注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大後の情報を元にしています
【概要】

東大阪市花園ラグビー場は、1929年開場、大阪府東大阪市にあるFC大阪のホームスタジアム。
花園といえば、ラグビー。
高校野球における甲子園と同じように、高校ラグビーといえば花園だなんてことは日本中の誰だって知っている。
もちろん筆者もラグビーを見に行ったことがある。
しかし2020年花園ラグビー場を含む東大阪市花園中央公園が指定管理者制度を導入するにあたり、採用されたのはラグビー協会ではなくサッカーのFC大阪であった。
しかも2040年3月末までの大型契約である。
ここでまずはFC大阪と花園ラグビー場のかかわりについて説明したい。
2019年、FC大阪が資金を拠出して第2グラウンドを5000人規模に改修し、東大阪市に寄付するという提案を出したことから話は始まる。
これはJ3リーグ加盟に必要となるスタジアムが欲しいFC大阪と、老朽化していたスタンドの改修を望んでいた東大阪市の利害が一致した形となる。
ところが2023年からFC大阪はJ3リーグに加盟することになったものの、その時点で第2グラウンドの改修は進んでいなかった。
そこであくまで暫定措置として、第1グラウンドをホームとして使用することになった。
とはいえFC大阪はすでに公園一帯の指定管理者であり、すでに最上級の第1グラウンドを使えてしまっていることを考えると、もはや第2グラウンドを改修するモチベーションはなくなったと言ってよい。
実際2027年までに完成させる予定らしいが、現状改修は全く進んでいないとのこと。
やはり改めて考えても、指定管理者を日本ラグビー協会が「取り損ねた」影響は非常に大きいだろう。
これは「ワンチーム」を標榜したラグビー協会が結果的に一枚岩になれなかった結果であり、日本ラグビー界にとっては大失態である。
そんな指定管理者を「奪い取った」FC大阪とは、いったいどんなチームなのか。
その始まりは1996年、広告代理店である株式会社アールダッシュが母体となり創設した企業草サッカークラブである。
サッカークラブ自体を広告塔としてとらえ、女子サッカーやサッカースクールの展開、トップチームには元Jリーガーを加入させるなど、草サッカークラブとしては異例の規模となっていった。
このように拡大していく中で2018年から本格的にJリーグ加入を目指し、一般社団法人や運営会社を設立。
東大阪市ともホームタウン連携を結んだ。
そして2022年JFLで2位となり、見事J3昇格。念願のJリーグ入りを果たした。
大阪のクラブとしてはガンバ大阪、セレッソ大阪に次ぐ3番目のJリーグクラブ誕生である。
こうして見ると、やはり企業が本気を出してサッカークラブを作ると異例の早さで大きくなっていくことが目に見えてわかる。
そして、ラグビー界がスピード感で敗れた理由も分かるというものだ…。
【アクセス】
最寄まで★★★★☆

最寄は近鉄奈良線東花園駅。
花園ラグビー場前駅の副題がつき、まさしくラグビー場に行くために作られた駅である。
急行以上が止まらない不便さはあるものの、大阪難波から20分程度で来られる立地の良さは魅力的。
最寄から★★★★☆

東花園駅からは徒歩10分少々。
ラグビー一色のスクラムロードを歩いて行く。

道の突き当りに水場があり、その奥にラグビーの聖地がある。

この日は同時開催でお祭りをやっていた。
J1の試合だったらそれ自体がお祭りみたいなものだが、このくらいの規模の試合だと地元のお祭りと合同でやることが結構ある。
【観戦環境】★★★★★

ラグビーの聖地だけあって、その見やすさは折り紙付き。Jリーグトップレベルのスタジアムと比べてもそん色ない快適さ。
後方にそびえる山並みもまた気持ちよい。

臨場感も抜群。改めて素晴らしいスタジアムだ。

でもよく見るとそこかしこにラグビーで使うラインが残っている。
やっぱり基本的にはラグビーのスタジアムなんだと感じさせられる。

メインスタンドの後方に来ると、若干柱が気になる個所もある。
あまり後ろすぎる席は選ばない方が良いかもしれない。

メインスタンド全景。
屋根はスタンドの半分ほどを覆う大きさ。設備としてはほとんど申し分ない。

下の方に来るとピッチがより近く感じられる。
臨場感を味わいたい場合はこちらがオススメ。

スタジアムは入り口側のスタンドを中心にコの字型をしている。
コーナーにある立ち見スペースはかつての名残であろう。

入り口側のスタンドはピッチのすぐそばまで座席が伸びていて、ここから見るのもまた良い。
ちなみに前回ラグビーを見た時はこのスタンドで観戦した。
サッカーだとゴール裏になるのであまりのんびりは見ていられない。

その反対はアウェー側のゴール裏スタンド。
ここだけ孤立した構造になっており、ラグビーをやる関係かピッチまで少し距離がある。
その下側は会議室?か何かになっていて、こちらからも観戦ができるようだ。
こうして改めてスタジアムを眺めてみると、ますますJリーグに最適な設計に見える。
アウェイの厳しさまでスタジアムに反映されているなんて…。

ビジョンも大変立派だ。試合演出には十分。

入り口入ったところのコンコースはこちら。つまりホームゴール裏の下。
非常に広くて開放的、とても心地よい空間になっている。

こちらにはラグビーミュージアムがある。
とても充実した内容なので、初めて来た人にはぜひおすすめ。

入り口側のスタンドからメインスタンドに行くには階段を上らなければならない。
その点はちょっと不便ではある。

階段を上ると割と殺風景な景色。
Jリーグトップクラスのスタジアムならここにずらっと飲食のテナントが入るはず。
こんな感じで。

スタジアム内は割と複雑な構造をしていて、なかなかわかりづらいという問題もある。

場内にはいくつかモニターが設置されているが、スタメンなどが常時表示されている。
細かい工夫だが自然と選手が頭に入ってきていい感じ。

場外エリアではいくつかイベントブースやオフィシャルショップが展開されている。

お祭りとの相乗効果でなんだか盛り上がってる感が出てる。
試合単体だったらもうちょっと寂しかったかも…。

公園内にはいくつものスポーツ用の施設があり、エンジョイからガチまで様々な用途に応えられる。

こちらは何やら工事中。
向こうにあるのがFC大阪のホームになる予定の第2グラウンドだが、そちらの工事は進んでいるのだろうか…?

