注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】
東町運動公園体育館(アダストリアみとアリーナ)は、2019年竣工、茨城県水戸市にある茨城ロボッツのホームアリーナ。
元々ここにはより小規模な体育館があったが、老朽化していたのに加え国体に合わせてより大きなアリーナが必要となったため2015年に閉館、跡地に作られたのがこのアリーナである。
アダストリアは水戸市に本店があるアパレルや雑貨を扱う会社で、開館当時からアリーナの命名権を取得しているほか、茨城ロボッツのユニフォームの胸スポンサーも務めている。niko and...の企業、と言えばピンと来るかも。
そんなこのアリーナをホームとする茨城ロボッツは2013年に生まれた比較的新しいチーム。
当初はつくばロボッツという名前で、ロボッツというチーム名もつくばがロボットの街であることに由来している。
もちろんチーム名の通り元々はつくば市のつくばカピオアリーナをホームとしており、さらにつくば市内にできるアリーナへ移転することを見込んでいた。
ところがこの計画が白紙撤回されてしまったため、つくば市での会場確保が困難に。
そこでBリーグが開幕する2016年に合わせホームを茨城県へと拡大、チーム名も茨城ロボッツと変更し選手やコーチ陣を一新した。
ホームは当初水戸市内の青柳公園市民体育館を使用していたが、こちらも十分な大きさでなかったところに国体に合わせ5000人規模で県下最大のアダストリアみとアリーナが開館。
見事滑り込むようにして?このアリーナをホームにすることができ、B1への昇格要件を満たすことができた。
一方の成績面もBリーグが開幕してから順調で、毎年勝率5~6割の成績を確保していた。それでも昇格にはあと一歩届かないシーズンが続いていた。
しかしこのアリーナをホームとしてから2年目の2020-21シーズン、見事B2リーグ準優勝を果たし念願のB1昇格を決定した。
つくば時代はなかなか気苦労も多かったが、実質的に水戸へ移転してからは幸運に恵まれながらもかなり順調にステップアップできている印象。
とはいえ、そういうチャンスをちゃんと掴んで結果を残せているのは間違いなく努力の証。
というわけで今回はB1リーグ昇格後初試合となった北関東ダービーのvs宇都宮ブレックス戦を観戦した。B1リーグで戦うにはBリーグチャンピオンの宇都宮ブレックスは今後も避けて通れない強敵である。
【アクセス】
最寄まで★★★☆☆
最寄はJR水戸駅。茨城県は北関東の3県で唯一新幹線駅がないが、常磐線や特急が通るのでそこまで不便さは感じない。
遠方から遠征する場合はちょっと大変かもしれないが…。
最寄から★★☆☆☆
水戸駅からは5番乗り場からバスで大工町三丁目まで。いろんな系統が来るが大体どれに乗ってもたどり着けるようだ。
徒歩なら40分で、アリーナから水戸駅方面へは下り坂なので帰りは歩くのもいいかも。バスもどうせ混むし。
アリーナから大工町三丁目バス停は大通りに出て右へ。バスに乗ってもなお10分弱歩くためBリーグのアリーナとしてはあまりアクセスがいい方ではない。
ちなみに、アリーナから歩いて15分ほどのところに水戸で一番の観光スポット偕楽園があるので、試合前後に観光するのもよいだろう。
【観戦環境】★★★★★
アリーナに入ってまず目につくのは、あまりに大きなビジョンである。今のところBリーグでここまで大きなビジョンは他に見たことがない(映像で見る限り沖縄アリーナも大きそうだが)。
これは茨城ロボッツがBリーグで戦ううえで大きな武器となるだろう。はるばるやってきた他のチームのブースターもこの大きなビジョンには圧倒されること間違いなし。
これだけ大きいビジョンなので、得点数やファウル数、タイムアウト数など知りたい情報はすべて映し出されている。バスケットボールでテレビで見るよりも試合が見やすい!と思ったのはこれが初めての経験だった。
今回座ったのは2階席だが、1階席とは連続的になっていて疎外感がない。2階席がコートから遠いアリーナだと若干疎外感を感じることもあるのだ。
もちろん観戦するうえでも何ら問題はなく、よく設計されていると感じる。アリーナの大きさ自体もBリーグの試合を行うのにちょうどいい感じだ。
コートサイドの席はこんな感じ。少し席数は少なめだが、その分快適そうに見える。
将来的にはこの辺をテーブル席にして家族や友達のグループで楽しめるようにするとよさそうだな、などと妄想できる。
コンコースは決して広くはないが、必要最低限のスペースは確保されている。
グッズ売り場もこちらにある。グッズに関しては結構力を入れていそうだ。
わずかながらに子供の遊び場も確保されている。今どきのスタジアムやアリーナではこういうのも大事になってくる。
【雰囲気】★★★★★
Bリーグらしく、光の演出がすごい。さらにめちゃくちゃ大きいビジョンのおかげで迫力が増している。
良いプレーが出るとそのたびにビジョンでちょっとした演出が映し出される。それがプレーの種類ごとに異なっており、なかなかに細かい。
応援時にも手拍子のリズムが映し出されるし、非常に簡単なリズムで誰もが入りやすいようになっている。応援ってあんまり凝りすぎない方がいいと思うんですよね。
また相手チームのフリースロー時のブーイングは足を踏み鳴らしたりしてかなりの音圧がある。茨城ロボッツのブースターはかなり熱いようだ。
