注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
栃木県立日光霧降アイスアリーナは、1992年竣工、栃木県日光市にあるアイスアリーナ。
現在ではアジアリーグアイスホッケーのH.C.栃木日光アイスバックスのホームアリーナである。
チームの歴史は、なんと1911年にまでさかのぼる。歴史で言えば、日米修好通商条約で日本の関税自主権が回復した頃の話だ。
古河電工のアイスホッケー部として誕生したアイスバックスは、もちろん日本最古のアイスホッケーチームである。
日本アイスホッケーリーグには第1回から参加しており、当時から日光市民に愛される存在であったという。
古河電工にとっても、スポーツチームとしてはサッカー部と並んで重要視されていたようだ。
なお、サッカー部はのちにジェフユナイテッド市原としてJリーグに参入している。
現在のジェフのホームフクダ電子アリーナはこちら。
しかし平成不況のあおりを受け、アイスホッケー部は1999年に廃部。
それでも、80年近く愛され続けたアイスホッケー部を日光市民が見捨てることはなく、日本初の市民アイスホッケークラブ「HC日光アイスバックス」として生まれ変わることとなった。
とはいえ、古河電工という大企業の後ろ盾を失った影響は大きく、何度も経営危機に陥る。
しかし行政支援を受けたり、神戸とのダブルフランチャイズ制にしてみたり、寄付を募ったり何とかやりくりしながらここまで生きながらえている。
次々に廃部していくアイスホッケーチームも多い中、ここまで支えられているあたり本当に愛されているチームなんだなと強く感じる。
アジアリーグ2011‐2012シーズンでは準優勝、2014年、2019年には全日本アイスホッケー選手権で優勝するなど、その実力も折り紙付きだ。
なお、本アリーナは2004年に放送されたキムタク主演のドラマ「プライド」でも使用されている。
その際エキストラ募集の条件を「アイスバックスのファンクラブ会員であること」にしたところ、会員数が激増したというエピソードがある。
その当時から現在まで続けてる健気な人っているのかな…?
【アクセス】
最寄まで★★☆☆☆
最寄はJR日光駅、
あるいは東武日光駅。いくら電車で行けると言えど日光は山奥の観光地、行くのはなかなか大変だ。
そんな場合には、JR宇都宮駅からアリーナまで直行バスが出るのでそちらも活用したい。筆者は今回バスの方を利用した。
最寄から★★☆☆☆
宇都宮駅からも、東武日光駅からもシャトルバスが運行されている。
日光駅からアリーナまでは歩けない距離ではないが、雪の多い日光ゆえ最初からそのプランを立てているとひどい目にあう可能性がある。
アリーナに行く際はおとなしくバスを利用する前提で予定を立てよう。
もっとも、雪が降ったら電車が動く保証もないのだが。
一方宇都宮駅からのバスはおよそ1時間。
高速バスなのでまだマシではあるが、それなりに体の負担にはなる。最悪補助席だし。
観光地日光ゆえ、バスに乗っているだけでもなかなかの景色を楽しめる。車で来たら少しばかり観光するのもありかも。
【観戦環境】★★★★☆
歴史あるクラブのアリーナとあってか、非常に見やすく作られている。さすが、長年の積み重ねは違う。
とはいえ、寒い。寒くなかったら氷が溶けてしまうから当たり前だが、寒い。
真冬の装備をしていこう。
機械が通って行ったあと氷がきれいに製氷されるのが気持ちいい。
ただし、製氷の分ピリオド間は少し時間をとられる。その分アイスバックスはイベントを行ってくれるので暇は少し軽減される。
入り口から入って奥側には応援のための太鼓をたたく人がいる。こういう人がいると市民球団なんだなあ、と実感する。
一枚だけだがビジョンがあり、現在の試合状況を理解できるようになっている。
表示方法がなんだかデジタル表示っぽいのも味があっていい。
このビジョンでは試合前にちょっとしたルールの解説をしてくれる。
アイスホッケーはスピード感や体がぶつかり合う迫力だけでも十分に楽しめるが、ルールを理解するとより深く楽しめるようになる。
初心者にはありがたい。
コンコースから階段に至るまでオレンジに染まっているのもまた気持ちを昂らせてくれる。
こういう見た目の統一感って意外と大事なのよね。
【雰囲気】★★★★☆
光と音を使った演出はなかなかのもの。こういうのがあるとアメリカンスポーツっぽさがだいぶ増す。
映像もかなりカッコいいよ。
でも全体的な選曲センスに70〜80年代みを感じないでもない(笑)
そして何より、お客さんがとてもアイスホッケーに詳しい。私のような素人ではなかなか分からないのだが、どうやらチャンスらしい場面では場内がどっと沸く。
本当に長年アイスホッケーを見ている人でないとこの盛り上がり方はできなかろう。
周りの客席やバスの車内でもずーっとアイスホッケーの話をしている人がいて、本当に詳しく、心からアイスバックスが好きな人が多いんだなあと感心した。
それはきっとみんなで作り上げてきた市民球団だからこそにじみ出てくるものなのだろう。
一方で、ちらほら子供はいたもののだいぶお客さんの高齢化が進んでいるようだったのが気がかりだ。
実際この日はBリーグの宇都宮ブレックスの試合と同日開催だったが、ブレックスの方がアクセスもいいし、アリーナで暖かいし、などと考えるとブレックスの方に人が集まるのは仕方ないことだ。
せめてホームゲームの日程をずらすとか、あるいは思い切ってコラボするとか、そういうことができればいいのだが…。
なんとかブレックスとアイスバックスがうまく共存できる方法を探ってほしい。せっかくの栃木が誇る文化なのだから。
【グルメ】★★★★☆
とりあえず見つけたもつ煮を秒で購入。寒い日にはやっぱりこれ。
鶏肉?のようなものも入っていて、思ったよりちゃんと食べ応えもあった。
こちらはハラミ丼。函館の焼き鳥丼に似ているような。
お肉の噛み応えがすごく、あごが痛くなるほどだった。これはめちゃくちゃうまい!
何より注文を受けてから炭火で焼いてくれるのがいい。それだけで食欲マックスだ。
【街との一体感】★★★★☆
今回はバスの関係であまり日光市街を散歩することができなかったが、バスの車内から日光駅前のお土産屋さんにのぼりが立っているのを確認することができた。
アリーナの天井にも多くの地元のお店の宣伝がぶら下がっていたし、地元に愛される存在であることは間違いないようだ。
でもよく考えると観光業に就いてる人って、むしろ土日の方が忙しいから試合はなかなか見に行けないんじゃ?その辺はどうなってるんでしょ。
【満足度】★★★★☆
長い歴史をたどっていることもあってか、すっかり日光の文化の一部として定着している様子をうかがうことができた。
日光という街の力を十分に受けているのだろうし、逆に日光の人の力にもなっている、お互いにとっていい関係になっているのだろう。
しかし、歴史が長い、というだけでは生き残っていくのが難しいのもこのアイスホッケー界、ひいてはスポーツ界の現実ではある。
ここにきていろいろと逆風も吹いているような気がするが、その中でもなんとか生き残っていく術を見つけたいところ。
GO BUCKS!
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