パラスポーツ用のコートなんかもある。
最近はこういうところも増えてきた印象がある。

空気もそれなりに美味しく、のんびり過ごすだけでもいい感じの場所だ。
【雰囲気】★★★☆☆

試合前には東大阪市の市歌が流れる。
全国津々浦々の市歌が好きな私であるが、いくらなんでも分からない。多分だけど東大阪市民もあんまり知らないと思う。

ゴール裏の人数はまだまだまばら。ここを増やすにはそれなりの時間と実績が必要だろう。
そもそもスタンドがデカすぎて少なく見えるというのもある。
FC大阪の中では、個人的に左右に移動しながら歌う応援が面白かった。
西武ライオンズの外野席に似た動きだ。
ちなみにメイン側スタンドにはそれなりにお客さんがいて、この日の入場者数は3000人に満たないくらい。
J3であれば標準的な客数であろう。

立ち見エリアには水色の横断幕がいっぱい。デッドスペースの有効活用である。

ゴール裏の人数的には対戦相手のアスルクラロ沼津と同じくらいか。
でも声と一体感はこっちの方が優っていた…かも。

FC大阪はダンスチームとアクロバティックな動きをするチアリーディングチームがいるらしい。
ダンスチームは選手入場時に登場。

ちなみに試合中も隅っこで地味に踊っている。

こっちのチアリーディングチームはなかなか派手な動き。
写真ではわかりにくいが、3段になって飛び跳ねたりする。危ないったらありゃしない。

大阪のスポーツチームは協定を組んでいるらしく、ポスターを見るにオリックスバファローズが中央、その下にガンバ大阪とセレッソ大阪がいてあとはそれ以外、という感じ。
あれ阪神タイガースは?って思ったけど、よく考えたらあれは兵庫だった。

いざ試合開始。

チャンス時には応援にあわせてクラップする。
でもアスルクラロの応援の方が大きいからうっかりそっちにクラップしそうになる。

ゴールが決まり…

喜びを分かち合う選手とサポーター。

アスルクラロ沼津も負けてない。

試合は2-2のドローに。

お疲れさまでした。

ピッチに近いところで見るのもいいなあ。
今度はここで見てみようかな。何せ空いてるからほとんど座り放題なのだ。

以上、ラグビーの聖地でサッカーを見る不思議な体験。
【グルメ】★★★★★

お祭りの方でキッチンカーが多数出ていたのでグルメは豊富。

バターチキンカレーにチーズナンを添えて。
…いやこれうますぎる…チーズ入れて大正解過ぎた。スタグルになったら大人気になるよこれ。

こちらのキューバサンドもお肉がジューシーで最高だった。袋の底に落ちてた肉のかけらですら肉汁たっぷり。
どっちもスタグルだったらすぐに大行列になりそうなポテンシャルを感じた。
ただ一番の問題は、普段のFC大阪の試合では食べられないという点だ…。
ちなみに帰り際鶴橋に寄って焼き肉を食べました。
【街との一体感】★★★☆☆

スタジアムにひっそりと書かれるFC大阪の文字。
ラグビーの聖地をちょっとずつであるが侵食しているようだ。

駅前にはのぼりがたくさん立っていた。
おそらく試合日だけだと思うけど、もしや試合日じゃなくてもそのままだったりするのだろうか?

スタジアム前にはラグビーショップがあるが、試合日にはちゃっかりFC大阪のショップとして稼働していた。
そのフットワークの軽さ、嫌いじゃない。

スクラムロードにはちらほらポスターが貼ってある。

こちらには見境なくのぼりが立っている。





とはいえ、なんだかんだ言っても花園はラグビーの聖地。基本的にはラグビー一色である。
ここでFC大阪がどうやって存在感を示していくのか、非常に興味深いケースである。
【満足度】★★★☆☆
いろいろ頑張っているのはよく分かるものの、まだまだ満足できるレベルではないのは事実である。
それはきっとFC大阪も同じだろう。
とはいえ大阪ではガンバ大阪とセレッソ大阪がしのぎが削っている中で、まさかの東から殴り込みをかけてきたというのが面白い構図だ。
このままどんどん成長していって、ガンバとセレッソの争いに割って入るような存在になったら、大阪のサッカー界はまた盛り上がっていくことだろう。
一方でラグビーの聖地でどれだけサッカーチームが存在感を示せるか、というのも興味深いポイントの一つ。
逆にラグビー側からしたらいかに聖地を守れるか、ということになるかもしれないが…。そこはうまく共存の道を探していきたい。
Jリーグも30周年を迎え円熟期、安定期、そして倦怠期を迎える中、こういう新しいスタイルのチームが出てくることはいい刺激になるはず。
そういう意味でもFC大阪にはJリーグに新風を吹かせ、地方新興クラブ成功への道筋をつけてほしいのだ。
くれぐれも東大阪市と仲違いするようなことはなきよう…
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