余儀なくされた。
↓フクアリについてはこちらの記事にまとめています。
そして市原市からはJリーグクラブが消え、かろうじてWEリーグの試合が年に数試合開催されるのみとなってしまった。
というわけで今回は、Jリーグが消えたスタジアムやその周辺がどうなっているのか、見てみることにした。
【アクセス】
最寄まで★★☆☆☆
最寄はJR五井駅。市原市の中心駅であるが、フクアリの最寄蘇我駅よりもさらに南にあり、立地は便利とは言えない。
千葉県は東京から船橋、津田沼、千葉までのアクセスは非常に優れているが、それ以外の場所は基本アクセスが良くない県である…。
お隣にある小湊鉄道はとても情緒があり、この日はイベントも開催されてとてもにぎわっていた。SLも走っているようだ。
時間があればこちらで観光を楽しむのも良さそうだ。
最寄から★★☆☆☆
五井駅からは徒歩30分。平坦ではあるが、住宅街、工場地帯を抜けてそれなりの距離を歩く。
ただ写真のようにずらっとジェフカラーで彩られた電柱が並んでいて、ジェフがここにあったことをうかがわせる。
直通バスも運行されているのでそちらを利用してもいいだろう。
【観戦環境】★★★☆☆
スタンドはなかなかに高さがあり、街並みを見下ろせるほど。
陸上競技場なので少しピッチとの距離はあるが、高さのおかげでそれほど見にくさは感じない。
風も通り抜けて気持ちよく観戦できる。
向こう側に見えるバックスタンドも二階建てになっており、屋根もついていて観戦環境は良さそう。でも柱は邪魔そうだな。
ピッチは遠いが、選手の動きを見渡すことができサッカー観戦には適している。
スタンド上段からの全景。この下にも席があるのか、ここからはよく見えない…。
少なくともメインスタンドからであれば、どこからでも見やすいだろう。
ビジョンは珍しくバックスタンドの中央に設置されている(だいたいはサイドスタンドどちらかの後方にあることが多い)。
推測であるが、国体の時にはここに火がともされていたのではないだろうか。で、そのスペースが空いたのでビジョンを設置した、と。
メインスタンドからは見やすいが、バックスタンドからは見えなそうなのがネックである。
バックスタンド向かって左側。自然豊かな公園になっており目に優しい。
窓がジェフカラーに染まった建物があるが、詳細不明。
バックスタンド向かって右側。後方にはわずかに海も見える。
もうちょっとガッツリ海が見えたら最高なんだけどな。
メインスタンドの様子。席がちとしょぼいが、それくらいならまあなんとか。
ただ屋根は小さめ。
コンコースの様子。ジェフカラーに彩られていて鮮やかではあるが…。
さすがに老朽化は否めない。これがキレイに改修される未来はしばらくないんだろうな、と思うと寂しさも感じる。
スタジアム前には広場があり、キッチンカーやバスの停留所などがありとても便利。
すぐ横には立派な野球場もある。
【雰囲気】★★★☆☆
他の会場ではWEリーグらしいイベントや演出もあるが、ジェフレディースではそういったものはなく、淡々と試合が始まり淡々と試合が進んでいく。
お客さんもまばら、そして9割9分が目の肥えたおじさんで、カップルや家族連れ、女性客などはほとんど見られなかった。
あまり新しいお客さんを呼び込む努力をしていないのだろうか…。
もしWEリーグ全体がこのようなチームばかりだったら非常に心配になるが、頑張っているチームもあるのでとりあえずは大丈夫だろう。
と思いたいが…。
しかし、WEリーグはサッカーによくありがちな審判のだまし合い(大げさに痛がるとか)、露骨な時間稼ぎなどがほとんどなく見ていて気持ちがいい。
WEリーグらしさとして継承していってほしい文化だ。
【グルメ】★★★★☆
グルメに関しては種類はそれほどないが、安心のサマナラのカレーとナンがあるので満足できる。
フクアリにも出店しているが、本家はこちら市原。お腹も膨れるしいいグルメだ。
というわけで、スタジアムまでの道中にお店があることを今回発見。
看板もジェフカラーに染まっていて、サポーターを取り込もうという意気込みが強く見える。
ジェフ自体は千葉に移ってしまったが、フクアリにも頑張って出店してくれている。
【街との一体感】★★★★☆
道中の端には、ジェフに染まった柵が設置されていた。「ジェフ市原」となっているのが時代を感じさせる…。
また市原市、市原警察署とコラボした看板も設置されていた。これもジェフが市原から移転する前に設置されたものだろう。
いろいろと寂しい気持ちになる…。
また、ジェフレディースのポスターを貼っているところも見られた。
ジェフレディースだけがかろうじて市原とジェフをつなぐ架け橋になっている、と感じる。
たまにはJリーグの試合もやってほしいとは思うが、なかなかもう難しいだろうな…。
【満足度】★★★☆☆
スタジアムでの観戦自体は非常に気持ちよく楽しかったが、アクセスの悪さやスタジアムの老朽化、そしてフクアリの便利さ、快適さを考えるとなかなか市原で試合をするのは難しいだろう。
とはいえまだまだそこかしこにジェフの残り香が残っているし、このまま放置されてしまうのはとても寂しい気持ちになる。
何とか頑張って改修して、せめて年に1試合でも市原で開催してくれたらなあ、と思うのだが、一度諦めてしまったからにはもう元には戻らないのかな…。
なんにしろ、ジェフがもうちょっと頑張って市原市にまた誘いをかけたい!と思わせないと難しいのかも。
あとは、レディースももうちょっと集客を頑張ってくれれば…。
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