同じく水戸をホームとするJリーグの水戸ホーリーホックのマスコット、ホーリーくんも来場。同日に試合を行う日は2試合をセットにしたチケットも売り出されるそうで、良好な関係を築いているようだ。
ここ最近はこのようにJリーグとBリーグのチームがタッグを組むケースも増えてきている。パイの食い合いになるよりは共闘体制の方が得られるものも大きいだろう。
同じく水戸をホームとする水戸ホーリーホックのホームケーズデンキスタジアムはこちら。
一方で、同じく茨城県に本拠を持つJリーグ屈指の強豪鹿島アントラーズともちゃっかりコラボしているようだ。なかなか尻軽ねえ。
今回感心したのがこのCM。茨城ロボッツのB1開幕戦に合わせて作られたもののようだ。
B2階で茨城ロボッツを探す水戸黄門御一行様。そこへ案内のお姉さんが現れ、「茨城ロボッツは一つ上のB1でございます」と案内。
「お~!」と感心した水戸黄門一行はエスカレーターでB1へ、そして大きく映る開幕の文字。
私はこのCMのセンスの良さに感動してしまった。地元で一番の有名人であろう水戸黄門をうまく使いながら、嫌味なくB1に昇格したことを宣伝している。ただやみくもにB1に昇格しました!応援お願いします!というよりもスッと頭に入ってくる。
さらに、お姉さんが水戸名物である納豆をかぶっているのもびっくりだ。冷静に考えてとてもダサいし、どうせこういうのは滑っちゃって誰もやらないだろうと思っていたが…。
お客さんの中にも結構納豆を被っている人がいて驚き。
どうやら今日先着で来た人にこれが配られたらしい。こういうぶっ飛んだグッズを普及させるにはまずみんなにつけてもらって恥ずかしくない空気を生み出すことが大事だが、その辺りうまくお客さんを転がしているようだ。
そして恥ずかしがらずちゃんと納豆を被る茨城県民の県民性もすごい。いずれこの納豆がアリーナ中を埋め尽くすのか、それとも結局なかったことになるのか、それは今後の楽しみである。
ディズニーランドでのミッキーの耳くらいまで定着したらスゴイことだ。
また試合前には茨城県民の歌が流れる。まったく聞いたことがなかったが、茨城県民にはおなじみの曲らしい。
ビジョンにでかでかと映し出される「いばらき いばらき われらの茨城」の文字列が何とも言えず面白い。
チーム名である茨城ロボッツを意識してか、アリーナには「VICTORY FACTORY」という副題がついている。アリーナ内のスタッフもFACTORY STAFFというつなぎを着ていた。
こういう細かいところまで気を配っており、お客さんを楽しませようという気概が伝わってくる。
全体的にかなり独特のセンスをしているので、それが大ウケするか大スベリするかは茨城県民の県民性によるところが大きそうだ。
【グルメ】★★★★☆
アリーナ外には屋台村が出ており、茨城県産の食べ物を使ったグルメを出している。アリーナ内で食べるのもよいが、ベンチも数があるので外で食べるのもよい。
アリーナの開場時間が遅めなのでこれは地味にありがたいポイントだ。
こちらはエスニックから揚げハニーマスタードソース。カリッとした衣にジューシーなお肉、やっぱり唐揚げは美味しいなあ。
つくば焼きそば、500円。味は…まあ普通だが、500円でお腹が膨れるんだから十分。
この他アリーナ内でもBLTサンドなどを売っているようで、なかなか充実している。
全体的に不慣れそうではあったが、それは慣れてくればいいだけの話。グルメに関しては今後大いに期待が持てそうだ。
【街との一体感】★★★★★
水戸駅に降り立つと、さっそく手作り感満載のボードでお出迎えしてくれる。
駅にはロボッツのポスターやB1昇格を祝う横断幕があるほか、構内のビジョンにもロボッツの選手が映し出されている。
JAグループや商工会議所など、茨城の財界も茨城ロボッツを強力フォロー。
アリーナ前の通りにはずらっとロボッツの旗がはためいており、水戸駅前通りでもちらほら同じ旗が見られる。少しずつ勢力を拡大しているようだ。
こんなところにもロボッツのロゴ。
駅からアリーナへの道中には、M-SPOと呼ばれる茨城ロボッツの展開する施設がある。バスケやチアスクールの他カフェレストランも併設し、地域の活性化に取り組んでいる。
このような取り組みはBリーグでも画期的と言えるだろう。
そして何より、アリーナ自体が茨城ロボッツ一色に染まっている。
アリーナって借り物だったりするので、このようにガッツリBリーグのチームが染め上げているというのはかなり珍しいのだ。
それだけ自治体も本気で取り組んでいるという表れでもある。
【満足度】★★★★★
試合の方はBリーグ屈指の強豪宇都宮ブレックス相手に手も足も出ず…という感じではあったが、茨城県中の特色を生かしてかなり独特な雰囲気を作り出しておりとても面白かった。
こういうのはお客さんに引かれてしまうとただただ滑ってしまうので、うまいことお客さんを巻き込んでいくことが大事だが、その辺はうまくやっていて感心した。
B1昇格というお客さんを呼び込むとってもわかりやすいストーリーを得たので、ここからさらにストーリーを成長させていけばどんどんお客さんを呼び込んでいくことができるだろう。
これからのBリーグを引っ張っていくのは、納豆の街かもしれない…?
索引を作りました!
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