スタ辞苑〜全国スタジアム観戦記〜

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東京スタジアム(味の素スタジアム)東京ヴェルディver.~「嫌われ者」からの脱却~

注:本記事は新型コロナウイルス感染拡大の情報を元にしています

【概要】

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東京スタジアム(味の素スタジアム)は、2001年開場、東京都調布市の東京ヴェルディおよびFC東京のホームスタジアムである。

以前はFC東京のホームとして取り上げたが、今回は東京ヴェルディのホームとして取り上げる。

sportskansen.hatenablog.jp

FC東京バージョンはこちら。

 

東京ヴェルディは、言わずと知れたJリーグ初代チャンピオンチーム。1992-94までは天皇杯以外のJリーグタイトルを独占しており、創成期を代表するクラブであった。

 

しかし「地域密着」を標榜したJリーグの方針に真っ向から対立

チーム名から企業名を排した各クラブに対して勝手に読売ヴェルディという呼称を用いたり、国立競技場を使おうとしたにもかかわらずJリーグに拒否され、しぶしぶ川崎の等々力をホームにするなど、各方面との溝は確実に深まっていた。

 

Jリーグと地域密着についてまとめた記事はこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

Jリーグ開幕後も東京への移転をちらつかせ続け、ヴェルディを引き留めるため等々力の改修を続けていた川崎市、そして調布市からも非難の声が挙がった。

 

その後も「Jリーグ界の巨人」を目指しプロ野球と同様のビジネスを展開してきたヴェルディだったが、98年には読売新聞が経営から手を引いたことで人気実力ともに低迷。

それでも2001年には味の素スタジアムが完成、念願の東京移転を果たした。

 

しかしながら、川崎市からは「フロンターレとやってくからいいわ」と見放され、調布市からは「もうFC東京と約束してるけどそれでもいいなら…」と心から歓迎されるわけでもなく、もうすでにヴェルディの居場所はどこにもなくなっていた

 

 等々力のその後についてはこちら。

sportskansen.hatenablog.jp

 

皮肉なことに、その後はプロ野球でも地域密着が当たり前になっており、ヴェルディのビジネスモデルはどのみち立ち行かなくなったであろうことは明らかだ。

「Jリーグの巨人」を目指したヴェルディの今を見た。

【アクセス】

最寄まで★★★☆☆

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最寄は京王線飛田給駅。基本的には快速までしか止まらないが、試合時には上位の種別でも止めてくれる模様。

しかし駅前自体は割と何もない。

 

最寄から★★★★★

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飛田給駅からは徒歩5分ほど。道中にはコンビニやその他食糧確保に必要なお店がそろっている。

 

【観戦環境】★★★★☆

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陸スタなのでピッチまでの距離はあるが、それを除けば申し分ないスタジアムだ。

ピッチが浮かないよう、周りも緑色に染まっているのも地味にポイント高い。オレンジの陸上トラックの中にピッチがあると、どうしても心理的な距離を感じてしまうのだ。

 

ただ、バックスタンドは西日がすごい。こういうところで値段の格差があるんだなあ。

 

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コンコースはこんな感じ。ちなみにトイレはこのコンコースから階段で一階降りたところにあるので、地味に面倒くさい

数は十分に確保されているけど。

 

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ビジョンは十分な大きさがある。

ラグビーワールドカップも開催されたスタジアムなので、設備としては日本でも屈指のものがそろっている。

 

全く関係ないけど、バックスタンドの裏側に競馬場や野球のPayPayドームくらいでかいビジョンがあるスタジアムをどこかに作ってほしい。

この選手のパス成功率はどれくらいかとか、それぞれのチームの特徴が分かるようなデータを随時出したりとか、サッカーがもっと面白くなるようなデータを見やすくして。

野球にできてサッカーにできない道理はないと思うんですよねえ。東京ならできる

以上脱線終了。

 

【雰囲気】★★★★☆

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ヴェルディサポーターは数少ないながら、一体感があり全体的に温かい印象を受ける。クラブに振り回され続けながらここまでついてきたサポーターが弱いわけがないのだ。

スポンサー紹介でもすべての企業に拍手が起こっていたのは印象的。スポンサーの大事さを誰よりもよく分かっているサポーターである。

 

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ゴール裏も誰でも歓迎ムードである。

この写真ではめくれているけど、「声援と手拍子で応援しよう」とか書いてある幕のわざわざ声援手拍子のところに×印がついていたのはちょっと面白かった。

 

まあ、普通に手拍子起きてたけどね。一応この時点では手拍子は解禁前だったけど、しょうがないか。

 

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写真ではわかりにくいけど、上部のLEDライトがグルっと一周光る光の演出があったのは好印象。

個人的にJリーグの試合演出にはちょっと不満を持っているので、どんどん派手な演出を見たい。

 

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しかしやっぱり夕暮れ時のスタジアムは最高だ。調布飛行場のおかげで周りに高い建物がなく、サッカーだけに集中できる。

 

【グルメ】★★★☆☆ 

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コロナの影響もあっただろうが、なんとこの日出ていたキッチンカーはこの一台だけ

しかも再入場できないので、うっかりスタジアムに入ってしまうと買うことができないという罠付き。

 

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とはいえ、このお弁当が味もコスパも申し分なかったので救われた。

しかしFC東京のグルメの評価があまりよくないのだから、せめてここだけでも勝てるように頑張るとか、一つでも差別化を図った方が…。

 

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一応スタジアム内にもいくつかお店はあるけど、このタコス450円と高いし味もアレだし…。

たぶん上記の店で買うかスタジアム内のケンタッキーで買うのがいいと思う。 

 

【街との一体感】★★☆☆☆

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飛田給駅にはヴェルディとFC東京のフラッグが並んでいる。

 

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しかし一歩改札を出ると、FC東京の看板がお出迎えしてくれる。アウェー感をあおって闘争心を高める演出だろうか?

 

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街中にもヴェルディのヴの字もない圧倒的アウェー感だ。

 

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途中のスポーツショップにかろうじてヴェルディのロゴが貼られているが、どうしてもFC東京の幕も映り込んでくる。もはや包囲網を敷かれているようにしか見えない。

 

こんな状況になっているのも理由があって、味の素スタジアムがある調布市はFC東京に出資しており、ヴェルディはここで大々的な活動ができない状態なのだ。

ある意味でヴェルディは「よそ者」だから、こういう扱いも仕方ない…。とはいえホームスタジアム周辺で活動できないのは痛い。

 

【満足度】★★★☆☆

結局念願の東京移転を果たしたものの、時すでに遅しという言葉がぴったりである。

正直に言えば、現時点でFC東京に対して優位に立っている点が見つからない。唯一育成に関しては優秀な選手を輩出してはいるが、かつてのヴェルディサポーターのような「にわかファン」を惹きつけるには弱い

 

ヴェルディが東京の二番手から脱却するには、FC東京に絶対に負けない何かが欲しいところ。そのためにも、街を緑一色に染められるようなホームスタジアムが急務だ。

このままかつての王者が二番手に甘んじている現状はあまりにもさみしい。文字通り、V字回復を見せてほしい。

 

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